【上野泰也】投稿一覧

上野泰也

みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

金融市場の今を解きほぐす名物エコノミスト。1985年上智大文卒、86年に会計検査院入庁。88年に富士銀行(現みずほ銀行)入行、2000年みずほ証券設立に伴い現職。エコノミスト歴は四半世紀を超え、日経ヴェリタスの年間ランキングで過去7度、第1位に選ばれる。『No.1 エコノミストが書いた世界一わかりやすい為替の本』(かんき出版)など著書多数。今もリポートは毎日自ら執筆する。
【注目するニュース分野】金融市場、マクロ経済

金融市場の今を解きほぐす名物エコノミスト。1985年上智大文卒、86年に会計検査院入庁。88年に富士銀行(現みずほ銀行)入行、2000年みずほ証券設立に伴い現職。エコノミスト歴は四半世紀を超え、日経ヴェリタスの年間ランキングで過去7度、第1位に選ばれる。『No.1 エコノミストが書いた世界一わかりやすい為替の本』(かんき出版)など著書多数。今もリポートは毎日自ら執筆する。
【注目するニュース分野】金融市場、マクロ経済

1月27日

  • 前場の日本株は予想以上に脆い値動きになった。FRBの金融政策正常化姿勢が強固であることが確認されると同時に、その先行きのコースが(当たり前だが)まだ見えてきていないことが、内外投資家の不安心理を増幅しているようである。一つ見逃せないのは、国内債券市場で中期ゾーンの売りが一段と進み、2年債利回りがマイナス0.055%、5年債ではマイナス0.010%まで上昇したこと。日銀によるマイナス金利解除を織り込みにいくかのような動きになっており、海外勢を中心にそれと絡めて日本株を売る動きがあるのかもしれない。TOPIXの前場の下落率は1.98%。日銀がETF買い入れに動く基準は、最近では下落率2%である。

  • FOMCでの事実上の3月利上げ予告は、当局者発言から市場が予想していた通りで、意外感はない。だが、当たり前と言えば当たり前だが、利上げのペースや量的引き締めの開始時期・実行ペースなどに関し、パウエルFRB議長は記者会見で具体的言及を避けた。先が見えないことには、市場の不安心理を増幅する面がある。株式を中心とするリスク性資産市場の不安定化がすでに顕著になっている中、「火に油を注ぐ」ような市場へのメッセージ発信をパウエル議長はさすがに回避したものの、タカ派姿勢は変わっていない。急速な金融引き締めが米景気の「オーバーキル」やグローバルな金融市場の動揺につながるリスクを、引き続き意識せざるを得ない。

1月26日

  • FRBがどこまで金融引き締めに積極姿勢を示すのか、特に「カネあまり相場」への打撃が心理面も含めてきわめて大きい量的引き締め(QT)がどう行われていくのかで、金融市場は神経質になっている。2日連続でダウ工業株30種平均の値幅が1000ドルを超えるという不安定な動きは、市場心理が不安定化していることをそのまま示している。ここでややトリッキーなのは、下値で買いが入って株価がそれなりの底堅さを示せば、パウエル議長の記者会見でむしろタカ派色が強まりかねないということ。株価が急落を続けるようなら、市場の利上げやQTの織り込みや警戒感は行き過ぎだというようなトークもある程度期待できるが、果たしてどうなるか。

  • 記事にある通り、何らかの資格を取れば就活に有利な面があるのかもしれない。だが、その資格を実際に活用できるかどうか、その分野で卓越した仕事をできるかどうかは、別の問題であるように思う。今も昔も会社業務の入り口というか土台は、たいていの場合「OJT」だろう。筆者のこれまでの見聞からすれば、OJTを受けている間にその仕事に興味を持てるかどうかが、その後の仕事ぶりに大きく影響してくる。「資格万能主義」的な思考は、必ずしも妥当ではない。ちなみに、筆者は若い頃に資格をたくさん取得した。通訳ガイド、英独仏西の語学検定、一般旅行業務取扱主任、通関士などである。残念ながら、実人生ではほとんど役に立っていない。

1月25日

  • ロシアによるウクライナ国境近くへの分厚い部隊配備が続いており、合同軍事演習を予定するベラルーシを経由しての北方からのキエフ急襲作戦の可能性も意識される。これに対し、米欧がうつことのできる手は限られる。ウクライナはNATO非加盟で、米国の同盟国でもないため、米軍などを直接派遣して防衛する義務はない。仮にウクライナ政府と合意して、ロシアが動く前にウクライナ国内に米軍を急派すると、ロシアとの外交解決の道が閉ざされる上に、ロシアに開戦の口実を与えることにもなってしまう。ポーランドやルーマニアなど周辺国にNATOが軍を派遣しても、けん制効果は限られる。主導権は依然ロシアにあり、緊迫した状況が続きやすい。

  • 欧州の経済がロシア産天然ガス輸入にかなりの部分を依存していることが、ロシアの立場を格段に強くしている。米国に追随して対ロシアで強硬姿勢を貫くと、欧州経済がもたなくなる。米欧が一枚岩を続けるのは難しいとロシアは読んでおり、実際、フランスやドイツはロシアとの妥協を模索したがっているように見える。再生可能エネルギーへの移行に時間がかかる以上、欧州の天然ガス調達先でロシア以外のシェアを上げるのが方策になる。だが、有力候補であるカタールの液化天然ガス(LNG)は、アジア諸国とすでに締結した長期契約が少なくないとみられる。欧州にはLNG対応ターミナルが少ない(ドイツには自前のものはない)と報じられている。

1月24日

  • ハリス副大統領の存在感は、金融市場でもとにかく薄い。24年の大統領選に向けて民主党が他の候補を探しにいくのは自然な流れだろう。そうした中、ヒラリー・クリントン元国務長官の再出馬待望論が一部で出ている。政治専門紙「ザ・ヒル」が「民主党最大のホープ」として紹介し、ウォールストリートジャーナル紙も賛意を示した。だが、ヒラリー氏の最大の弱点は20年大統領選の際、エリート臭が強く女性層の代表とは思えないという受け止めがされて、同じ女性を中心に拒否反応が強かったこと。そうした部分を大きく変えていかないと、民主党候補指名争いには勝つとしても、トランプ氏が最有力視されている共和党の候補に勝つのは難しいだろう。

  • 「ステルスマーケティング(ステマ)」の実態や全体像は、なかなかつかみにくいようである。SNSを運営している法人自体がそれに関与していたとなると、問題の根はますます深い。新聞などの既存メディアでも、小さく「広告」と書いてはあるものの、記事だと誤認しかねないケースが散見される。SNSは個人投稿が基本なので、それが真実かどうかで一定の警戒心が働くのがふつうだが、人気が高いインフルエンサーの場合、無批判で内容を受け入れる素地がある。記事には、大手広告代理店などが加盟する協議会が運用指針で禁止とあるが、法律ではなく自主規制なので、どこまで効果があるのかには疑問がある。公的な関与が必要なのかもしれない。

  • この記事で最も注目すべきは、「足元の良好な経済環境を考えれば今回は(急減速せずに)軟着陸を期待しているが、確信はない。それ以上に警戒すべきは米国の引き締めがもたらす新興国への波及効果だ」という部分だろう。インフレ率が高いから利上げすべきだという固定観念が先に立ち、急いで何度も利上げする必要があるという政策論がFRB内部も含めて支配的になっている。だが、そこには大きな危うさがある。利上げによって、米国の景気・物価がリアルタイムでファインチューニング(微調整)できるわけではない。景気のオーバーキル(過度の景気押し下げさらには景気後退)が起こり得るのみならず、新興国などの金融危機も発生しかねない。

1月23日

  • 書かれている通り「黒田総裁のもとで財政・金融政策の一体化が一段と進んだ」わけで、足元の積極財政は日銀の異次元緩和があるがゆえに実現可能になっている。筆者のみるところ、異次元緩和の最大の副作用は財政規律の弛緩である。金利が低いのだから今のうちに支出をできるだけ膨らませるべきという発想である。一度そうした雰囲気に浸ったところから、財政健全化や金融政策正常化路線へとに切り替えていくのは、至難の業だろう。したがって、「10年前のような金融政策の大転換を目指すのでなければ」という前提で「これまでの政策の経緯を熟知する日銀出身の両氏の名があがる」わけである。日銀の金融政策の激変は総裁交代の後も予想し難い。