2030 Game Change

2030年に今の経済・社会を維持するには「地球2個」の資源があっても足りないという。成長をけん引してきた大量生産・廃棄システムとどう向き合い、「捨てない」経済への転換を迅速に進められるか。空気から水を作る米スカイソースのデイビッド・ハーツ社長、循環経済に詳しい東大大学院の梅田靖教授に展望を聞いた。 米スカイソース社長　デイビッド・ハーツ氏 ――空気から水を取り出す事業に挑戦しています。 「1台

米中対立が生むルールの分断が世界を揺さぶっている。米国の指導力が陰るなか、中国の統制主義に賛同する国も多くはない。ルールが乱立する中、国や企業はどう連携していくのか。ジュネーブ国際高等問題研究所のリチャード・ボールドウィン教授、国際政治が専門の細谷雄一慶大教授に先行きを聞いた。 ジュネーブ国際高等問題研究所　リチャード・ボールドウィン教授 ――世界共通のルールづくりが難しくなっているのはなぜでし

「見えないお金」の登場で社会や経済が変わりつつある。従来のお金の常識は崩れ、国・企業の戦略や競争力にも影響を及ぼしかねない。金融のゲームチェンジの行方を元財務官で国際通貨研究所名誉顧問を務める行天豊雄氏、オンライン決済など手がける米ストライプ最高財務責任者（CFO）のディビア・スリヤデバラ氏に聞いた。 元財務官、国際通貨研究所名誉顧問　行天豊雄氏 ――中央銀行が発行するデジタル通貨（CBDC）の

低成長から脱せない日本経済。変化を恐れずイノベーションを起こすための条件とは。早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏とシブサワ・アンド・カンパニー代表の渋沢健氏に話を聞いた。 早稲田大学ビジネススクール教授　入山章栄氏 ――日本経済は長きにわたって低成長が続いています。 「平成初期には日本企業が世界の時価総額ランキング上位に名を連ねた。その後グローバル化が進み、海外の市場に出なければ時価総額

急速に進化する人工知能（AI）技術を人類の発展にいかに結びつけるか。共存のあり方や将来の社会の姿について、プリファード・ネットワークス最高研究責任者の岡野原大輔氏と慶応大准教授の徳井直生氏に聞いた。 生命科学研究の飛躍導く プリファード・ネットワークス最高研究責任者　岡野原大輔氏 ――創薬などの分野で人工知能（AI）の活用に力を入れています。 「AIは進化し続け、3～5年前、あるいは10年前には

いずれやってくる世界的な人口減少ではどれだけ働き手の能力を引き出せるかが競争力を左右する。デジタル時代に即し、教育や人材育成のあり方はどのように変わるべきなのか。無料オンライン教育講座「カーン・アカデミー」を創設したサルマン・カーン氏と、東京大学長や日本政府の教育再生会議委員などを歴任した小宮山宏・三菱総研理事長に話を聞いた。 学習意欲、理解補い向上 カーン・アカデミー創設者　サルマン・カーン

格差や貧困が広がり、デジタル化やグローバル化で価値観も多様化する中、統治のあり方が問い直されている。政府と市民がどう連携し、どんな仕組みをつくるのが理想なのか。兵庫県加古川市の岡田康裕市長、東京大学の柳川範之教授に聞いた。 加古川市長　岡田康裕氏 ――スペイン発の市民参加型の政策決定ツール「デシディム」を2020年に導入しました。 「長年の課題だった若い世代の政治参加を促したかった。財政や環境問

様々な分野で過去の前提や常識が覆されるゲームチェンジが起きている。未曽有の大変革に我々はどう立ち向かうべきか。各界の専門家や識者の見方を今後、複数回にわたって取り上げる。初回はメタバース（仮想空間）などデジタル。米ナイアンティックのジョン・ハンケ最高経営責任者（CEO）、米スタンフォード大のエリック・ブリニョルフソン教授に展望や対策を聞いた。 米ナイアンティック最高経営責任者　ジョン・ハンケ氏

今までの常識が一瞬で過去のものになる「ゲームチェンジ」の時代が迫っています。テクノロジーや統治体制、気候変動、ウイルスの世界的大流行――。あらゆる分野のルールや前提が一変する中、人類は何を考え、どう対応していくべきなのでしょうか。果て無き挑戦のヒントを読み解いた連載企画「2030 Game Change」を振り返ります。 2月15日からは各分野の専門家のインタビュー連載も始めています。 「203

脱炭素を受け欧州などで始まった原子力発電回帰の動き。それでも安全面で慎重姿勢を示す国は少なくない。期待を集めるのが太陽と同じ原理で無尽蔵のエネルギーを生む核融合発電だ。原発のような放射性廃棄物（核のごみ）を出さず暴走リスクも少ないとされる。 米企業、2000億円の資金調達 2021年12月、同分野としては最大規模となる18億ドル（約2000億円）の資金調達を米マサチューセッツ工科大学（MIT）発