「人新世」に求められる「大きな物語」 平東海大学教授 コラム 科学&新技術 5月24日 加速度的な科学技術の進歩を土台にする人間活動の拡大と高速化は地球環境に大きな変化をもたらしている。地球の歴史に刻まれる人間の時代「人新世」の始まりといわれる。地質学者の平朝彦・東海大学海洋研究所所長は著書「人新世 科学技術史で読み解く人間の地質時代」で科学技術の知的体系と人間的共感を基盤とした新しい「人間と地球の大きな物語が必要だ」と主張する。 ――「人新世」はまだ正式な学術用語でありませんが、 「人新世」に求められる「大きな物語」 平東海大学教授
高温超電導のナゾに挑む 上村洸・東京理科大名誉教授ら コラム 科学&新技術 5月18日 高温超電導物質である銅酸化物系セラミックス材料において、なぜ電気抵抗がゼロになる「超電導状態」が実現するのか、そのメカニズムに関する長年の論争に決着がつくかもしれない。上村洸・東京理科大学名誉教授らの研究グループがスーパーコンピューター「京」を用いて原子レベルで現実の材料を正確に模擬、上村氏らが提唱する理論モデルの正しさを裏付けた。 1986年の高温超電導物質の発見は衝撃的だった。当時IBMチュ 高温超電導のナゾに挑む 上村洸・東京理科大名誉教授ら
SFは「人間能力拡張」の文学 作家の鏡明さんに聞く コラム 科学&新技術 編集委員 5月10日 人工知能(AI)や生命科学の急速な進歩はS F(空想科学小説)の世界を現実にしつつある。「理系文学」の創出を掲げた日経「星新一賞」の審査委員長を10年にわたって務めるSF作家の鏡明さんはSFの本質を「人間能力の拡張にある」と話す。中国をはじめとする世界的なSF人気の背景を聞いた。 ――SFは世界的にみてブームにあるのでしょうか。 「ある種のブームだと思う。日本では若い作家が次々と出ている。かつて SFは「人間能力拡張」の文学 作家の鏡明さんに聞く
決裂を回避した政府と学術会議 今後の「対話」に課題 コラム 科学&新技術 4月27日 政府は日本学術会議法改正案の今国会提出を見送った。学術会議は4月17、18日に開いた総会で、改正案の提出をいったん思いとどまり日本の学術体制全体の見直しを話し合う場を設けるよう政府に求める「勧告」を決議していた。政府と学術界の決裂はとりあえず回避されたが、これは終わりではなく「第二幕」の始まりだろう。政府が「開かれた協議の場」を設け学術界と対話に向かうのか注目される。 学術会議総会では内閣府の担 決裂を回避した政府と学術会議 今後の「対話」に課題
福島第1原発のデブリ大規模取り出し、専門家が工法議論 コラム 科学&新技術 4月19日 原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)は東京電力福島第1原子力発電所の溶融燃料(燃料デブリ)の大規模な取り出し工法を専門的に検討する組織を設け、議論を始めた。少量のデブリの試験的な取り出し計画が遅れるなど廃炉の進展に停滞感が漂っている。技術的に大きな方向性を見出し、福島第1原発周辺の地域の人々に将来への展望を示す狙いが背景にある。 新組織は「燃料デブリ取り出し工法評価小委員会」。NDFの廃炉等 福島第1原発のデブリ大規模取り出し、専門家が工法議論
ハードディスクに革新 物質・材料研究機構の高橋氏 コラム 科学&新技術 4月14日 ハードディスクの記憶容量を増大させる新たな磁性材料の実用化に日本の物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の研究チームが大きく貢献した。ハードディスクはデータセンターに欠かせず、消費電力量の問題も懸念されている。同機構の高橋有紀子・磁性・スピントロニクス材料研究拠点磁気記録材料グループリーダーに研究の現状と課題について聞いた。 ――なぜハードディスクの記録密度を上げる必要があるのですか。 「私たちが ハードディスクに革新 物質・材料研究機構の高橋氏
核融合発電、カギ握る高出力レーザー開発 大阪大学など Think! エレクトロニクス 環境エネ・素材 コラム 科学&新技術 3月30日 レーザー核融合への関心が高まっている。2022年12月に米国の国立研究所が高出力レーザーを用いて核融合反応によるエネルギー発生に成功したのがひとつの契機だ。日本国内で長年、レーザー核融合の研究開発に取り組んできた研究拠点が大阪大学レーザー科学研究所だ。 大阪大学の研究者らは「高速点火方式」と呼ばれる手法による核融合の実現を提唱している。ナノ(ナノは10億分の1)秒台の短いパルス状のレーザービーム 核融合発電、カギ握る高出力レーザー開発 大阪大学など
パンデミックと気候変動、第一人者同士が語る処方箋 コラム 科学&新技術 3月22日 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)は、三大感染症にとどまらず新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)においても中低所得国の対策支援に力を注ぐ。同ファンドのピーター・サンズ事務局長が3月初旬に来日した際に、国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)特別顧問の末吉竹二郎氏と、パンデミックと地球環境問題との関連について話し合ってもらった。 ――日本では新型コロナの流 パンデミックと気候変動、第一人者同士が語る処方箋
脱炭素社会を引き寄せる 英BBC「100人の女性」に選出 人間発見 G7広島サミット カーボンゼロ 都市と気候危機 編集委員 コラム ワークスタイル 3月19日 環境政策を提言する一般社団法人クライメート・インテグレート代表理事の平田仁子さんは2022年12月、英BBC放送が様々な分野で社会に影響を与える女性を選ぶ「100人の女性」の1人に選ばれた。21年には「環境分野のノーベル賞」とされるゴールドマン環境賞を受賞。気候変動問題に長年取り組んできた活動が世界的に評価されている。 どちらも寝耳に水でした。ゴールドマン環境賞は日本湿地ネットワーク代表などを務め 脱炭素社会を引き寄せる 英BBC「100人の女性」に選出
「政治と科学アカデミーは対等」 G7学界代表が会見 コラム 科学&新技術 3月16日 日米欧などの主要7カ国(G7)のナショナルアカデミーの代表者による記者会見が3月8日に開かれ、「科学アカデミーの独立した活動が重要だ」など政策決定における科学の重要性と科学アカデミーの独立性を重視する考えが相次いで表明された。 日本学術会議は3月7日、「Gサイエンス学術会議2023」を日本学術会議講堂(東京・港)で開催した。5月に広島市で開催予定の主要7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、G7各 「政治と科学アカデミーは対等」 G7学界代表が会見