周縁からのデジタル革命 仮想バス停やマイクロ工場 Think! コラム 編集委員 6月19日 日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが言われて久しいが、悲観するばかりが能ではない。政府や巨大銀行のデジタル化が滞る一方で、逆に中心から遠い周縁部のDXには目を見張るような例がある。生活と産業を変えるDXの現場を訪ねた。 東京からJR常磐線で約2時間。茨城県北部に位置する人口3万人弱の高萩市で、モビリティーをめぐる実証実験が始まったのは2021年7月だ。 この地でバス事業を営むみ 周縁からのデジタル革命 仮想バス停やマイクロ工場
鉄道網の賢い「縮退」 地域の選択が問われる Think! 核心 編集委員 6月5日 4月11日、JR西日本が1日の乗客が2000人に満たないローカル線の収支を公表した。予想されたことではあるが、該当する17路線30区間はすべて赤字。広島と岡山にまたがる芸備線の「東城~備後落合」区間は100円稼ぐのに2万5416円の経費がかかる、といった極めてシビアな数字が並んだ。 沿線の人口減でもともと厳しかったところに、新型コロナウイルス禍が鉄道会社の体力を奪った。突然の発表に廃線のにおいを 鉄道網の賢い「縮退」 地域の選択が問われる
グローバル化の曲がり角 識者に聞く 菅野 幹雄 時論・創論・複眼 編集委員 5月30日 ロシアのウクライナ侵攻により経済のグローバル化が転機を迎えた。西側とロシア、中国との「新冷戦」に各国や企業が身構え、人やモノの自由な移動が停滞する懸念が高まっている。さらなる分断に備え、乗り越える知恵はあるのか。異なる分野の第一人者に聞いた。 ◇ ◇ ◇ 供給網、「ダブル」で備える 伊藤忠商事社長 石井敬太氏 1989年に冷戦が終結し、2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟するこ グローバル化の曲がり角 識者に聞く
JAL社長「国内線需要、夏にコロナ前の9割超に回復」 インバウンド 新型コロナ Think! 経済 編集委員 4月25日 新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置が解除され、人の移動は再開するのだろうか。日本航空の赤坂祐二社長に聞いた。 ――「まん延防止」解除で久々に明るい大型連休になりそうですか。 「今週から始まるゴールデンウイーク期間中の国内線の総予約数は前年比2倍になり、コロナ前の2019年比でも75%まで戻った。昨年と一昨年の大型連休は東京などで緊急事態宣言が出され、人の移動が激減していた。それに比べる JAL社長「国内線需要、夏にコロナ前の9割超に回復」
日本企業の「偽りの優しさ」 自己決定重視に転換を 核心 編集委員 4月17日 「人は城、人は石垣」と言ったのは武田信玄だ。経営の神様と称された松下幸之助は「事業は人なり」という言葉を残した。アベグレン教授は終身雇用などを日本的経営の三種の神器と定義し、日本企業が世界に飛躍した1980年代後半には伊丹敬之教授の『人本主義企業』がベストセラーになった。 いずれも人材の重要性を説く経営思想だが、今の日本企業とそこで働く人の関係性は互いを高めあうような生産的なものだろうか。残念な 日本企業の「偽りの優しさ」 自己決定重視に転換を
「AIはしょぼい」と直言 迷走東芝率いる新社長の豪胆 企業統治 株主総会 企業業績・財務 コラム エレクトロニクス 3月20日 謙虚さを旨とする日本の風土とは真逆の言葉に驚いた人も多いだろう。東芝が今月1日に開いた社長交代会見。島田太郎新社長は「私はデジタルが分かる最初の社長」とあえて宣言し、「東芝の輝きを世界に再び示す」と抱負を語った。 大風呂敷にも聞こえるが、迷走につぐ迷走を続けた東芝が存在感を取り戻すには、大胆なもの言いもときには必要だろう。島田社長は独シーメンスなど外資系企業の経歴が長く、東芝の門をたたいたのは2 「AIはしょぼい」と直言 迷走東芝率いる新社長の豪胆
地政学・人権 ウクライナ侵攻が企業に問う感度 ウクライナ侵攻 法務・ガバナンス 3月13日 ロシアのウクライナ侵攻は企業にも重大な選択を突きつけた。グローバル化した世界で、戦争をはじめとする地政学リスクや人権問題にどう対応するか、経営者の感度と覚悟が問われている。 ウクライナ問題に直面して、世界のビジネス関係者が注目したのが米マクドナルドの動きだ。同社は冷戦終結から間もない1990年にモスクワの中心部にあるプーシキン広場に大型店を開き、人気を博した。 かつての共産主義のセンターに米国の 地政学・人権 ウクライナ侵攻が企業に問う感度
仮想空間の「もう一人の私」 広がる身体、変容する感覚 核心 編集委員 2月20日 「メディアは身体の拡張である」と述べたのはカナダの文明評論家、マーシャル・マクルーハンだが、この言葉はインターネットやそれに続く「メタバース」の時代を迎えてますますリアルだ。人の体は時空を超えて変幻自在に広がり、それは感覚の変容をもたらすだろう。現在進行形の変化の予兆を拾い集めて、テクノロジーのもたらす近未来社会を点描してみたい。 2021年夏に東京都港区のソフトバンク本社と大阪市内の歯科クリニ 仮想空間の「もう一人の私」 広がる身体、変容する感覚
企業はなぜ失敗を繰り返すか カギは職場の「心の安全」 核心 編集委員 12月26日 今年も企業の不祥事が多発した。なかでも経営トップが引責辞任を迫られた2件が印象に残る。度重なる品質不正を犯した三菱電機と、やはりシステム障害を繰り返したみずほフィナンシャルグループである。 再発防止を誓った会社がなぜ懲りもせず同じ失敗を重ねるのか。両社を題材にその手掛かりを探ってみよう。みずほに関しては11月26日付の金融庁の「行政処分について」という発表が参考になる。 そこで問題視されたのは「 企業はなぜ失敗を繰り返すか カギは職場の「心の安全」
日本は「ビジネス鎖国」か 東芝分割に見る世界との時差 編集委員 11月28日 10月初めに米ボストンで開かれた国際航空運送協会(IATA)の年次総会。2年ぶりのリアル開催とあってデルタなど地元米国勢のほか独ルフトハンザや中東のエミレーツ、大韓航空など世界のエアラインの首脳が一堂に会したが、本来ならそこにいるべき全日本空輸(ANA)と日本航空の首脳は不在だった。 今回の議題は脱カーボンの工程表づくりで、今後30年間の航空産業の行方を左右する重要テーマである。にもかかわらず欠 日本は「ビジネス鎖国」か 東芝分割に見る世界との時差