【青木慎一】投稿一覧

青木慎一

日本経済新聞社 編集委員

日本経済新聞社 編集委員

企業活動、コンピューター専門誌、科学技術を取材してきました。ITや環境問題、自然災害・防災のほか、素粒子物理学や数学といった基礎科学もカバーしています。イノベーションにも興味があり、科学技術を通して世界がどのように変わるのかをいつも考えています。ノーベル賞こそ科学技術記者の腕の見せどころなので、発表が近づいてくると血が騒ぎます。
【注目するニュース分野】ノーベル賞、地球環境問題、IT、イノベーション、科学全般

企業活動、コンピューター専門誌、科学技術を取材してきました。ITや環境問題、自然災害・防災のほか、素粒子物理学や数学といった基礎科学もカバーしています。イノベーションにも興味があり、科学技術を通して世界がどのように変わるのかをいつも考えています。ノーベル賞こそ科学技術記者の腕の見せどころなので、発表が近づいてくると血が騒ぎます。
【注目するニュース分野】ノーベル賞、地球環境問題、IT、イノベーション、科学全般

2022年

  • 土砂災害は山を削って盛り土した場所が最も危険な場所の一つです。阪神大震災でも、西宮市仁川百合野(にがわゆりの)町の盛り土部で大規模な地滑りが発生し、多くの犠牲者が出ました。広島市の豪雨災害でも、無理な宅地造成が被害を招いたと分析されています。昨年の熱海市の土石流災害をはじめ、土砂災害の多くは「人災」です。防ぐには、行政は積極的に情報を出すべきで、個人でもハザードマップはもちろん古い地図などで情報を確かめた方が良いでしょう。

  • 天の川銀河の中心にあるブラックホールについては、2013年に観測のチャンスがあると世界の天文学者が沸き立ったことがあります。ガス雲と呼ばれる水素などの巨大な塊が近づいており、ブラックホールが吸い込む際に明るく光って強い電波を出すと期待されていました。
    ●巨大ブラックホールの謎解明に挑む 国立天文台など観測へ:日本経済新聞
    https://www.nikkei.com/article/DGXNZO60775370X01C13A0TJM000/
     結局、近づいていたのはガス雲ではなかったようで、観測できずに終わりました。天の川銀河の中心はブラックホールではないのではないかと考える研究者も出てきましたが、今回の観測成功でひと段落です。
     まだ、ブラックホールには多くの謎があります。次の成果が楽しみです。

  • PFASは熱や水に強く、壊れにくいという性質があり、産業界で広く使われています。「永遠に残る化学物質」とも呼ばれています。21世紀に入って、PFASの毒性が問題視されるようになりました。生態系だけでなく、がんや甲状腺障害など健康への影響が懸念されています。米国では、PFASを廃棄してきた企業が訴えられています。かつてのアスベストやダイオキシン、ポリ塩化ビフェニール(PCB)などに並ぶ環境問題という声もあります。規制は世界的な流れなので、代替物質の開発などの対応を急ぐしかありません。

  • 記事のように、実用的なNFTを探る動きは海外で広がっています。コンサートや催し物のチケット、パスポートはすでに始まっており、例えば、アメリカンフットボールの優勝決定戦「スーパーボウル」では2022年、チケットに付随したNFTが発行されました。紙の半券のような記念品にもなると考えられています。イタリア半島にあるサンマリノでは、ワクチンパスポートとしてNFTを使っています。
     旅券や健康保険証代わりに使う試みも今後、出てくると思われます。投機目的の参入者だけでは、持続可能ではありません。ブロックチェーン技術は様々な場面で使える可能性があります。便利になれば、消費者への認知も上がるでしょう。

  • 宇宙最初の星はいつ生まれたのか。科学者は宇宙空間を探し回っています。今の太陽などの恒星と違い、ヘリウムや炭素は少なく、ほとんど水素ガスでできている巨大な恒星だったと考えられています。今回の発見は129億光年前の星だったわけで、解析が進むと宇宙初期の謎の解明に迫ることができます。遠ければ遠いほど宇宙初期にできた古い星になり、発見競争を繰り広げています。
     宇宙の始まりであるビッグバンから約2億年後に最初の星が誕生したと考えられています。136億光年離れた星がいつ発見されるのか、発見できるのかは科学のロマンです。個人的に興味を持って世界のニュースを追っています。

  • ジェット機によるCO2排出量は世界全体の温暖化ガスの3%ほどですが、途上国の需要が高まり、2050年までに現在の5倍近くに増えるとの予想があります。また、燃料に含まれる硫黄分などが温暖化を加速させる可能性が指摘されています。航空機の場合、電動化は技術的に困難です。大きな出力が必要な大型のジェット旅客機はCO2から作る合成燃料やバイオ燃料に頼らざるをえません。

  • 熊本地震では、高速道路の上をわたる「跨道橋」が崩落してふさいでしまいました。撤去に手間取り、復旧に時間がかかりました。この事故をきっかけに跨道橋の耐震対策は進んでいますが、まだ完全ではありません。南海トラフや千島海溝、日本海溝など海溝型の巨大地震では、高速道路のような緊急輸送に使う道路が使えなくなると、救助や支援物資の運搬に手間取り、被害を拡大させてしまいます。巨大地震はいつか起こります。その日に備えて、緊急輸送道路周辺の建設物の耐震化を急ぐ必要があります。

  • 化石燃料を燃やすことで、二酸化炭素だけでなく様々な汚染物質が大気中に放出されます。花粉症の悪化には大気汚染も大きく影響します。排ガスの浄化技術が進歩しても、世界全体で排出される汚染物質が増えれば、呼吸器をはじめ健康にはダメージを与えます。化石燃料の使用を減らしていくことは温暖化対策だけでなく、人々の健康にもプラスになります。こうした視点も必要です。

  • 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が進まないのは、東京電力の原子力部門が不祥事や不正を繰り返し起こしてきたためです。国や民間の事故調査委員会は福島第一原発事故を防げなかった理由として、東電の「組織的な問題」をあげています。東電は組織風土を変えるための研修などの努力を続けていますが、効果はどこまで上がったのでしょうか? 原子力部門は閉鎖的な組織になりがちで、その風土の変革を促すには、外部による監視・点検の目を入れることが欠かせません。

  • 日本も第二次世界大戦で、空襲によって多くの文化財を失いました。一方で、京都や奈良、鎌倉などの被害は小さくて済みました。戦後、親日家の美術研究者ウォーナー氏が米政府に日本に文化財の重要性を訴えたことから、古都は空襲を避けられたという「伝説」が広がりました。法隆寺や鎌倉駅の西口などに同氏の功績を讃える記念碑があります。3年前に法隆寺の碑を訪ねると、花が供えられていました。
     これはGHQが流したプロパガンダと歴史学者はみています。米国の公文書によると、京都は原爆投下の候補地だったため空襲を避け、奈良と鎌倉は優先順位が低かったというのが真相です。フェイクニュースが広がるのは今も昔も同じです。