【深尾三四郎】投稿一覧

深尾三四郎

伊藤忠総研 上席主任研究員

伊藤忠総研 上席主任研究員

1981年生まれ。03年英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)地理環境学部環境政策・経済学科卒。ヘッジファンドや国内外金融機関でのアナリストを経て、19年より現職。ブロックチェーンの国際コンソーシアム「MOBI」で理事も務める。近著に『モビリティ・エコノミクス~ブロックチェーンが拓く新たな経済圏』(日本経済新聞出版)。
【注目するニュース分野】モビリティ、ブロックチェーン、脱炭素、SDGs

1981年生まれ。03年英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)地理環境学部環境政策・経済学科卒。ヘッジファンドや国内外金融機関でのアナリストを経て、19年より現職。ブロックチェーンの国際コンソーシアム「MOBI」で理事も務める。近著に『モビリティ・エコノミクス~ブロックチェーンが拓く新たな経済圏』(日本経済新聞出版)。
【注目するニュース分野】モビリティ、ブロックチェーン、脱炭素、SDGs

4月23日

  • このタイミングで野心的な目標を掲げた意義は日本にとっても大きい。
    野心的なのがHondaらしく、海外企業とのオープン連携がHondaらしくない。「2040年にはグローバルで100%」は電動化に遅れた日系メーカーの印象を変える。脱オールジャパンも好印象。四輪EVではGMと中国CATLとの連携を強化。二輪では日欧で他社とコンソーシアムを組んで交換式バッテリー技術の標準化に着手し、どのメーカーのEVでも利用可能なバッテリー交換ステーションを数多く設置する。インドで三輪EVの実証実験を始め、日本で軽EVを投入する。脱エンジンで社内から反発も多いだろうが、新社長のNewホンダには創造的破壊は必要である。

  • ライバル各社が増産のアクセルを踏み過ぎて半導体需給が緩む可能性に要警戒。
    需要旺盛な中で供給制約が解除される局面では、シェア獲得を狙う半導体各社が焦って必要以上に増産してしまうという状況に陥りやすい。テキサスでの停電で工場停止中のサムスンは5月中の復旧を目指し、出荷量を停止前の水準に戻すのは6月以降。インフィニオンも6月に戻る計画。代替生産の立ち上がりが想定より前倒しで進んでいるとルネサスはいうが、これは能力増強中のTSMCのこと。
    インテルは12日、早くて半年後に自動車用で半導体工場を開放すると発表。インテルにアプローチする顧客が多いのは、競合他社の焦りを増幅する。ルネサスは特に焦りは禁物。

  • 政策立案者が産業に求める技術革新は非現実的なものであるのは当然だ。
    20年前に欧州の政治家・官僚を育成するロンドンの大学で環境政策を勉強したときにそう教えられた。
    トップ企業の技術力でも実現困難な厳しい環境対応を求める目的は、企業のイノベーションを促し、新しい経済圏を創造することで地域住民の雇用を創出し所得を向上させること。成功例は米マスキー法(1970年大気浄化法)という世界で最も厳しい排ガス規制をCVCCエンジンを発明したホンダが初めてクリアし、自動車産業の発展に貢献したと教わった。
    脱炭素とは欧州が得意な世界経済のゲームチェンジで、カーボンクレジットという新たな通貨創造、錬金術である。

  • 日産のチャイナモビリティ成功の立役者は永守流スピード経営を会得できるか。
    日産でも人望が厚かった関氏は中国事業を成功させゴーン氏退場後のCEO有力候補だった。時価総額8兆円企業の永守会長が、同2兆円の日産の元CEO候補に試すのはスピード経営。鴻海のEV参入やAppleカー登場と自動車に水平分業化の波が押し寄せる。スマホやPC同様にこれからの自動車ビジネスで成功の鍵を握るのはスピード感ある経営判断。即断即決で中華EVでの新規事業開拓を進められるかに関CEOの手腕が問われる。
    さて半導体で盛り上がる台湾(鴻海)にも近づく永守会長は、かつて買収先候補に挙がったルネサスの今をどう思っているのだろうか。

4月22日

  • デジタルツインを活用し人間中心デザインでシティをスマートにする。
    ブロックチェーンの国際団体の理事として、中国含むアジアの政府機関や都市とスマートシティについて情報交換している。スマホや車含め街のいたるところにあるセンサーが得たデータを基に、人、車、インフラのデジタルツインをサイバー空間上に創る。目に見えないデジタル通貨、エネルギーやCO2という新たな価値のインターネットも加える。これらの集合体が街のデジタルツインであり、そこでのシミュレーションを基に編み出されたソリューションを活用して、現実世界の人の行動変容を促す。人間中心デザインに則った街づくりでSDGsや脱炭素を実現することができる。

4月21日

  • 英国の野心的な脱炭素政策はスコットランドに由来する。
    スコットランドは地元住民のエネルギー消費を地場の風力発電だけで賄えることが可能だと分かり、2017年に32年までのエンジン搭載車全廃を表明した。自治政府の目標は英政府よりも野心的。沖合の北海油田では原油採掘よりも洋上風力発電の方が雇用創出力と経済貢献が大きいとみている。
    電気自動車は1832年にスコットランド人が発明したのが始まり。蒸気機関車も発明されたモビリティのメッカ、スコットランドのグラスゴーでCOP26が開催される。英国にとって脱炭素は産業革命以来の大変革。スコットランドは明治維新に深く関わったが日本も野心的な目標を掲げられるか。

  • 中国EVは同国自動車産業の国際化を担い日本にもやってくる。
    今年の上海ショーは民族系メーカーが在り来りなEVを出すかつてとは違い、デジタルという中国ならではの味付けをした「EV+アルファ」を数多く出展したのが印象的だった。「スマートEV」という言葉が飛び交ったことに象徴されるが、スマート家電と連携させて都市住民の日常生活により一層溶け込んだり、地方の若い女性向けにデザイン性を訴求するなど、まさにスマートに顧客目線で提供価値を追求している。日本に追いつき追い越せと必死だった中国メーカーが違う戦い方で進化を目指す。五菱の小型EVの類は日本にも到来する。中国EVを脅威とみるかオポチュニティとみるか。

4月20日

  • 完全復旧までの道のりは依然として険く楽観は禁物。
    難儀なクリーンルーム清掃を終え、社外からの大規模な応援によってここまで短時間で生産再開にこぎつけたのはサプライズ。5月中に能力が火災前の水準に回復すればそれも奇跡的。なぜなら、半導体は一度停止した生産を再開すると歩留まりを上げる(不良発生率を下げる)のに数か月はかかるデリケートな製品だからだ。主な社外協力が終了し、ルネサスのエンジニアが歩留まりと戦うステージに入るが、能力回復までの時間を人海戦術で短くできるようなものではない。なお、代替生産しているTSMCの台湾Fab14P7工場が14日、事故停電により稼働が一時停止した。その影響が気になる。

4月19日

  • 東京モーターショーがかすむ。
    伝統的な国際モーターショーの地盤沈下が進んでおり、デトロイトモーターショー(北米国際自動車ショー)は世界最大級のデジタル技術見本市「CES」に押されている。
    自動車産業のデジタル化と電動化に邁進する中国の熱気に世界が注目するようになった。結果、中国でのモーターショーはアジア最大規模になった。
    隔年開催の東京モーターショーが今年実施される予定だが、コロナ禍という影響よりも、東京モーターショーならではの提供価値を再定義できるのかという課題が重くのしかかる。

  • ブロックチェーンが才能ある無名アーティストを掘り起こす。
    GIF動画やデジタルイラストなどデジタル形式で創造されたデジタルアートはオンライン取引しやすいため、ブロックチェーンでアイデンティティ(固有性)を担保した「クリプトアート」として数多く流通されている。インターネットが存在する限り、オンライン取引可能なクリプトアートは火事や地震で物理的ダメージを受けない。
    音楽業界でも音楽事務所に属さない若手アーティストがオンライン上で楽曲コンテンツを直接ファンに販売している。決済通貨は暗号資産。
    営業力が小さいが才能ある芸術家や中小企業が多いイタリアで盛り上がったが、日本でも普及するポテンシャルがある。