巨大津波の予測どこまで? 堆積物調査の成果と課題 コラム 編集委員 科学&新技術 1月18日 東日本大震災からまもなく10年。500~1000年に1度と考えられる巨大地震が現実に起き、明治時代以降に近代地震学が蓄えてきた100年強の観測データでは予測が困難なことを見せつけた。それを機に脚光を浴びたのが、過去の大津波が陸地に運んだ堆積物などの痕跡を調べる研究だ。震災を教訓に日本各地で発掘調査が進み、成果が上がっている。その一方で、堆積物調査は不確実さも大きく、防災に役立てるうえで課題も浮か 巨大津波の予測どこまで? 堆積物調査の成果と課題
「グリーンICT」10年 温暖化対策、DXで進めよ コラム 科学&新技術 1月15日 「グリーンICT」という言葉をどれほどの人が覚えているだろうか。情報通信技術(ICT)を活用して温暖化ガスを減らそうと政府が2010年ごろから旗を振ったが、その後めっきり聞かれなくなった。それから10年強、地球温暖化対策が急務になるなか、デジタル技術やシェアリング経済などを上手に活用し戦略を描き直すときだ。 政府がグリーンICTを前面に押し出したのは10年版情報通信白書だった。ビルや住宅のエネル 「グリーンICT」10年 温暖化対策、DXで進めよ
人流地図を減災に生かせ 避難やコロナ密回避対策に 新型コロナ 環境エネ・素材 生活 科学&新技術 編集委員 10月13日 スマートフォンの位置情報から人の流れをつかみ、洪水や地震など災害の検知や二次災害の軽減に役立てる研究が進んでいる。新型コロナウイルス対策で人の密集度を調べるのに使われ、平常時も観光客や商圏の分析などで注目されている。首都直下地震や大規模水害など、いざというときに活用できるかは官民の連携がカギを握る。 7月豪雨で熊本県を流れる球磨川が氾濫し、多くの死者や行方不明者が出た人吉市や球磨村。洪水発生の直 人流地図を減災に生かせ 避難やコロナ密回避対策に
避難か経済か、コロナが突く巨大地震対策の難題 コラム(テクノロジー) 科学&新技術 編集委員 9月28日 新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済活動の両立をめぐり難しいかじ取りが続くなか、感染症とは関係なさそうな南海トラフ地震でも同様の問題が懸念されている。1944年の東南海地震と46年の南海地震のように時間差を伴って発生した場合、いつ起きるか分からない次の地震を警戒しながら社会経済活動の継続を迫られるからだ。コロナ禍の教訓は地震対策に生かせるのか。 「新型コロナウイルスは感染状況を見通せず、経 避難か経済か、コロナが突く巨大地震対策の難題
盛り土造成地ハザードマップ、地震崩落対策へ一歩 科学&新技術 編集委員 8月14日 谷や傾斜地を埋めた「盛り土造成地」について、国土交通省が全国約5万1千カ所のハザードマップを公表した。一部の造成地は地震の揺れで崩落や液状化の危険があるが、対策が遅れ、都市の「隠れた災害リスク」とされてきた。民有地が多く調査や工事には課題が山積するが、情報公開は対策の一歩になる。 盛り土造成地はかつての谷や沢を埋めたり、傾斜した地盤に土を盛ったりした造成地。国交省が全国の市町村に3千平方メートル 盛り土造成地ハザードマップ、地震崩落対策へ一歩
豪雨災害にどう向き合う(複眼) 大沢昌玄氏/釜井俊孝氏/片田敏孝氏 斉藤 徹弥 時論・創論・複眼 7月16日 今年も豪雨が日本列島を襲った。2018年の西日本豪雨、19年の台風19号(東日本台風)と毎年のように続く災害は、多くの人がリスクが高い場所に住む日本の危うさを浮き彫りにした。危険を顧みずに開発が進んだ現実もある。まちづくりや減災をどう進めるべきか。各分野の専門家に聞いた。 ◇ ◇ ◇ ■移転後の将来像示して 日本大学教授 大沢昌玄氏 川に面した地域の土地利用は、かつては堤防などの防御施設で守られるこ 豪雨災害にどう向き合う(複眼)
IT活用、遅すぎた夜明け 大学改革の突破口に コラム(テクノロジー) 科学&新技術 編集委員 7月5日 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため多くの大学がいや応なしに始めた遠隔授業。対面授業の代替だけでなく、遅れていたIT(情報技術)の活用を迫ることにもなった。研究者教育の見直しや大学自体の改革につながる可能性もある。 早稲田大学は今秋、最先端のITを学びたい社会人向けに「オンラインファースト」(遠隔授業優先)の新コースを開講する。理工系13大学・21組織と共同運営する「スマートエスイー(SE)」 IT活用、遅すぎた夜明け 大学改革の突破口に
世界の科学教材を身近に MIT動画を日本語字幕で 新型コロナ 科学&新技術 編集委員 6月23日 米マサチューセッツ工科大学(MIT)などが制作した科学教育用の動画をオンラインで配信するサービスが人気だ。産学がつくるNPO法人が日本語版を提供、新型コロナウイルスの感染拡大で生じた「学びの空白」を埋めようと、若い世代の受講者が増えている。世界水準の教材に触れ科学に興味をもつきっかけになるほか、大学などのオンライン教材づくりのヒントにもなりそうだ。 「太陽系の外で地球のような惑星が続々見つかって 世界の科学教材を身近に MIT動画を日本語字幕で
魅力ある遠隔授業、「MOOC」に学べ コラム(テクノロジー) 科学&新技術 編集委員 6月8日 新型コロナウイルスの影響で大学や高専などでは対面授業ができず、オンライン授業に頼る状況が続いている。だが通信インフラの脆弱さや教員の不慣れもあり「接続できない」「退屈で見続けられない」といった不満が学生から出ている。これらを受け止め、魅力ある授業をめざす試みも広がってきた。ヒントになるのが欧米などでは当たり前になった「大規模公開オンライン講座(MOOC=ムーク)」で培った知見だ。先行例に学ぶこと 魅力ある遠隔授業、「MOOC」に学べ
オンライン教育の可能性(複眼) 白井克彦氏/中原淳氏/平川理恵氏/高倉弘喜氏 中丸 亮夫 時論・創論・複眼 編集委員 5月28日 新型コロナウイルスの影響による一斉休校や大学キャンパスの閉鎖を受け、オンライン授業が一気に広がった。デジタル技術を活用した柔軟な授業スタイルへの転換は、学び方や教え方を多様化し、日本の学校教育を大きく変える可能性がある。専門家や大学教員、教育行政トップに課題と展望を聞いた。 ◇ ◇ ◇ ■自発的に学びを設計 日本オープンオンライン教育推進協議会理事長 白井克彦氏 新型コロナウイルスの影響は長引き、通 オンライン教育の可能性(複眼)