大正の天皇、皇后は「不仲」 「昭和天皇拝謁記」を読む Think! Nikkei Views 編集委員 5月4日 戦後の初代宮内庁長官・田島道治が書き残した昭和天皇との問答集「拝謁記」。本欄ではその面白さを3回のテーマに分けて解説していくが、3月21日公開の「戦争と安全保障」に関する天皇の発言に続いて、第2弾の今回はその「赤裸々な人物評」に焦点を当てる。 かつて「天皇は無私であり、個人的な悪口など言わない」という〝伝説〟があったが、天皇とて人間であり、人に対する好悪があって当然である。田島と2人だけの会話の 大正の天皇、皇后は「不仲」 「昭和天皇拝謁記」を読む
英国王戴冠式への皇族参列 「人々の心に種をまく」営み Nikkei Views 編集委員 5月1日 チャールズ英国王の戴冠式が6日に行われる。日本からは秋篠宮ご夫妻が参列される予定だ。一部週刊誌やネットでは「なぜ天皇、皇后両陛下ではないのか」「秋篠宮夫妻の参列では礼に反する」などの意見も見られるが、このような儀式でのプロトコル(外交儀礼)や過去の歴史に対する認識不足による誤解だろう。もしくは一連の「秋篠宮家たたき」の材料に使われているのかもしれない。 戴冠式への参列は「元首(国王)もしくはその 英国王戴冠式への皇族参列 「人々の心に種をまく」営み
石橋湛山没後50年 地政学を「複線」の世界観でみる Think! Nikkei Views 編集委員 4月25日 4月25日は何の日か。即答できる人はほとんどいないだろう。この日は戦前に自由主義の論陣を張り、戦後は首相も務めた石橋湛山の命日である。そして、今年は亡くなってから50年となる。 湛山は武力による対外膨張政策を批判。植民地をすべて放棄する「小日本主義」を唱え、軍国主義に反対し続けた。戦後の日本は湛山の主張通りに軍備に頼らず経済を旨として発展を遂げた。まさに警醒(けいせい)のジャーナリストであった。 石橋湛山没後50年 地政学を「複線」の世界観でみる
「戦争を止めたら内乱に」 「昭和天皇拝謁記」を読む Think! Nikkei Views 編集委員 3月21日 戦後の初代宮内庁長官を務めた田島道治が昭和天皇との対話を克明に記録した「昭和天皇拝謁記」(岩波書店)の最終第7巻が5月以降に刊行される予定だ。6、7巻は田島の日記と関連資料集なので、「拝謁記」自体はすべて刊行されている。 拝謁記の記録は田島の就任2年目の1949(昭和24)年2月から退任する53(同28)年12月まで。連合国による占領と独立した「新生日本」がスタートを切る時期であるとともに、戦後 「戦争を止めたら内乱に」 「昭和天皇拝謁記」を読む
戦争を終わらせる難しさ 「歴史探偵」が説いた非戦論 ウクライナ侵攻1年 Think! Nikkei Views 編集委員 2月24日 「歴史探偵」の作家・半藤一利さんが亡くなってから2年となった今年1月、歴史探偵団の会合が東京・銀座で開かれた。歴史探偵団とは、昭和史の専門家や近現代史に一家言ある面々が月に1度酒を酌み交わし、歴史談議に花を咲かせる会である。 1993年から始まった探偵団は今年で30年。主唱者の半藤さんは「団長」と呼ばれ、会の中心だった。半藤さん亡き後は盟友の作家・保阪正康さんが団長を引き継いだ。 1月の会合では 戦争を終わらせる難しさ 「歴史探偵」が説いた非戦論
ヘンリー王子自伝から考える「スペア」の苦悩 Think! Nikkei Views 編集委員 2月9日 チャールズ英国王の次男で王室を離脱したヘンリー王子の自伝「Spare(スペア)」が1月10日に発売され、世界中で話題になっている。しかし、英国ではその内容が「有害」「悪趣味」と酷評されている。 1月14日付の英フィナンシャル・タイムズ電子版は「王位継承者の『予備』だった人が多額の予備的収入を稼いでいる。『スペア』は、発売初日に英国内の書店で40万冊売れた。ベストセラー小説『ハリー・ポッター』シリ ヘンリー王子自伝から考える「スペア」の苦悩
天皇の基軸とは 「象徴」と「伝統」の相克と皇位継承 Nikkei Views 編集委員 1月1日 元日は皇居で新年祝賀の儀が行われる。一般参賀ほど注目されていないが、毎年定例で行われる皇室儀式のなかでは唯一、憲法の国事行為にあたる最重要のものだ。 古代、天皇の即位礼は元日であった。毎年の元日も天皇への服属儀礼として朝賀の儀が行われていた。近代にこの古代の儀礼が復活し、戦後の新憲法下でも新年祝賀の儀としてその慣例が続いている。 実際、元日には内閣総理大臣ら三権の長、国会議員、認証官、各知事など 天皇の基軸とは 「象徴」と「伝統」の相克と皇位継承
天皇の「肉声」が伝えるもの 側近の日記は現れるか Think! Nikkei Views 編集委員 12月23日 上皇さまは23日に89歳を迎えられた。確かな記録が残っている歴代天皇のなかでは最長寿だ。誕生の2年前には満州事変が勃発、少年時代は日中戦争から太平洋戦争に至る戦時だった。戦後、天皇は「神」から「象徴」となった。上皇さまの青年・壮年期は、戦前的価値からの大転換と戦後民主主義の定着、高度経済成長の時代と重なる。 そして即位はくしくも冷戦の終わりと同時期であり、世界的な時代の転換期であった。平成はバブ 天皇の「肉声」が伝えるもの 側近の日記は現れるか
皇室を消滅に導くものは何か 情報発信を真剣に考える Think! Nikkei Views 編集委員 12月12日 秋篠宮さまが11月30日に57歳を迎えられた。その秋篠宮家に対する週刊誌のバッシング報道が止まらない。とくに女性誌には毎週何らかの「秋篠宮家ネタ」が掲載されている。 長女の眞子さんと小室圭さんの結婚をめぐり、週刊誌のほかテレビの情報番組、SNS(交流サイト)で激しい非難が続き、眞子さんは複雑性PTSD(複雑性心的外傷後ストレス障害)を患った。昨年10月に二人が結婚し、翌月に米国のニューヨークに渡 皇室を消滅に導くものは何か 情報発信を真剣に考える
昭和天皇とフリーメーソン 「陰謀論」から「歴史」へ Think! Nikkei Views 編集委員 11月23日 真っ二つに分かれた赤(共和党)と青(民主党)のグラフ。米国の中間選挙はこの国の分断を視覚化したイベントであったともいえる。この分断と、自分とは異なる意見を持つ他者への憎悪を増幅させているのが「Qアノン」と呼ばれる陰謀論である。 「ディープステート」という影の勢力が存在し、それが米国で問題となっている様々な災厄の根源だという。リベラル系の政治家・著名人や悪魔崇拝者、小児性愛者などがメンバーで、国際 昭和天皇とフリーメーソン 「陰謀論」から「歴史」へ