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土屋大洋

【エキスパート歴】2020年12月~2021年3月

【エキスパート歴】2020年12月~2021年3月

※このプロフィールは、エキスパートが就任していた時点のものです

慶應義塾大学 総合政策学部学部長
慶應義塾大学法学部卒業後、慶應義塾大学大学院法学研究科で修士号、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科で博士号取得。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター主任研究員などを経て、現職。主著に『暴露の世紀』(角川新書)、『サイバーセキュリティと国際政治』(千倉書房)など
【注目するニュース分野】国際政治、安全保障、サイバーセキュリティ

※このプロフィールは、エキスパートが就任していた時点のものです

慶應義塾大学 総合政策学部学部長
慶應義塾大学法学部卒業後、慶應義塾大学大学院法学研究科で修士号、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科で博士号取得。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター主任研究員などを経て、現職。主著に『暴露の世紀』(角川新書)、『サイバーセキュリティと国際政治』(千倉書房)など
【注目するニュース分野】国際政治、安全保障、サイバーセキュリティ

2021年

  • コロナ禍でデータ需要は伸びており、8%の帯域需要の伸びがあるとテレジオグラフィー社は予測しています。今後も太平洋横断ケーブルの需要は顕著です。完成間近だったPLCN(Pacific Light Cable Network)の差し止めは海底ケーブル業界に大きな衝撃となりました。東ミクロネシア・ケーブル・ プロジェクトも入札やり直しの見込みです。太平洋は米中海底ケーブル競争の主戦場です。かつてはNTTやAT&Tなどの通信事業者が敷設していた海底ケーブルですが、今はこの記事にあるようにフェイスブックやグーグルなどのOTTが敷設に関与するケースが多くなり、それも業界の変化の大きな要因です。

  • よくある手法とはいえ、露骨とも言えます。怪しいリンクをクリックしないと言っても、手の込んだものは怪しく見えないこともあります。まして広く情報を共有したいと思っている人たちはネットワークの拡大に積極的ですから、知らない人からのフレンド要請にも応じるでしょう。フェイスブックが対応してくれるのは良いことだとは思いますが、表現の自由との兼ね合いで過剰な取り締まりもできません。SNSは完全に自由で開かれたメディアとは言えませんが、アメリカ的価値観の下では、できるだけ自由で開かれている必要があるでしょう。中国はそれに乗じていると言えます。

  • 私の所属する慶應義塾大学総合政策学部および環境情報学部では、一般選抜(一般入試)の選択科目として情報科を数年前から入れてきました。選択してくれる受験生の数はそれほど多くありませんでしたが、日本全体でIT人材が足りない中、情報科が受験科目として入らないと学校でも予備校でも取り上げてもらえないと訴えてきました。それが全国規模で実現する見通しになったのは喜ばしいことです。表層的なテクニックの習得に留まらず、深い理解と能力へとつながる試験にしていただきたいです。

  • 日本市場ではほとんど外資の通信事業者がいなくなってしまいましたが、米国市場では昨年までソフトバンクが携帯電話のスプリントを保有していましたし、ドイツ系のTモバイルも事業を続けています。その中で、すでに米国で事業が認められていた中国系事業者の免許を取り消す検討がトランプ政権時代から行われていました。バイデン政権に代わってもその流れが変わらなかったことをこの記事は示しています。機器だけでなくサービスにも中国排除は拡大したことになります。

  • 記事内にもコメントを引用していただいているので余計かもしれませんが、もう少しだけ。海底ケーブルは2019年からトランプ政権の下で急速に注目されるようになりました。香港に接続予定だったPLCNという海底ケーブルが止められ、台湾とフィリピンに陸揚げされることになりました。2020年夏にはポンペオ国務長官がクリーン・ネットワーク計画を発表し、海底ケーブルも含むました。バイデン政権に代わってどうなるか海底ケーブル業界の関係者は注目していましたが、「クリーン・ネットワーク」という言葉は使わないものの、同様の政策を続けると聞こえてきています。

  • 米軍の太平洋軍(PACOM)司令官だったハリー・ハリス氏は「アジア太平洋」という言葉を使っていましたが、日本政府の影響を受けてか、トランプ大統領が「インド太平洋」と言い出したので、2018年に太平洋軍は「インド太平洋軍(INDOPACOM)」へと改称しました。ここでの「インド太平洋」は、本来的にはインド洋沿岸国と太平洋沿岸国を意味するもので、インドだけを特別扱いするものではありません。とはいえ、非同盟主義のインドをこうした枠組みに引き込めるとしたら意義の大きい取り組みでしょう。

  • この記事にある警察庁の「サイバーセキュリティ政策会議」の委員のひとりを務めました。この会議はもともと「総合セキュリティ対策会議」と言っていましたが、サイバーセキュリティに焦点を当てて再組織されました。全5回の議論ではさまざまな点をカバーしましたが、この記事にあるように犯罪者の「分業」が進んでいることが印象的でした。それぞれの役割を担う人たちは面識もなく、どこに住んでいるのかも分かりません(外国の場合も多いでしょう)。こうした犯罪を追いかけるのは大変やっかいで、官民の協力も不可欠だと報告書は指摘しています。

  • コンピュータによる高速取引が金融市場を大きく変えましたが、その次の波が、大量のアプリ取引なのかもしれません。日本で個人投資家を増やす試みも、こうした不確実性の高まりによって頭打ちになりかねません。市場の動きがあまりに予測不可能になれば、やがて個人投資家は近寄らなくなるでしょう。しかし、規制やルールばかり増えるのも、市場のダイナミズムを失わせることになり、SECの新委員長は難しい舵取りを担うことになります。

    (それにしてもゲンスラー氏の後ろに座る女性はご家族なのでしょうか。)

  • クリントン政権はインターネットに「unregulation」を適用することによって事実上の促進・育成政策をとりました。それによって、現在のようなGAFAMと呼ばれるような巨大企業が登場しました。それを転換し、社会秩序の維持のために規制を行うとすれば、これまで中国やロシアが言ってきたロジックと同じになってしまいます。暴力を伴わない言論の自由、表現の自由を維持する方法を米国は模索しなければなりません。

  • ミャンマーのネットワーク構成を見ると、南の旧都ヤンゴンから北方内陸部の首都ネピドーを通り、中国の昆明市に抜けていくルートが主要ルートのように見えます。海外につながる海底ケーブルが数本、他に隣国タイとの接続点が数カ所あるようです。国際的なゲートウェーを政府が押さえていれば、海外とのアクセスの遮断は容易でしょう。記事によれば国内の通信事業者も当局から要請を受けたとのことですから、インターネットの回復は政府の意向次第なのかもしれません。ただ、この時代にどこまで完全に情報封鎖ができるのか、注目したいと思います。