格差と分断、処方箋はみえたか 新井紀子氏×成田悠輔氏 経済 8月16日 新型コロナウイルス禍はまだ終わりが見えない。富の格差や世界の分断はどこに向かおうとしているのか――。2020年9月から21年4月まで連載した「パクスなき世界」を単行本として出版したのを機に、国立情報学研究所の新井紀子教授と米エール大の成田悠輔助教授に、連載後の国際動向を交えて意見をぶつけてもらった。 新井氏「国家の前提揺るがす事態を修正」 成田氏「法人最低税率、長期的な解決にならず」 ――米バイ 格差と分断、処方箋はみえたか 新井紀子氏×成田悠輔氏
工業化と異質、前例なき情報革命に向き合え 井上智洋氏 4月11日 過去の産業革命では技術の恩恵を受ける一方で、職を追われた労働者に苦難をもたらした。現在でも、人工知能(AI)やロボットなど既存の労働力を置き換える技術革新が進む。新技術は雇用を再び脅かすのか。駒沢大の井上智洋准教授に聞いた。 ――過去の産業革命と現代の技術革新の違いはなんでしょうか。 「第1次と第2次の産業革命は、どちらも工業的な革命だ。それに対して第3次をIT(情報技術)革命、第4次をAI革命 工業化と異質、前例なき情報革命に向き合え 井上智洋氏
情報の影響力、SNSより人間心理が増幅 佐藤卓己氏 4月10日 SNS(交流サイト)で飛び交うフェイクニュース(偽情報)が世界を揺らし、新型コロナウイルス対策として情報統制に乗り出す国家も相次ぐ。情報や新技術とどう向き合えばいいのか。メディア史を専門とする京都大の佐藤卓己教授に聞いた。 ――今年1月に米連邦議会議事堂が一時占拠された事件では、陰謀論や偽情報などが問題視されました。 「偽情報だけのせいで暴動が起きたとはいえない。暴徒が議事堂に突入したのは、米大 情報の影響力、SNSより人間心理が増幅 佐藤卓己氏
「選択と集中」から多様性の時代に 磯田道史氏 4月9日 日本人は過去に、戦争や社会構造の変化などの試練に挑み、何度も危機を乗り越えてきた。新型コロナウイルスの危機に直面するいま、私たちが歴史から学ぶ教訓とは何か。国際日本文化研究センターの磯田道史教授に聞いた。 ――コロナ禍は人々の考え方に変化をもたらしました。 「コロナでかつての帝国よりも植民地にしていた国の行政システムの方が機能している光景を見てしまった。旧帝国と覇権国が自信を喪失するきっかけにな 「選択と集中」から多様性の時代に 磯田道史氏
コロナや金融緩和、気候変動と格差の行方 シャイデル氏 4月8日 歴史上、経済格差は戦争や疫病などの悲劇を通じて大幅に縮小した。人類史1万年の不平等を研究する米スタンフォード大のウォルター・シャイデル教授は自著でそう結論づけた。コロナ禍に直面する世界での格差の行方などについて聞いた。 ――新型コロナウイルスの感染拡大は格差にどんな影響をもたらしますか。 「ペストなど過去の疫病は多くの死者を出し、労働者の大幅な不足をもたらした。賃金上昇を通じて結果的に格差を縮小 コロナや金融緩和、気候変動と格差の行方 シャイデル氏
AI時代、雇用守る「知恵と哲学」を 新井紀子氏 Think! 4月7日 デジタル化の加速にコロナ禍が重なり、人工知能(AI)に雇用の機会を奪われる層が生まれている。国立情報学研究所の新井紀子教授に産業構造の変化と労働について聞いた。 ――技術革新の歴史に学ぶことはありますか。 「イノベーションが特定の労働を代替し、仕事を失う人が大量に出るという歴史は繰り返されてきた。産業革命では生産性が低い家内制手工業を担う熟練労働者が機械へと代わった。大量生産をめざす近代的工場で AI時代、雇用守る「知恵と哲学」を 新井紀子氏
技術革新を生む社会、恩恵もたらす政策カギ フレイ氏 4月6日 人工知能(AI)などの技術革新が雇用に影響を及ぼす可能性が高まっている。産業革命は格差を広げ、庶民にまで恩恵が行き渡るまで時間がかかった。今また同じ道をたどるのか。英オックスフォード大学フェローのカール・フレイ氏に聞いた。 ――産業革命は人々の生活を大きく変えました。 「産業革命では2世代にわたって多くの人々の生活が悪化した。職人の仕事は失われ、代わりとなる工場での新しい仕事は単純労働で賃金が安 技術革新を生む社会、恩恵もたらす政策カギ フレイ氏
バイデン政権にみる危機からの展望 ヤンコフスキ氏 Think! 経済 4月5日 国内の不満の原因は外国にあると国民に訴えて国際協調から背を向ける。今の保護主義の台頭とよく似た構図が1930年代にもあった。コロナ禍という危機への対処で過去から何を学ぶべきか。米ブランダイス大教授のポール・ヤンコフスキ教授に聞いた。 ――なぜ1932~33年に注目するのでしょうか。 「ドイツでヒトラーが政権を握り、日本は国際連盟を脱退し、米国でルーズベルトが大統領に就任した。一見すると関連のない バイデン政権にみる危機からの展望 ヤンコフスキ氏
歴史を繰り返さぬために 「パクスなき世界」を考える 新型コロナ 4月4日更新 古代ローマの人々は平和と秩序の女神を「Pax(パクス)」と呼びました。「パクス・アメリカーナ(米国による平和)」という米国の覇権が衰え、21世紀の世界は米中対立や新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)など、これまでの価値観や秩序を揺さぶる激動が続いています。 過去にも似た状況がありました。20世紀に入ると新興国の勃興で列強のパワーバランスが崩れ、人類は2度の世界大戦を経験しました。産業革 歴史を繰り返さぬために 「パクスなき世界」を考える
「一億総中流」もはや過去 成長と安全網、両輪で 新型コロナ 4月3日 コロナ禍で鮮明になった世界の分断は、日本にとって対岸の火事ですか――。 「女性や非正規労働の雇用に深刻な影響が出ている。自殺の増加や孤独・孤立の問題に真正面から向き合っていく」。菅義偉首相は3月16日、新型コロナウイルスの非正規雇用の緊急対策関係閣僚会議で訴えた。 2020年に非正規雇用者は前年比で75万人減と比較可能な03年以降で最大の減少幅となった。一方で正規は35万人増えている。飲食・サー 「一億総中流」もはや過去 成長と安全網、両輪で