米サイバー防衛効かぬ抑止 攻撃疑いのロシア駆け引きも 北米 Nikkei Views コラム 12月28日 米国の政府機関や企業を狙った大規模なサイバー攻撃が今月、明るみに出た。多くの機密情報を扱う国土安全保障省や財務省、エネルギー省のネットワークまで侵された。米当局はロシアが関与したハッキングとみており、サイバー防衛戦略にも大きな影響を与えかねない。 来年1月の政権交代の過渡期にある米政府はパニックに陥ったようだ。国家安全保障担当のオブライエン大統領補佐官は欧州歴訪を短縮して帰国し、危機対応に追われ 米サイバー防衛効かぬ抑止 攻撃疑いのロシア駆け引きも
欧米「ポピュリズム」の行く末 ベラルーシが暗示 コラム(国際) ヨーロッパ Nikkei Views 編集委員 9月25日 欧州とロシアの間に位置するベラルーシでルカシェンコ大統領の辞任を求める大規模なデモが続いている。30年前の中・東欧の民主革命から周回遅れともいえる同国の市民運動は、各地で台頭するポピュリズムの行く末も占う。 「私だけがいま、ベラルーシ国民を守ることができる」。26年にわたり独裁体制を敷き、8月の不正の疑いが濃厚な選挙で6選を決めたルカシェンコ氏はあくまで権力に固執する。国民への告知なしで23日に 欧米「ポピュリズム」の行く末 ベラルーシが暗示
猛毒と「不都合な真実」 風見鶏 ヨーロッパ 編集委員 政治 9月20日 米ソ冷戦期に軍の極秘中の極秘だった化学兵器「ノビチョク」が世界を震撼させている。ロシアの反体制指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏がこの猛毒を盛られた疑惑が深まっている。 ナワリヌイ氏が一時意識不明の重体に陥った8月20日に搭乗したシベリア発モスクワ行き飛行機内の映像がネット上に投稿されている。姿は映っていないが、苦しむ同氏の叫び声が響きわたる。あまりの痛ましさに耳をふさいでしまった。 ナワリヌイ氏 猛毒と「不都合な真実」
歴史が問うコロナ対策 ニーアル・ファーガソン氏 グローバルオピニオン 6月25日 歴史的に感染症のパンデミック(世界的大流行)は約65回起きており、古代ローマ時代や14世紀のペストは世界の人口の3割の命を奪ったとされる。次に被害が大きかったのは1918~19年のスペイン風邪で、世界の3%(5千万人)が犠牲になった。死亡率で見れば、新型コロナウイルスはこうした事例には及んでいない。 3月にインペリアル・カレッジ・ロンドンが新型コロナにより米国で220万人、世界で3千万人から4千 歴史が問うコロナ対策 ニーアル・ファーガソン氏
「パクス・シニカ」の誘い 風見鶏 中国・台湾 ヨーロッパ 中東・アフリカ 編集委員 政治 5月24日 新型コロナウイルスの封じ込めは民主国家よりも、強権を発動しやすい権威主義国家のほうが有利。当初こんな見方があった。「ウイルスに勝利した」と吹聴する中国以外を見ると、ロシアの感染者数がトップの米国に次ぐ30万人超、イランやトルコもそれぞれ13万人や15万人超に膨らみ、強権が成功したとはいえない。コロナ後もにらみ「民主対強権」の議論は続く。 武力行使も辞さない「強さ」が売りのロシアのプーチン政権。対 「パクス・シニカ」の誘い
中国、ロシアなぞる情報工作 多方面の「超限戦」も 新型コロナ コラム(国際) 中国・台湾 ヨーロッパ Nikkei Views 編集委員 4月27日 新型コロナウイルスの感染拡大に乗じた中国の情報工作が目立っている。プロパガンダ(政治宣伝)やSNS(交流サイト)にフェイクニュースを拡散する手法は、米欧の選挙にも介入したロシアの戦術をなぞっている面がある。感染対策に追われる米欧は、工作を絡めた中国の勢力拡大の動きに警戒を強めている。 「グラッチェ・チナ(中国、ありがとう)」。3月、新型コロナの感染がまん延したイタリアに中国から医療支援隊と物資が 中国、ロシアなぞる情報工作 多方面の「超限戦」も
歴史変える 指導者の資質 アーチー・ブラウン氏 グローバルオピニオン 2月13日 米ソ冷戦の終結は当時のソ連最高指導者・ゴルバチョフ氏と英首相のサッチャー氏、米大統領のレーガン氏という3人の指導者の人的な要因によるところが大きかったといえる。強い考えを持ちながら専門家の意見に耳を傾け、互いに関与した。権力を集中させる独善的ないまの「強い指導者」は危うい。 ゴルバチョフ氏に強い関心を抱いたのは、1950年代に同氏とモスクワ大学で学んだ当時のチェコスロバキアからの亡命者と知り合う 歴史変える 指導者の資質 アーチー・ブラウン氏
「ダークパワー」の告発 風見鶏 ヨーロッパ 編集委員 コラム(政治) 政治 2月9日 ソフトバンクの機密情報を盗んだロシアのスパイ活動事件が発覚した。安倍晋三首相がプーチン大統領との平和条約交渉に注力するなかで、スパイ事件が公になるのは異例だ。欧州では日本に先んじてロシアの工作の摘発が相次いでいる。 「29155」。こんな呼び名のロシア軍情報機関(GRU)のエリート特殊工作部隊の存在について、いつもは口の重い欧州の情報機関高官が取材で語った。世界を震撼(しんかん)させた2018年 「ダークパワー」の告発
アフリカ経済 先導4カ国に期待 ポール・コリアー氏 グローバルオピニオン 1月9日 過度な債務の問題などが取り沙汰されるアフリカで、政府が成長モデルを示し、変革する国が出てきた。企業の育成に取り組むエチオピアやルワンダ、ガーナ、セネガルの4カ国は期待が持てる。こうした国が先頭に立って他国に発展方法を示すことができれば、かつてのアジアのように大陸全体で雁行(がんこう)型の成長パターンを描けるかもしれない。 アフリカ大陸は「困難な時代」に入っている。2013年ごろまで約10年続いた アフリカ経済 先導4カ国に期待 ポール・コリアー氏
英オックスフォード大、少数教育が生む自信 大学 編集委員 12月25日 オックスフォードの学生の多くは入学当初、「ペテン師症候群」に陥るといわれる。経済学者のアダム・スミス、哲学者のトマス・ホッブズ、物理学者のスティーブン・ホーキング……。大学で学んだ偉人らの名と歴史を刻んだ重厚な図書館や学舎、マトリキュレーションといった伝統に圧倒され、「自分は不相応な場にいる」と感じる。 政治学と歴史学を専攻する英南部ワイト島出身の2年生、ジョー・デービス(19)もそうだった。大 英オックスフォード大、少数教育が生む自信