マイナンバー保険証の迷走 患者負担で導入促進の矛盾 Think! Nikkei Views 編集委員 6月7日 マイナンバーカードを健康保険証として使う改革を巡り、厚生労働省の対応が迷走した。マイナンバー健康保険証に対応した医療機関の診療報酬を加算する措置を4月に導入したが、「患者の負担を増やすのはカードの普及に逆行する」との批判が出てすぐに見直しに追い込まれたのだ。報酬加算によって医療機関を誘導する医療行政の限界を象徴的に示すケースだ。 ■システム維持費への対応がきっかけ 加算措置の導入は、マイナンバー マイナンバー保険証の迷走 患者負担で導入促進の矛盾
医療改革「検討」羅列、進まぬ効率化 規制改革会議答申 経済 5月28日更新 3年後の2025年には「団塊の世代」の全員が75歳以上の後期高齢者になる。40年には支え手である20~64歳の人口が今よりも1000万人超も減るなかで65歳以上の人口がピークを迎える。 ■デジタル化に力点 人口減・高齢化の難所にさしかかる日本はデジタル技術を活用して生産性を極限まで高めつつ、高齢者に寄り添う体制をつくらなければならない。デジタル化の遅れや在宅療養者の急増に耐えられない医療体制など 医療改革「検討」羅列、進まぬ効率化 規制改革会議答申
責任負わぬ「かかりつけ医」の罪 制度化できるか焦点に Think! 健康・医療 中外時評 5月17日 患者の健康を継続的に管理し、必要に応じて治療したり専門医を紹介したりする「かかりつけ医」。そのあり方を改革する議論が政府内で本格化しつつある。日本医師会の抵抗が必至のテーマで、政権の突破力が試される。 今のかかりつけ医は曖昧模糊(もこ)な存在だ。各地の医師会や厚生労働省は「かかりつけ医を持ちましょう」と国民に呼びかけていて、診療所の待合室にはそんなポスターが張ってあったりする。 ところがいざ患者 責任負わぬ「かかりつけ医」の罪 制度化できるか焦点に
年金制度に物価高の試練 5000円給付問題が映す将来不安 Nikkei Views 編集委員 4月4日 与党内で起こった年金生活者への5000円の給付金問題は、物価上昇が年金制度の骨格を揺るがしかねないことを印象づけた。政策理由とされた賃金水準に合わせた年金減額は、現役世代の負担能力への配慮を強める2021年4月の制度改定に基づく措置。わずか1年でこれを帳消しにするような政策が浮上した政治の動きをみると、年金制度がロシアによるウクライナ侵攻や円安で進む物価高の試練を乗り越えられるか不安が募る。 年金制度に物価高の試練 5000円給付問題が映す将来不安
オミクロン型から学ぶ 識者に聞く 矢野 寿彦 時論・創論・複眼 編集委員 4月4日 新型コロナウイルスが変異と感染拡大を繰り返している。今年急拡大したオミクロン型は、以前のデルタ型などに比べて症状が軽くなる一方、感染力は増した。政策も医療機関も変化への対応力を問われている。コロナ感染の再拡大や新たな感染症をにらみ、オミクロン型の経験から何を学ぶべきかを聞いた。 コロナ、人間社会に定着 長崎大教授 山本太郎氏 オミクロン型の出現により、このウイルスが人間社会から消える可能性は小さ オミクロン型から学ぶ 識者に聞く
日本のコロナ対策を検証する3冊 失敗・迷走の原因は 新型コロナ 読書 3月26日 新型コロナウイルス感染症が日本で確認されて2年2カ月たった。このパンデミック(世界的な大流行)に対する日本の対策はどこが正しく、どこが間違っていたのかを検証する本が相次いで登場している。 昨年12月に出された『誰も書けない「コロナ対策」のA級戦犯』(木村盛世著、宝島社新書)は、厚生労働省の医系技官だった著者が感染症対策と医療行政の旧態依然とした実態を追及している。新型コロナに関する日本人のデータ 日本のコロナ対策を検証する3冊 失敗・迷走の原因は
勤労者皆保険という企業依存 透ける年金立て直しの思惑 中外時評 編集委員 3月22日 岸田文雄政権が全世代型社会保障構築会議で勤労者皆保険の検討に着手した。日本は半世紀以上も前に、公的な年金・医療保険で全国民をカバーする国民皆保険を達成している。なぜ今さら「勤労者に皆保険」なのだろうか。 真意はこの場合の「保険」が会社員の入る厚生年金や健康保険のことだと考えると見えてくる。つまりすべての勤労者を会社員と同じような社会保険に加入させる改革だ。 年金や医療は就業形態で加入する制度が分 勤労者皆保険という企業依存 透ける年金立て直しの思惑
報酬加算での誘導に限界 医療立て直しの危機感薄く 新型コロナ Think! 経済 編集委員 2月10日更新 今回の診療報酬改定は平時の議論の延長線上にとどまり、新型コロナウイルスが突き付けた医療体制の弱点を早急に克服しようという危機感が感じられなかった。危機時に強い医療体制をつくるには、報酬増額によって医療機関の誘導を図る仕組みでは限界がある。 医療機関にとって診療報酬単価の引き上げはその医療行為の収益性が上がり、自院で実施するインセンティブが高まることを意味する。このため厚生労働省は重要だと考える医 報酬加算での誘導に限界 医療立て直しの危機感薄く
個人消費にコロナ耐久力 三井住友カード大西幸彦社長 コラム 経済 2月7日 新型コロナウイルス禍で日本の消費はどう変わっていくのだろうか。年間21兆円分の決済データを保有する三井住友カードの大西幸彦社長に聞いた。 ――決済額はコロナでどんな影響を受けましたか。 「最初に緊急事態宣言が出された2020年4月の弊社の決済金額は前年同月比21%減という大きな落ち込みだった。特に旅行やレジャーが非常に減った。ただし20年度通年でみると1.5%の増加だった」 「コロナ下でも利用が 個人消費にコロナ耐久力 三井住友カード大西幸彦社長
停滞する調剤DX 薬剤師、外部委託に反対強く Think! Nikkei Views 編集委員 2月3日 薬剤師の業務をデジタル技術の活用で進化させる調剤デジタルトランスフォーメーション(DX)がなかなか進まない。経団連はオンラインでの服薬指導が恒久化されることもにらみ、各薬局で行われている調剤作業の外部委託を認めるよう提言している。集約効果で作業が効率化できるだけでなく、調剤中心になっている薬剤師の仕事を患者対応にシフトさせる引き金になりうるからだ。高齢化が進むと患者に寄り添った業務がより重要にな 停滞する調剤DX 薬剤師、外部委託に反対強く