長期金利は操れるのか 金融政策「手品」の限界 Think! コラム 経済 7月7日 20年近く前に日銀を担当していたとき「中央銀行は長期金利をコントロールできない」が常識だった。 記憶に残る日銀総裁の発言がある。 「金融政策上の手品だけで、長期金利を経済やインフレ率の実勢と切り離して低位に固定できるというものではない」。2006年7月14日に日銀がゼロ金利政策の解除を決めた際、当時の福井俊彦総裁が記者会見で語ったことばだ。 ゼロ金利の解除をにらみ、長期金利がじりじりと上がってい 長期金利は操れるのか 金融政策「手品」の限界
「ポスト黒田」とアコード 戦後米国の教訓 コラム 経済 6月30日 2013年1月。アジア開発銀行の本拠マニラから一時帰国した黒田東彦・同行総裁(当時)が財務省幹部と向かい合った。 話題は政府と中央銀行が交わす「アコード(政策協定)」と呼ばれる文書。首相の座に返り咲いたばかりの安倍晋三氏の意を受け、日銀に物価上昇率2%の約束を促す枠組みづくりが大詰めを迎えていた。 「そう、日銀がもっとやればいいんだ」。黒田氏は歯切れよく語っていたと関係者は振り返る。日銀総裁に指 「ポスト黒田」とアコード 戦後米国の教訓
円安とプーチン氏 1998年参議院選挙の追憶 岸田政権 参院選2022 コラム コラム 政治 6月23日 「しまった」。東京・南青山の自民党の加藤紘一幹事長邸に行くと、すでに加藤氏は出た後だった。 1998年7月12日の参院選投開票日。午前中の報道各社の出口調査で自民党が苦戦している情報を知り、午後の早い時間に南青山に向かった。当時、自民党幹事長番の記者だった。 橋本龍太郎首相(自民党総裁)退陣の歯車が回り始めていたとはつゆ知らず、都内のホテルに幹事長車を探し回った。まだ政治家が携帯電話を持つのが日 円安とプーチン氏 1998年参議院選挙の追憶
G7と日本、脱石炭では相いれず 共同声明の解釈に火種 Think! 経済 環境エネ・素材 6月16日 主要7カ国首脳会議(G7サミット)が26日に始まる。気候変動も議題の1つになる。先だって5月27日に終わった気候・エネルギー・環境担当閣僚会合における一連の交渉で目立ったのは日本と欧米の姿勢の違いだ。懸案の石炭火力発電所の廃止を巡り、日本の主張で年限が削除されたことが象徴する。ウクライナ危機ではG7と緊密に連携してきた日本だが、気候変動政策では立場が相いれないようだ。 共同声明の柱は「対策が講じ G7と日本、脱石炭では相いれず 共同声明の解釈に火種
所得流出で開く新たな「ワニの口」 GDP統計が映す停滞 Think! コラム 経済 6月9日 新たなワニの口が開きつつある。国内総生産(GDP)統計を眺めると、日本の苦境がくっきり浮かぶ。経済全体の鈍い成長ペース以上に、所得が落ち込んでいるのだ。 新型コロナウイルスの流行第6波が直撃した1~3月期。内閣府が8日に発表した実質GDP(2次速報)は前期比年率0.5%減と、2四半期ぶりのマイナス成長だった。GDPを所得に置き換えた実質国内総所得(GDI)は2.3%減と、より深く沈んだ。 ワニの 所得流出で開く新たな「ワニの口」 GDP統計が映す停滞
プーチン氏の悪事を抑止 岸田首相とG7広島 日米首脳会談 G7首脳会議 バイデン政権 岸田政権 ウクライナ侵攻 バイデン氏来日 広島 コラム 政治 6月2日更新 岸田文雄首相は5月23日のバイデン米大統領との会談で、2023年の主要国首脳会議(G7サミット)の開催地を広島にすると表明し、バイデン氏も賛同した。16年5月にオバマ氏が米大統領として初めて訪れた広島を思い返した。 オバマ氏の広島訪問をホワイトハウスの同行記者団で取材した。米側の要請で取材が非公開とされた場所があった。原爆資料館である。 原爆被害の凄絶さや悲惨さを伝える写真や展示物が置かれている プーチン氏の悪事を抑止 岸田首相とG7広島
ウクライナ侵攻 長期化のインパクト 5月31日更新 政治部長と経済部長が独自の視点でニュースを解説する「Angle LIVE」。今回はロシアによるウクライナ侵攻の長期化が世界・日本にもたらすリスクを見通します。プーチン大統領が戦況を見誤ったのはなぜなのか、すでに顕在化しているエネルギー問題、物価高に参院選を前にした岸田政権がどう向き合っていくのか、記事には書けないオフレコ情報を交えて語り尽くします。 ウクライナ侵攻 長期化のインパクト
中国ゼロコロナの無謀 世界経済襲う「双循環」 Think! コラム 5月26日 北京で暮らす旧知の中国人から悲鳴のようなメールが届いた。「オフィスでの勤務もレストランでの飲食も認められず、あのとき以上に厳しい規制に苦しんでいます」 「あのとき」とは、湖北省の武漢を起点に新型コロナウイルスが中国全土に広がった2020年1~3月をさす。北京市もかつてない厳戒態勢を敷き、街角から人影が消えたのはいまと同じだ。 ただ、当時は「外出するな」とまでは言われなかった。制限つきながらオフィ 中国ゼロコロナの無謀 世界経済襲う「双循環」
官から民へ一時停止14年 「ぬえ」の政投銀、再考のとき コラム 5月19日 新型コロナウイルスがまん延して3回目の春が過ぎる。連休中の各地のにぎわいは災いが出口にさしかかったと思わせた。 だが、コロナの傷は今も癒えない。新千歳など北海道の7空港を束ねる北海道エアポート(千歳市)を取材し、改めて感じた。 同社が事業を始めたのは「中国で原因不明の肺炎」と伝わった2020年1月。以来、空港は閑散とし、経営は赤字にまみれた。 「あまりに理不尽だ」。蒲生猛社長が憤るのは開業とコロ 官から民へ一時停止14年 「ぬえ」の政投銀、再考のとき
「工作員」プーチン氏の限界 日本、国防予算に転換を ウクライナ侵攻 プーチン氏動向・解説 Think! ヨーロッパ 政治 5月12日 工作員(スパイ)は諜報(ちょうほう=インテリジェンス)はできるものの、戦略(ストラテジー)は描けない――。スパイの役割をパズルに擬するなら完成図を知らされずに1つのピースを埋めるために奔走する職務の印象だ。 旧ソ連の国家保安委員会(KGB)出身でスパイ活動が染みついているロシアのプーチン大統領に戦略を持てというのは無理な話でもある。ウクライナ侵攻の長期化は「工作員」プーチン氏の限界と迷走がもたら 「工作員」プーチン氏の限界 日本、国防予算に転換を