福島第1原発、処理水海洋放出の準備工事をつぶさに見る 科学&新技術 編集委員 5月18日 東京電力福島第1原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)では、懸案である処理水の海洋放出に向けた準備が進んでいる。放出設備に関する原子力規制委員会の審査はほぼ終了、東電は2023年春の放出開始を目指すが、地元の理解という高いハードルがある。日本記者クラブの取材団に加わって現地を訪れた。 海に面する護岸に掘った巨大な立て坑の底に、シールドマシン(トンネル工事用掘削機)があった。処理水を原発沖合1キロの 福島第1原発、処理水海洋放出の準備工事をつぶさに見る
コロナ流行を下水から予測 東北大など、見えてきた効用 科学&新技術 編集委員 5月4日 都市下水中の新型コロナウイルス調査に取り組む動きが日本や欧米で広がっている。仙台市では、東北大学の佐野大輔教授らの研究グループが中心となり、下水調査をもとに1週間先の新型コロナ陽性者数を予測する世界でも例を見ない試みが2021年秋からスタートした。予測精度は高く、さまざまな自治体で幅広く応用できれば市民や医療関係者向けの情報提供に役立ちそうだ。 東北大学と山形大学、北海道大学、仙台市、建設コンサ コロナ流行を下水から予測 東北大など、見えてきた効用
全ての動植物のゲノムを解読 多様性の保全、育種に利用 コラム ヘルスケア 科学&新技術 4月30日 地球上の全ての動植物のゲノム(全遺伝情報)を解読する「地球バイオゲノム計画」を世界の科学者が協力して進めている。参加団体などが情報交換し成果を持ち寄る自発的なネットワークで取り組む。生物多様性の保全や食料問題の解決にもつながるという期待がある。 全ての真核生物のDNAの塩基配列を明らかにし、カタログにするのが目標だ。真核生物は動植物や菌類など細胞内に核を持つ生物の仲間で、確認されたものだけで約1 全ての動植物のゲノムを解読 多様性の保全、育種に利用
ウクライナ危機でグリーン水素に脚光 英誌編集長に聞く コラム 科学&新技術 編集委員 4月28日 世界の主要国は二酸化炭素(CO2)排出の実質ゼロをめざすカーボンニュートラル実現の追求を掲げているが、ロシアのウクライナ侵攻によって気候変動政策に影響が及ぼうとしている。特にロシア産天然ガスへの依存が大きかった欧州では影響が大きく、エネルギー政策や研究開発の転換を迫られる。エネルギー研究に関する英科学誌「ネイチャー・エナジー」のニッキー・ディーン編集長に動向を聞いた。 ――ウクライナ危機でエネル ウクライナ危機でグリーン水素に脚光 英誌編集長に聞く
「量子ネーティブ」を育てよ 阪大・東大の人材育成術 科学&新技術 編集委員 4月20日 人工知能(AI)やビッグデータの活用による産業や社会の変革が始まりつつあるが、ミクロの世界特有の物理法則(量子力学)に立脚した「量子技術」は変革を飛躍的に加速すると期待される。政府は「量子技術イノベーション戦略」の下、量子技術に秀でた研究者などの育成を進める大学を支援している。大阪大学と東京大学の取り組みを関係者に聞いた。 阪大の量子情報・量子生命研究センターは、ビジネスパーソンを対象に実践的な 「量子ネーティブ」を育てよ 阪大・東大の人材育成術
分身ロボで「孤独」をなくせ オリィ研究所・吉藤代表 コラム 科学&新技術 編集委員 4月14日 東京・日本橋にある「分身ロボットカフェDAWN ver.β(ドーンバージョンベータ)」は、病気や身体障害で外出困難な人たちが遠隔操作ロボットを介して接客する。「OriHime(オリヒメ)」と名付けられたこのロボットは、カフェを経営するオリィ研究所(東京・中央)の吉藤健太朗代表が開発した。寝たきりでも自分の居所、働き場所を見つけ社会から隔絶された「孤独」をなくすのが目的だという。吉藤代表に聞いた。 分身ロボで「孤独」をなくせ オリィ研究所・吉藤代表
「ブラックペレット」で脱石炭を 出光が事業立ち上げ コラム 科学&新技術 編集委員 4月6日 出光興産は木材を半炭化したバイオマス燃料「ブラックペレット」の商用化に挑んでいる。ブラックペレットを石炭に混ぜて燃やすことにより石炭火力発電の二酸化炭素(CO2)排出を減らし、最終的にはブラックペレットのみを燃料にする専焼化によりCO2排出を実質的にゼロにするカーボンニュートラルを目指す。2022年11月にベトナムで製造プラントを稼働させる。 ブラックペレットは木材を細かく砕いて固めた固形のバイ 「ブラックペレット」で脱石炭を 出光が事業立ち上げ
フィンテックの力で「幸せの前借り」を 中島徳至さん 人間発見 生活 編集委員 4月3日 「フィンテックの力で世界から貧困と環境問題をなくしたい」。グローバルモビリティサービス(GMS、東京・港)社長の中島徳至さんは、ローンの支払いが滞った時に車のエンジンを遠隔操作で止められる技術を使い、信用力が乏しい人でも車を持てる仕組みを開発した。所得が少ない海外のタクシー運転手が貧困を脱出する社会創造に挑んでいる。 フィリピンに行ったとき、黒煙をモクモクと吐き出してたくさんのトライシクル(三輪自 フィンテックの力で「幸せの前借り」を 中島徳至さん
潜在市場大きいビジネスメタバース oViceセーヒョン氏 コラム 科学&新技術 3月31日 インターネット上の3次元仮想空間「メタバース」を提供するビジネスが台頭し、話題になっている。2000社以上の企業に仮想オフィスを提供するoVice(オヴィス、石川県七尾市)は「ビジネスメタバース」を標榜し、誰でも使いやすい2次元の世界を提供してユーザーを増やしている。ジョン・セーヒョン最高経営責任者(CEO)に聞いた。 ――新型コロナウイルス禍でテレビ会議が当たり前になりました。アバター(分身) 潜在市場大きいビジネスメタバース oViceセーヒョン氏
UNEP・FI末吉竹二郎氏 「GX競争」勝ち抜く指導力を 私のリーダー論 SDGs 生活 編集委員 3月24日 国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP・FI)特別顧問の末吉竹二郎さんは2018年、仲間と共に官民組織の気候変動イニシアティブ(JCI)を立ち上げた。約680の企業や自治体、非政府組織(NGO)が参加し、末吉氏が代表を務める。21年4月に新聞の意見広告で、日本政府を先取りする大幅な温暖化ガス排出削減を提唱。「生き残りをかけたグリーントランスフォーメーション(GX、環境重視の社会改革)の競争が始 UNEP・FI末吉竹二郎氏 「GX競争」勝ち抜く指導力を