知財・無形資産生かすには 識者に聞く 瀬川 奈都子 時論・創論・複眼 編集委員 5月2日 2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)は知的財産への投資を取締役会が監督し、開示すべきだとした。主要上場会社を比較すると、米国企業は企業価値に占める無形資産が9割に達するのに対し、日本企業は3割にとどまる。知財・無形資産を生かすカギを経営者らに聞く。 ◇ ◇ ◇ 経営判断の重要なツール 旭化成会長 小堀秀毅氏 日本企業は知財・無形資産を生かし切れていない 知財・無形資産生かすには 識者に聞く
知財開示、キリンや明治が先行 統治コード改訂が後押し 国際法・ルールと日本 法務・ガバナンス 編集委員 4月18日 2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が上場会社に知的財産の開示を求めてから1年近く。消費財メーカーを中心に積極的な開示でブランド向上を目指す動きが出始めている。ただ実際に業績に結びつける道のりは平たんではない。知財の力を投資家や消費者に訴える試行錯誤が続きそうだ。 知財力、投資家にアピール 「我々が力を入れる『プラズマ乳酸菌』の優位性を知財面から裏付けることは 知財開示、キリンや明治が先行 統治コード改訂が後押し
契約に「不可抗力条項」で備えを ロシアの侵攻で課題に ウクライナ侵攻 国際法・ルールと日本 千葉 愛知 Nikkei Views 編集委員 4月12日 ロシアによるウクライナ侵攻に伴い、日本企業にとって契約における有事の「不可抗力」がキーワードに浮上してきた。両国との取引はもちろん、危機で生じた「すべての取引の契約不履行や遅滞」が対象となり得る。取引先との紛争となれば不可抗力を論証できるか否かに、責任の有無がかかってくる。 工作機械大手のDMG森精機は3月上旬、受注済みを含め、日本と欧州からロシアへの工作機械の輸出を停止した。同国西部のウリヤノ 契約に「不可抗力条項」で備えを ロシアの侵攻で課題に
ネスレ、法務が支えた新事業 「契約DX」活用広がる 法務インサイド 国際法・ルールと日本 法務・ガバナンス 編集委員 3月2日 契約書の作成や管理を効率化する「契約DX(デジタルトランスフォーメーション)」を進める企業が目立ち始めた。新ビジネスのスタートを支えたり技術防衛に役立ったりしているケースがある。一方、契約DXが進まない企業は「推進者の不足」などが足かせになっているようだ。 ネスレ日本は2020年12月、健康食品大手のファンケルと共同で栄養価の高い飲料を手軽に楽しめるサービス「ネスキーノ」を始めた。利用者は栄養価 ネスレ、法務が支えた新事業 「契約DX」活用広がる
知財とDX・ESGは表裏一体 企業は二兎追え コラム 自動車・機械 住建・不動産 法務・ガバナンス Nikkei Views 編集委員 ESG 2月7日 企業が無形資産を意識した経営に取り組む際に参考にする政府の「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」が1月28日、決定した。DX(デジタルトランスフォーメーション)やESG(環境・社会・企業統治)に追われる企業は「知財は後回しだ」と思うかもしれないが、それは誤りだ。どんな企業もDX、ESGを進めると知財・無形資産の問題に突き当たる。 政府がガイドラインを策定したのは、2021年6月に東京証券取引所 知財とDX・ESGは表裏一体 企業は二兎追え
SNS介し模倣品販売、日本に迫る コロナ下で被害急増 国際法・ルールと日本 新型コロナ 法務・ガバナンス Nikkei Views 編集委員 1月20日 世界で新型コロナウイルスの感染が続く中、模倣品の規模が膨らんでいる。特に近年目立つのが、インターネットのSNS(交流サイト)を介してEC(電子商取引)サイトに誘導し、消費者に偽物を購入させる手口だ。巣ごもりでECが増え、模倣品販売業者もシフトした。アパレルや家電など日本の消費財メーカーも連携し、2022年から国内消費者への注意喚起など本格的な対策に乗り出す構えだ。 そもそも、いったい世界に模倣品 SNS介し模倣品販売、日本に迫る コロナ下で被害急増
経営トップは無形資産に定見を、ゲームチェンジ仕掛けろ 法務・ガバナンス 編集委員 1月16日 ソニー(現ソニーグループ)やパナソニック、シャープなど日本の大手電機が軒並み巨額損失を計上していた2010年代前半。筆者が「例外」として、記事で評価していたメーカーが2社あった。比較的、業績が順調とみえた東芝と三菱電機だった。 当時、筆者は両社を「知的財産を駆使して企業向け(BtoB)事業モデルを磨いた結果、他社と一線を画する」とみていた。東芝はフラッシュメモリーの世界市場で存在感を保ち、三菱電 経営トップは無形資産に定見を、ゲームチェンジ仕掛けろ
知財活用でゲームチェンジ目指す 政府が企業向け指針案 国際法・ルールと日本 編集委員 12月21日 企業が知的財産や無形資産の投資・活用を通じて成長することを促すため、政府がガイドライン案をまとめた。経営者には、知財投資を「費用」と捉えたり知財部門に丸投げしたりすることなく、全社を挙げて知財の活用に取り組んで「ゲームチェンジ」につなげることが期待されている。知財戦略は機関投資家らに開示し、資金調達に生かすべきだなどとした。 内閣府知的財産戦略推進事務局と経済産業省が共同で立ち上げた検討会が20 知財活用でゲームチェンジ目指す 政府が企業向け指針案
キリンのミャンマー合弁暗雲 従来型のリスク管理に限界 国際法・ルールと日本 Think! サービス・食品 法務・ガバナンス 東南アジア Nikkei Views 編集委員 12月20日 キリンホールディングス(HD)がミャンマーにおける国軍系企業との合弁解消で苦闘している。国軍系企業に持ち分を手放してもらうようシンガポールで国際仲裁に打って出たが、前途は険しい。国軍系企業は現地の裁判で先行している。国際仲裁は従来の事業リスクの回避策としては有効だったが、「人権」「環境」といった新たなリスクに対応するため、企業は意識改革や事前調査を強める必要がある。 「キリンとしては合弁を解消 キリンのミャンマー合弁暗雲 従来型のリスク管理に限界
高度な知財活用、挑む新興 トップ主導で大企業をリード 法務インサイド 編集委員 12月8日 知的財産の高度な活用に挑むスタートアップ企業が現れている。アイデアにIT(情報技術)を組み合わせるビジネスモデル特許、特許を開放と独占で使い分けるオープン&クローズ戦略、知財をテコにした新株予約権の大学への付与などの事例だ。原動力はトップの主導やガバナンス体制の構築。知財など無形資産の活用に手間取る大手企業に、むしろ先行する例も出ている。 「新規性の高い事業を守るため自ら特許を考えている」。不動 高度な知財活用、挑む新興 トップ主導で大企業をリード