【竹中治堅】投稿一覧

竹中治堅

政策研究大学院大学 教授

政策研究大学院大学 教授

日本政治、比較政治の研究、教育をしています。関心は首相の指導力、コロナ危機への対応過程、参議院の役割など。著作に『コロナ危機の政治:安倍政権vs.知事』『参議院とは何か – 1947〜2010』(2010年度大佛次郎論談賞受賞)『首相支配 —日本政治の変貌』など。
【略歴】東京大学法学部卒。スタンフォード大学政治学部博士課程修了。大蔵省、政策研究大学院大学助教授、准教授を経て現職。
【注目するニュース分野】政治・外交

日本政治、比較政治の研究、教育をしています。関心は首相の指導力、コロナ危機への対応過程、参議院の役割など。著作に『コロナ危機の政治:安倍政権vs.知事』『参議院とは何か – 1947〜2010』(2010年度大佛次郎論談賞受賞)『首相支配 —日本政治の変貌』など。
【略歴】東京大学法学部卒。スタンフォード大学政治学部博士課程修了。大蔵省、政策研究大学院大学助教授、准教授を経て現職。
【注目するニュース分野】政治・外交

2021年

  • 予約の空きがあるのであれば、例えば前日の17時時点で埋まっていない翌日の接種枠に対する予約を年齢制限なしに受け付けてはどうか。その上で接種した人には3週間以後の予約の空き分を優先的に割り当てることにする。ただモデルナ 社のワクチンについては気になることがある。一部の専門家の解説によれば、ワクチンの効果が弱まるので来年3回目を打つことが必要ということである。モデルナ 社のワクチンには数量に限りがあり、3回目を打てるのだろうか。ファイザー社のワクチンは9月末まで到着が続くとのことで、ワクチンを打たない人のことも考えると3回目を打てる可能性が高いと感じる。

  • 東京都の場合、小池都知事の言動に注目が集まるが、東京都がコロナ危機対応に必要な権限を全て持っているわけではない。特別区が検査の権限を持ち、ワクチン接種も担当する。東京23区はマスメディアの目も届きにくく、民主主義に必要な監視が効きにくい。こうした中、23区の接種状況を見える化することは特別区各区のガバナンス、区長の指導力について貴重な情報を提供してくれる。墨田区は接種体制の構築が素早いだけでなく、検査にも積極的であり、この区のガバナンスが良好なことを示唆する。メディアには23区の検査への取り組みについても調査し、報道してくれることを期待したい。我々研究者も頑張りたい。

  • 5月18日時点で9都道府県は判断基準となる指標の多くがステージ4の値を上回るか、それに近く、延長は妥当な判断である。今回、東京都で前回の解除から1ヶ月で発令を余儀なくされたのは第三波への対応が遅れ、感染者を十分に抑えられなかったためである。ただ、東京都では前回ほど悪化する前に発令したため状況は第三波の時に比べ深刻ではなく改善している。遅れたのは関西への対応である。大阪府や兵庫県は4月上旬にステージ4の指標をほぼ満たしていた。が発令は下旬であった。変異株の感染力の強さと相まって、感染は深刻となり、大阪府で自宅療養者の数が一時、1万5000人にも上った。6月20日に全面解除できるか予断を許さない。

  • すでに多くの報道がなされている通り、現在の対象地域への緊急事態宣言は延長されるだろう。一方、首相はワクチン接種に政治資本を注力している。今月、報道機関の調査による内閣支持率は30%台まで落ち込んでいる。7月の都議会選挙、オリンピック・パラリンピック、9月の自民党総裁任期満了を控え、来月の新型コロナウイルスの感染状況、ワクチン接種の進捗状況が政治的に極めて大きな意味を持つようになっている。首相にとっての朗報は5月24日の接種回数がすでに60万を超えたことである。宣言延長により感染状況がさらに落ち着き、ワクチン接種回数が順調に伸びれば、政権への評価も改善するだろう。

  • 国が大規模接種会場を運営するのは理解できる。ただ、東京と大阪あわせて1日あたり可能な接種人数は1万5000人であり、国が全国で想定する100万人のわずか1.5%である。国家の緊急事態に国が直接動員できる医療リソースが主に自衛隊という状況に疑問を感じる。国立病院機構機構法の上では厚生労働大臣は緊急時に国立病院機構に指示を下せる。このリソースを活用し、接種会場をもう数カ所運営することは十分考えられる。のみならず、国立病院の一部を専用病院化することも考えられる。しかし、これまで指示を下してこなかった。緊急時に国が活用できる医療資源を増やすことを真剣に検討すべきである。

  • 厚生労働省は水際対策以外にも検査など他の感染対策についても「難しいこと」、「実施しないこと」に合理的理由があるかのように説明をすることが多かった。これには注意が必要である。実際には対策を実施するキャパシティーがないことが実施に消極的である本当の理由であると考えられる場合が多いからである。横大道教授が認めるように移動制限は許容でき、水際対策を強化することは可能である。厚労省が抵抗するのは検疫所のキャパシティーが不足していることも大きな理由であると考えられる。厚労省は水際対策徹底のためのキャパシティーが足りないことを認め、率直に訴えるべきで、自民党も必要な予算・人員措置を行うべきである。

  • 4月末の日本経済新聞の世論調査によれば支持率は47%、不支持率は44%である。新型コロナウイルス 感染症対策を評価しないと答えた人は回答者の65%である。他の先進国と比べてワクチン接種の進捗が遅れていることに批判的論調も多い。しかし、こうした感染症対策への厳しい評価がかならずしも内閣支持率に大きな悪影響を与えていないのが現状である。安倍前首相や二階幹事長の首相続投を支持する姿勢はこうした世論の評価と合致する。首相や自民党幹部は今後ワクチン接種が進めば、安心感が広がり、政権の基盤はさらに安定すると期待しているのではないか。

  • 今年に入ってから東京都や関西3府県にとって緊急事態宣言やまん延防止措置が常態となった。東京都は1月7日から3月21日、4月25日から5月31日、関西3府県は1月14日から2月28日、4月25日から5月31日の間が緊急事態宣言の対象となった。東京都も関西3府県も4月上旬からまん延防止措置の対象となっていた。集中検査と隔離措置を大規模に行えば、感染抑制策として時短営業や休業要請に頼らずに済むはずであるが、国や地方公共団体はそうした措置を取る気配はない。オリンピックを開催する場合、緊急事態宣言下の実施という可能性も十分出てきた。

  • 自衛隊を活用し、接種を進めることは一策である。ダイヤモンド・プリンセス号の時も自衛隊を活用して検査を実施した。しかしながら、「医官や看護官による組織的活動が可能な唯一の国の組織」が自衛隊だけなのかどうかは疑問である。国立病院機構を活用することは検討しないのであろうか。国立病院機構法21条は緊急事態の時には厚労大臣が国立病院機構に指示することを認めている。今回の危機で気になるのは接種に限らず専用病院の設置などで国が国立病院を活用しないことである。国立病院は橋本行革で独立行政法人となったが、現行制度で危機のために活用することが難しいのであれば、再び国の組織とするべきである。

  • 保守層が強い広島で敗北したことは政権への風当たりが強いことを意味している。現在、考えられる総選挙の時期は⑴7月の都議選と同じタイミング、⑵9月のオリンピック・パラリンピック終了後から総裁任期満了の間、⑶9月の総裁選後である。首相自身、総裁任期中に選挙を行いたい考えを示している。⑴か⑵が選択肢であろう。ただ、時間が置けば置くほど、野党に再編を含めて態勢を整える余裕ができ、また新党が結成される可能性も高まる。首相は7月の都議選と総選挙を同時に行うことも考えているのではないか。