初代サイバー警察局長 河原淳平氏に聞く 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 4月21日 重大サイバー事案への対処能力を高めるため、警察庁が「サイバー警察局」と「サイバー特別捜査隊」を創設した。組織改正の狙いはどこにあり、今後どのように活動していくのか。初代サイバー警察局長の河原淳平氏(58)に聞いた。(聞き手は編集委員 坂口祐一) ――なぜ、サイバー警察局と特別捜査隊を設置したのか? 「身代金要求型ウイルス、ランサムウエアによる被害が拡大し、外国の政府が背景にあるようなサイバー攻撃 初代サイバー警察局長 河原淳平氏に聞く
サイバー特捜隊発足 「日本式」で国際標準に挑む 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 4月21日 警察庁に4月、サイバー対策を一元的に担う「サイバー警察局」が誕生した。同時にこの局が直轄・指揮する部隊として創設されたのが、重大サイバー事案を捜査する「サイバー特別捜査隊」である。 日本は米連邦捜査局(FBI)のような、個別事件を直接捜査する国の警察組織を持たずにやってきた。サイバー特捜隊は、ニッポン警察が分野限定で踏み込んで設けた「国際標準」の部隊といえる。新たな器で警察庁はこの先、どう戦いを サイバー特捜隊発足 「日本式」で国際標準に挑む
改正少年法4月施行 「立ち直り」の可能性狭めぬ運用を Nikkei Views 編集委員 3月19日 改正少年法が4月1日、施行される。民法の改正で新たに成人の仲間入りをする18歳と19歳を「特定少年」と位置づけ、罪を犯した場合の扱いを一定程度、厳しくする。 今回の改正をめぐっては、厳罰化を歓迎する意見がある一方、少年を更生させる機能を損ないかねないとの懸念も根強い。少年法の仕組みや改正に至る経緯を振り返り、少年の更生のあり方について考えてみたい。 改正のきっかけは、「成人年齢の引き下げに合わせ 改正少年法4月施行 「立ち直り」の可能性狭めぬ運用を
悪化する体感の治安 「見えない犯罪」が安心損なう Think! Nikkei Views 編集委員 3月7日 2021年中に全国の警察が把握した、刑法などに触れる犯罪の総数(刑法犯の認知件数)は56万8140件だった。前年より7.5%減り、7年連続で戦後最少を更新した。統計が示す「いま」は、戦後最も安全で安心な社会ということになる。 しかしそんな実感を抱く人は、多くはないだろう。一体なぜ、統計と体感に乖離(かいり)が生じているのだろうか? 刑法犯の認知件数は1980年ごろから増え始め、90年代後半に急増 悪化する体感の治安 「見えない犯罪」が安心損なう
京王線の無差別襲撃 「疑似テロ」「拡大自殺」どう防ぐ Nikkei Views 編集委員 11月6日 社会を震撼(しんかん)させるテロ事件が「テロ」と定義されるのは、その背景に政治や宗教上の主義・主張があるからだ。この分類でいえば、東京都調布市を走行中の京王線車内で発生した無差別襲撃事件は、テロではない。 だが事件の経緯や形態は、まさにテロを思わせる。身勝手な考え・思考にとらわれ、「過激化」し、無関係の人たちを攻撃する。逃げも隠れもせず「死刑になりたかった」というのであれば、自爆テロとも相通じる 京王線の無差別襲撃 「疑似テロ」「拡大自殺」どう防ぐ
マネロン対策「合格」できず 外圧で進む日本の治安政策 Nikkei Views 編集委員 9月21日 「カネに色は付いていない」。額に汗して手にしたものも、誰かからだまし取って得たものも、おカネはおカネ。日本社会にこんな感覚が、はびこっているわけではないだろう。では、なぜ――。 日本のマネーロンダリング(資金洗浄)防止の取り組みが、国際社会で合格点をとれないままでいる。マネロンやテロ資金対策を担う国際組織、金融活動作業部会(FATF、事務局・パリ)が8月末に公表した審査の結果で、日本の総合的な評 マネロン対策「合格」できず 外圧で進む日本の治安政策
ストーカー被害、ITで深刻に 3度目の改正規制法施行 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 8月21日 都内の外資系企業に勤める女性が、こんな経験をしたという。 車検で預けていた車を受け取るため、ディーラーへ出向いた。「私の車に何か問題ありました?」「いえ、車は大丈夫でした。ただ……」。担当した整備士はそう言って、数個の黒い小箱のようなものを見せた。「車の下やバンパーの裏に、いくつもGPS(全地球測位システム)装置が付けられていました」――。 恋愛などの感情や、それが満たされなかった恨みから付きま ストーカー被害、ITで深刻に 3度目の改正規制法施行
「魔の7歳」が問う車優先社会 弱者守る抜本的議論を Think! Nikkei Views 編集委員 7月15日 「魔の7歳」という言葉をご存じだろうか。歩行中に交通事故で死傷した人を年齢別にみると、7歳が飛び抜けて多いのだ。警察庁によると2020年までの5年間では、年間の平均死傷者数は多くの年齢で10万人当たり20~60人ほど。ところが7歳だけ、3けた台の102.8人にのぼる。 次は8歳の83.4人、6歳の68.4人と続く。小学校に入ったばかりの1、2年生が毎年、他の年齢の数倍も車にひかれている。事故が多 「魔の7歳」が問う車優先社会 弱者守る抜本的議論を
初のサイバー国家捜査隊 警察の「壁」壊した脅威 Think! Nikkei Views 編集委員 6月29日 1995年6月21日、羽田空港を飛び立った函館行き全日空機が男にハイジャックされた。手には液体の入った透明な袋。3カ月前に起きたオウム真理教による地下鉄サリン事件の悪夢がよみがえる。東京・霞が関の警察庁は緊迫感に包まれた。 当時、本格的なハイジャックに対応できる部隊があったのは警視庁と大阪府警だけ。警察庁は警視庁に対し、部隊の派遣を要請する。 後に特殊急襲部隊(SAT)と名付けられる隊員たちにと 初のサイバー国家捜査隊 警察の「壁」壊した脅威
河井元法相に実刑判決 問われなかった検察の「奇手」 Nikkei Views 編集委員 6月24日 目的を達成するためであれば、強引な「奇手」を使っても許容される。そんな疑念を抱かせる結果ではないか。奇手を用いたのが権限執行の公正・公平が厳しく求められる検察で、同調したのはそれをチェックするはずの裁判所なのだから、問題は大きい。 2019年の参院選広島選挙区をめぐる大がかりな買収事件で、自民党の衆院議員だった元法相の河井克行被告に、懲役3年の実刑判決が言い渡された。東京地裁は元法相が、妻の案里 河井元法相に実刑判決 問われなかった検察の「奇手」