ドイツ財政の新戦略 クリスチャン・リントナー財務相 グローバルオピニオン 編集委員 8月10日 現在進行中の新型コロナウイルス感染拡大の衝撃と、ロシアのウクライナ侵攻の影響が、ドイツ経済全体に響いている。エネルギーや原材料価格の急激な上昇、グローバルなサプライチェーン(供給網)の継続的かつ新たな混乱が、経済の回復を先延ばしにしている。 生産性の伸びは1990年の再統一以来急激に低下し、2008年の世界金融危機以降も低水準にとどまっている。生産性の向上が長期的な経済成長、競争力、物価安定のカ ドイツ財政の新戦略 クリスチャン・リントナー財務相
物価高が問う「家計との対話」 攻めの政策、語感を磨け 参院選2022 Think! 中外時評 6月28日 選挙が近づく中、数十年経験していなかったインフレが進む。フランスでは与党が議会の過半数を割り、オーストラリアでは政権が交代した。米国も11月の中間選挙でバイデン政権の苦戦が必至だ。日本の参院選で物価高対策が与野党攻防の最大の争点になるのは、ごく自然な展開だ。 だが、日本の物価をめぐる状況は世界とは大きく違う。「物価高だが物価低迷」という、互いに矛盾した動きが混在する日本。不都合な真実を正視し、長 物価高が問う「家計との対話」 攻めの政策、語感を磨け
中国と欧州、断絶避ける道筋 ミンシン・ペイ氏 Asiaを読む 編集委員 6月4日 中国の対米戦略の重要な柱は欧州の中立を維持することだった。欧州と中国はしばしば衝突しても互いを存亡に関わる脅威とはみなしていない。両者の関係に障害はあるにせよ、欧州で中国との「デカップリング(分離)」を口にする向きはほとんどいなかった。 しかし欧州連合(EU)と中国との安定した関係は壊れつつある。中国による新疆ウイグル自治区の少数民族の扱いや香港の自治終了を巡る対立により、中国とEUの関係はかつ 中国と欧州、断絶避ける道筋 ミンシン・ペイ氏
グローバル化の曲がり角 識者に聞く 西條 都夫 時論・創論・複眼 編集委員 5月30日 ロシアのウクライナ侵攻により経済のグローバル化が転機を迎えた。西側とロシア、中国との「新冷戦」に各国や企業が身構え、人やモノの自由な移動が停滞する懸念が高まっている。さらなる分断に備え、乗り越える知恵はあるのか。異なる分野の第一人者に聞いた。 ◇ ◇ ◇ 供給網、「ダブル」で備える 伊藤忠商事社長 石井敬太氏 1989年に冷戦が終結し、2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟するこ グローバル化の曲がり角 識者に聞く
「優しい鎖国」の見えない損失 ソフトパワー低下止めよ インバウンド 新型コロナ 岸田政権 Think! 中外時評 5月10日 「日本は今後とも世界に対してオープンです。ぜひ日本にお越しください。最大限のおもてなしをいたします」 5日、ロンドンの金融街でこう訴えた岸田文雄首相の発言に違和感を覚えたのは、筆者だけではないだろう。 日本は外国人観光客の入国を認めない事実上の鎖国ともいえる政策を敷いている。首相は水際措置を「6月には」欧米並みに緩和すると述べたが、入国者数などの制約は徐々にしか緩めないようだ。ぜひ日本に行きたく 「優しい鎖国」の見えない損失 ソフトパワー低下止めよ
頼れぬ米国、日本の覚悟は ミドルパワーが担う国際秩序 トランプ前政権 米中間選挙2022 バイデン政権 岸田政権 Think! Deep Insight 編集委員 5月4日 ■明暗が分かれる日米欧主要国政権の「安定度」 ■「空白」を突く中国・ロシアなど強権主義勢力 ■揺れる国際秩序、問われる日本の役割と責任 頼れぬ米国、日本の覚悟は ミドルパワーが担う国際秩序
同盟の強さと米国の弱さ 新冷戦が問う最強国の胆力 菅野 幹雄 米中衝突 バイデン政権 ウクライナ侵攻 Think! コラム 中国・台湾 ヨーロッパ 北米 Deep Insight 本社コメンテーター 3月11日 ロシアのプーチン大統領が始めたウクライナ侵攻から半月。世界の安全保障と経済を巡る風景は一変した。ロシアは核や生物兵器の使用もちらつかせ、200万人を超すウクライナ人が欧州諸国に逃れる。帝国復活の野望を「平和維持」と言い換え、無辜(むこ)の市民を危険と恐怖にさらす蛮行に憤りを覚える。 米欧は強力な経済・金融制裁でエネルギー高騰の返り血を浴びながらもロシアを締め上げる。計算違いにいらだつプーチン氏の 同盟の強さと米国の弱さ 新冷戦が問う最強国の胆力
暴挙の制止、まず米国修復を ウクライナ侵攻 ウクライナ侵攻 菅野 幹雄 米中衝突 バイデン政権 本社コメンテーター 3月5日 「北大西洋条約機構(NATO)はウクライナのために戦争をすべきか」。2月27日、米CNNが番組中に実施した意識調査で、78%の回答者が「イエス」と答えた。 バイデン米大統領はウクライナへの米軍派遣を否定している。だが、ロシアがNATO諸国に手を伸ばそうとすれば、米国も加わるNATOも容赦しない。侵攻前は関与に慎重な見方が優勢だった米世論は変わりつつある。侵攻の実態を見て自衛や支援を支持する声が強 暴挙の制止、まず米国修復を ウクライナ侵攻
危機下の連帯、苦境は不変 米大統領の一般教書演説 ウクライナ侵攻 菅野 幹雄 米中衝突 バイデン政権 北米 本社コメンテーター 3月2日 ウクライナの首都キエフに、プーチン大統領が送り込んだロシア軍の隊列が接近する。バイデン米大統領の一般教書演説は、緊迫度を増すウクライナ危機の部分を直前で大幅に書き足した。 「プーチンはかつてなく孤立している」。バイデン氏は応戦するウクライナ人の勇気と、前例のない強力な対ロシア制裁を敷いた民主主義勢力の連帯をともに称賛した。ウクライナのマルカロワ駐米大使を招待し、ウクライナ国旗色の青と黄の服も目立 危機下の連帯、苦境は不変 米大統領の一般教書演説
対強権主義、ウクライナ危機は「歴史の新局面」 ウクライナ侵攻 菅野 幹雄 米中衝突 Think! ヨーロッパ 北米 本社コメンテーター 3月1日 ロシアのウクライナ侵攻は世界をどう変えるのか。内外の専門家に今回のウクライナ危機の意味を聞いた。 ウクライナ危機は極めて重要な事件だ。問題はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟ではない。ロシアのプーチン大統領の願望はソビエト連邦の再建と旧ソ連崩壊後にできた欧州の安全保障秩序の転覆だ。 NATOへ要求したのはポーランド、チェコ、バルト諸国への軍事支援の禁止。1991年以降に起きた全てを撤回 対強権主義、ウクライナ危機は「歴史の新局面」