指紋鑑定、はじまりは縄文土器 英国人が貝塚で「発掘」 ルーツ調査隊 事件・司法 編集委員 4月30日 「現場に残された指紋があなたのものと一致しました」。刑事ドラマなどでおなじみの場面だ。科学捜査の王道「指紋鑑定」のルーツは明治期の日本にある。発祥の地は異人館やガス灯が立ち並ぶ東京・築地の外国人居留地。きっかけとなったのは数千年も前の、縄文人の指紋だった。 1877年(明治10年)、日本に滞在していた米国の動物学者、エドワード・モース博士が横浜から東京・新橋へと向かっていた。汽車の窓から、貝殻が 指紋鑑定、はじまりは縄文土器 英国人が貝塚で「発掘」
首相襲撃にみる選挙のリスク 守るべきは「握手の数」か 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 4月20日 安倍晋三元首相が奈良市で銃撃された事件に続き、岸田文雄首相に向けて爆発物が投げ付けられる事件が和歌山市で起きた。和歌山の事件は動機などの詳細は不明だが、両者には大きな共通点がある。①遊説の現場で要人が狙われた②組織に属さない「一市民」が過激化し、独りで計画・準備・実行する「ローンオフェンダー(単独の攻撃者)」型の事件とみられる――の2点だ。 「遊説のやり方を変えると、暴力に屈したことになる」「リ 首相襲撃にみる選挙のリスク 守るべきは「握手の数」か
要人警護、不断の見直しを 岸田首相の演説会場で爆発 事件・司法 4月15日更新 岸田文雄首相の演説会場で爆発物のようなものが投げ込まれた事件は、安倍晋三元首相への銃撃事件を招いた要人警護の「警戒の空白」(露木康浩・警察庁長官)が、なお埋め切れていない事実を突きつけた。 元首相の銃撃事件以前は、要人の警護は各都道府県警が主体となって行っていた。だが銃撃事件の発生を受け、警察庁が体制や運用の基準を示したうえで県警側から事前に警護計画の報告を求め、指導する形に見直していた。国の関 要人警護、不断の見直しを 岸田首相の演説会場で爆発
元警察庁長官・国松孝次さん あの日始まった第二の人生 My Story コラム 3月31日 早くから長官候補と評された通り、警察トップへと駆け上った。そんな国松孝次さん(救急ヘリ病院ネットワーク会長)を、予想だにしない事件が待ち構えていた。銃で撃たれ、死線をさまよい、犯人も捕まらない――。だがこの痛恨事で結ばれた医師たちとの絆はやがて、大きな実を結ぶ。 1995年3月30日。東京・霞が関の警察庁へ向かう、いつも通りの朝だった。荒川区の自宅マンションを出たところで突然、体に突き刺さるよう 元警察庁長官・国松孝次さん あの日始まった第二の人生
児童ポルノ、加害も被害も10代 SNS普及で変わる構図 風紋 コラム 編集委員 3月26日 生涯にわたって子どもの尊厳を踏みにじる児童ポルノ。この犯罪をめぐる情勢に変化が起きている。10年前には摘発される容疑者のうち2割ほどだった10代が、全体の半数近くを占めるまでに増えているのだ。 背景にあるのは、子ども世代へのスマートフォンやSNS(交流サイト)の普及。児童ポルノは「大人が子どもたちを食い物にする陰湿な犯罪」という様態に加え、「加害者も被害者も子ども」という構図が広がりつつある。 児童ポルノ、加害も被害も10代 SNS普及で変わる構図
ルフィも突いた「警戒の空白」 新たな犯罪組織の脅威 Nikkei Views 事件・司法 編集委員 2月7日 各地で相次ぐ広域強盗事件への関与が疑われている日本人4人のうち2人がフィリピンから強制送還され、警視庁に逮捕された。残る2人も近く送還される見通し。4人の中には「ルフィ」などと呼ばれる事件の指示役が含まれているとみられ、捜査の進展が期待される。 一連の強盗事件には、いくつかの特徴がある。SNS(交流サイト)を使い、「闇バイト」として実行犯を集める▽一定時間でメッセージが消去される通信アプリなどで ルフィも突いた「警戒の空白」 新たな犯罪組織の脅威
強制起訴は誰のために 刑罰以外の選択肢はないか 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 1月19日 福島第1原発の事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の元会長ら旧経営陣3人に対し、東京高裁が一審・東京地裁に続き、無罪判決を言い渡した。「東日本大震災の大津波を予見し、対策を講じて事故を避けることは難しかった」とする一審の判断を支持した。 2009年の制度導入以降、明らかになっている強制起訴による裁判10件のうち、有罪が確定したのは2件だけ。制度の形骸化を指摘する声もあるが、こ 強制起訴は誰のために 刑罰以外の選択肢はないか
元首相銃撃への「共感」に危うさ 問われる「正しい力」 安倍氏銃撃/国葬 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 1月13日 事件やそれを起こした人物に、世間一般が共感を寄せることはままある。「義賊」のような存在や、理不尽に虐げられた人が「やむにやまれず立ち上がる」ような事件は、物語などに取り上げられたりもする。 庶民の側に立っているわけでもない、まさに悪事に手を染める「ダークヒーロー」をほめそやす風潮もある。1968年に東京・府中で起きた3億円事件では、白バイの警察官にふんして現金を奪った手口の鮮やかさが称賛の対象に 元首相銃撃への「共感」に危うさ 問われる「正しい力」
故・アントニオ猪木さん(元プロレスラー) 命かけ演じた格闘王 追想録 編集委員 1月13日 「レスラーは表現者でなければならない」。新日本プロレスのリングドクターを長年務めた富家(ふけ)孝さんは、猪木さんがよくこう話していたことを覚えている。恩師、力道山の教えだったという。 ピンチを耐え一瞬の隙をついて繰り出す、すごみのある技。握りこぶしを相手の顔面にたたき込むときの、鬼の形相――。猪木プロレスはまさに、内に宿す「燃える闘魂」を視覚化したものだった。 猪木さんは自らの表現メソッドを「風 故・アントニオ猪木さん(元プロレスラー) 命かけ演じた格闘王
ランサムウエアの暗号解除 日本警察の「国際通行手形」 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 12月31日 身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の一部について、警察庁が暗号化された被害企業などのデータを復元するツールを独自に開発した。海外の捜査機関にも提供、共有を進めており、ランサムウエア対策の新手法として世界的に普及する可能性がある。 日本のサイバー捜査は欧米の主要国が導入している捜査手法が認められておらず、「ガラパゴス化」が指摘されている。警察庁は解析や捜査の力を示すことで日本の存在感を高め、国 ランサムウエアの暗号解除 日本警察の「国際通行手形」