「守り」から「共創」へ
異なる情報を融合させて、新たな価値創出に道筋をつける


- 企業・団体名
- 三菱電機株式会社
- 業種
- 電気機器業
- 利用用途
-
- 部門利用
- 人材育成
- 期待効果
-
- チームでの情報活用
- 発想力の広がり
- 従業員数
- 2,000名以上
- お話を伺った方
- 三菱電機株式会社
知的財産センター
知財戦略部
知財戦略部長 柴 光輝氏
知財マーケティンググループ
主任 小林 竜也氏
AIPE認定知的財産アナリスト 西川 直樹氏
- 目的
-
- 知財戦略推進における多角的な分析に必要な情報の効率的な収集
- 課題
-
- 市場動向と知財情報が分断されており、両者を結びつけ、裏付けを持った分析記事が少ない
- 論文などの専門情報だけでは、新技術が生まれた社会的背景や事業的な意義の把握が困難
- 全社的な知財への関心を高めるために、技術の本質的な価値や将来性まで伝える工夫が必要
- 効果
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- 市場と知財の両面から構成された記事により、多角的な情報収集と分析が効率化された
- 新規テーマを検討する際の、信頼性の高い情報源として機能している
- 技術と社会課題の繋がりから知財の重要性を示せるため経営層への戦略説明資料の参考になる
価値ある技術を特許で守るだけで終わらず、新しい価値を生み出す“攻めの武器”としてどう生かすか。2022年に発足した三菱電機の知的財産センター知財戦略部は、その命題に真正面から挑んでいる。知財を活用した「共創」の現場における情報の新たな役割について同部の3人に話を聞いた。
知財と市場の情報が結びつき、多面的な視点を得ることができる
「知財戦略部」設立の背景と、そのミッションについて教えてください。
柴様:2022年、三菱電機は知的財産センター内に「知財戦略部」を立ち上げました。その背景には、多くの日本企業がそうであるように「無形資産を十分に活用しきれていない」という強い課題意識がありました。これからは、特許権を取得して事業を守るだけでは不十分。我々のミッションは、事業を通じた社会課題の解決を目指す企業として、事業の枠を超えたコーポレート全体視点から必要な知財を獲得して活用する知財戦略を推進することでした。設立当初は2グループでしたが、今では標準化や知財活用(共創)の機能も合わせ持つような、5グループ約30人の体制にまで拡大しています。知財に事業を「守る」視点があるのは当然ですが、一旦、知財部門であることを忘れて、事業競争力強化だけを考えるような「攻め」の視点が必要と考えています。
知財マーケティングという言葉が新鮮です。知財戦略を進めるうえで、知財マーケティングはどんな役割を担いますか。
西川様:知財マーケティンググループは、世の中の動きを常にウォッチし、これから注力すべき事業や市場はどこかを自ら考え、各事業部門に仕掛けていく攻めの役割を担います。日々、技術のシーズ(種)である『特許情報』と、事業のニーズである「市場情報』の両方を幅広く集め、必要に応じてバラバラの情報を結び付けて分析していますが、なかなか骨が折れます。
高度な分析には質の高い情報が不可欠です。「NIKKEI Tech Foresight」を導入した決め手と、その評価をお聞かせください。
柴様:もともと「日経クロステック」を購読していましたが、「NIKKEI Tech Foresight」が立ち上がる際にトライアルで試したのがきっかけです。市場分析がまずあって、知財分析も合わせて活用するような記事が充実しており、自分達と課題感が一致していると感じましたので、すぐに購読を決めました。
西川様:「NIKKEI Tech Foresight」の記事は、市場情報と知財情報がセットで構成されており、一つの記事で多面的な視点を得ることができます。市場の分析が技術的な情報で裏付けられており、逆に知財情報を扱う際にも市場動向が背景として描かれている。まさに我々が求めていた記事ですね。例えば「特許ウォッチ」(NIKKEI Tech ForesightとPatentfieldが共同開発したアルゴリズムに基づいて、重要性が高いと考えられる特許出願を取り上げた記事)は、特許概要がわかりやすく紹介されており、我々がやっていることに近いなと感じます。
(特許ウオッチ記事)
https://www.nikkei.com/prime/tech-foresight/sections/C2004008

知財戦略の新しいテーマを検討する際の「入り口」として活用
日々の業務の中で、具体的にどのように「NIKKEI Tech Foresight」を活用していますか?
小林様:毎朝届くメールでまず記事のヘッドラインを確認します。例えば私の場合は「パワー半導体」「量子」といった担当テーマの記事はルーティンでチェックしていますし、ほかに気になる話題があれば目を通します。新しいテーマを検討する際の「入り口」としても重宝していますね。
技術は日々進化しており、常に新しい分野が登場しています。我々は知財の専門家ではあっても、すべての技術に精通しているわけではありません。論文だけでは把握しきれない最新技術が登場した際に、「NIKKEI Tech Foresight」ならイラストや平易な表現で解説されており、ざっくりと全体像を把握できます。その上で、「どんな企業が、何の目的で、どんな技術を開発しているか」という視点で情報収集できるのが魅力です。
西川様:経営目線で知財を見ていくうえで、情報を"翻訳"して橋渡しすることも重要なミッションです。私たちのグループでは定期的に経営層向けの「知財マーケティングレポート」を配信しており、そのレポート内容の検討にも役立っています。知財や技術の情報を羅列した無味乾燥な資料では経営層には刺さりません。「なぜこの技術が社会課題解決に貢献するのか」というバックグラウンドまで解説するうえで「NIKKEI Tech Foresight」を参考にしています。
NIKKEI Tech Foresightではどのような記事やコンテンツに着目していますか?
小林様:学会の記事は非常に助かりますね。一般に特許は出願から公開までのタイムラグがあります。しかし学会では特許公開に先んじてその技術が報告されることがあるため、新しい技術が世に出るまでの“隙間”を埋められます。
さらに「NIKKEI Tech Foresight」は記者独自の「視点」が加わる点も魅力です。一つの技術が開発された背景や影響をどう見ているか、踏み込んだ分析や見解がある。単なる事実であれば情報源はさまざまにありますが、ファクトに対する分析は非常に得難い情報だと感じます。
柴様:外部から見た客観的な評価が記事から読み取れるので、自社の考え方とのギャップに気づかされます。実はそのギャップこそ、我々のアピールが足りない点を示す鏡であり、自社の課題が見えてくることもあります。実際「記事を読む限り、この技術分野は外部の客観的視点ではこう見えているようですが、我々とのズレはないでしょうか?」と、社内の関係者と対話を深める起点にもなっています。

多様な知見を掛け合わせることで、新たな気付きが生まれる
オープンテクノロジーの重要性が叫ばれて久しいですが、三菱電機ではどのように知財活用に取り組んでいますか。
柴様:三菱電機が保有する技術資産を外部パートナーとの「共創」に活用して、新たな価値を生み出すプラットフォーム「Open Technology Bank(OTB)」を整備しています。もともとは社内で使われていない「もったいない特許」を活用する発想からスタートしましたが、今では外部との「共創」に知財を積極的に活用する姿勢へと変化していますね。このほかに、三菱電機では社内に技術分野ごとにカテゴライズした特許データベースを保有しています。これも、未知の顧客や異業種との接点を見つけるための強力な手段になっています。
OTBをはじめとした「共創」パートナー選びでは、どのように情報を活用しますか。
西川様:まずは幅広く情報を収集し、特許の価値や世の中の動向などを踏まえたうえで、共創の仮説を立てるところから始まります。例えば、この技術と今ある特許と組み合わせることで、新たな社会課題解決が可能ではないかといった具合ですね。その点で、「NIKKEI Tech Foresight」で取り上げられる技術やテーマは、今後可能性がある領域を示す“信頼できるサイン”として注目しています。
小林様:これからは自社の強い事業領域だけでなく、これまで我々が見てこなかった新しいマーケットにも積極的に目を向けなければなりません。そのためには、単一の情報源だけで得た情報では不十分。OTBや特許データベースの情報、そしてNIKKEI Tech Foresightなどで得た多様な知見を掛け合わせることで、私たちがこれまで気づかなかった企業や市場を発見できます。
今後の展望をお聞かせください。
柴様:自社の技術資産を活用して、どうやって新しい価値を創造するか――それは知財部門だけで成しえることではなく、全社的なテーマです。ただ「知財」という言葉が前面に出すぎると「それは特許関連部署の仕事で、自分には関係ない」と思われてしまうことがあるのも事実。自分達も含めて、変に「知財」を意識しすぎないような考え方が普及すれば、共創の可能性はもっと広がるはずだと確信しています。その意味では、「NIKKEI Tech Foresight」で得た話題をインナーコミュニケーションのツールとして活用することも考えたいですね。これからは、新しい価値が継続的に創造されるような場を創る部門として、また強力に推進する部門として、自社が進める社会課題解決に貢献していきたいです。

- 企業・団体名
- 三菱電機株式会社
- 業種
- 電気機器業
- 利用用途
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- 部門利用
- 人材育成
- 期待効果
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- チームでの情報活用
- 発想力の広がり
- 従業員数
- 2,000名以上
- お話を伺った方
- 三菱電機株式会社
知的財産センター
知財戦略部
知財戦略部長 柴 光輝氏
知財マーケティンググループ
主任 小林 竜也氏
AIPE認定知的財産アナリスト 西川 直樹氏



