膨らむ「通貨外経済」 お金は不滅の存在なのか 経済 12月28日 京都市の清水寺にほど近いアパートに賃料が要らない一室がある。月13万円の賃料に見合うモノとの物々交換で住人を受け入れる。デザイナーの佐藤利樹氏と施工会社経営の福元成武氏が始めて2年がたつ。 韓国人デザイナーの作品や日本人音楽家の作曲、取材記事との交換もあった。「市場経済の外で生まれる価値を探してみたかった」。佐藤氏は狙いを話す。 世界がネットでつながり、物々交換やモノを買わずに共有するシェアリン 膨らむ「通貨外経済」 お金は不滅の存在なのか
積み上がる死蔵資金 投資は設備から人へ 経済 12月27日 ソフトウエア開発のサイボウズでは今、毎年恒例の重要な活動が山場を迎えている。12月決算期末にその年に稼いだ現金を関係者に全額分配する「キャッシュイーブン」と呼ぶ活動だ。 取引先向けのイベントにお金を使ったり、従業員のボーナスを引き上げたりして、その年の利益を株主や取引先、従業員にすべて配分する。過去に稼いだ利益も徐々にはき出し、内部留保は5年間で1割減った。 「会社を大きくすることに人生を割きた 積み上がる死蔵資金 投資は設備から人へ
投資家が迫る利他の心 マネーは責任を担えるか 経済 12月26日 「実現に向けた意欲が感じられない」。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが5月に開いた株主総会。オランダ公務員総合年金基金(ABP)のコリエン・ウォートマン・クール会長は、2035年までに二酸化炭素(CO2)排出量を2割減らす目標の具体策がみえないと経営陣を非難した。 石油メジャーの一角であるシェルの売上高はオランダの国内総生産(GDP)の4割に相当する。運用資産4770億ドル(約53兆円)と欧州最大の 投資家が迫る利他の心 マネーは責任を担えるか
ゼロ金利が作るバベルの塔 膨らむリスクに向き合う 12月25日 米欧は大規模な金融緩和から脱却を目指し、米国に続き欧州も正常化に向かう。だが経済の先行きは不透明なうえ、利上げペースは鈍く、低金利状態から動けない。金利が消滅したぬるま湯から抜け出せない世界を、マネーの女神はどんな思いで眺めるのか。 サウジアラビアの首都リヤド。東京ドーム35個分の地に数十棟もの未完成の超高層ビルが林立する。サウジが「脱石油」の最重要プロジェクトと位置づけるアブドラ国王金融特区は ゼロ金利が作るバベルの塔 膨らむリスクに向き合う
IT巨人に危機感 デジタルの富、どう配分 経済 8月31日 「交通問題を解決するよう求める声の強さに気付いたはずだ」。米サンフランシスコ市のアーロン・ペスキン監督委員は7月末、米ライドシェア大手のウーバーテクノロジーズとリフトに新たな税を課す交渉をまとめ、勝利宣言を出した。 ライドシェア車両の8~9割は市外から流入し、渋滞や事故を増やすというのが課税の理由だ。住民投票も辞さない市側にウーバーらは折れるしかなかった。運賃収入に3.25%を課し税収を道路整備 IT巨人に危機感 デジタルの富、どう配分
ファンド化する企業 投資資金、成長生まず 経済 8月30日 「他に方法がなかったんだ」。後発薬世界大手、イスラエルのテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズのコーレ・シュルツ最高経営責任者(CEO)は同国のネタニヤフ首相との会談でこう訴えた。 2015年に400億ドル(約4.4兆円)でアイルランドのアラガンから後発薬事業を買収したテバ。期待した相乗効果は上がらず17年12月期には160億ドルの最終赤字を計上した。 シュルツ氏は世界の従業員の4分の1 ファンド化する企業 投資資金、成長生まず
物価偏重の緩和は見直すべき 門間一夫氏 経済 8月30日 ――米金融危機からまもなく10年ですが日欧は金融緩和を続けています。米国も利上げは進めていますが歴史的にはなお低金利です。 「リーマン・ショックの温床となった米金融バブルは金融規制が不十分だったことと、それまでの金融緩和が長く続きすぎたことが影響した。その反省を踏まえ、金融規制改革が進み、銀行の資本は厚く流動性は高まり、金融システムはかなり頑健になった。 だが、金融緩和については反省が生かされず、 物価偏重の緩和は見直すべき 門間一夫氏
成功率はわずか2割 M&Aは失敗の歴史 経済 8月30日 世界で繰り返されてきたM&A(合併・買収)。日本企業の海外買収の成功率は1~2割、海外企業同士でも5割とされ、その多くが失敗の歴史だ。M&Aの実施前後の時価総額の比較が成否を判断するモノサシのひとつ。M&Aを実施する前の単純合計値から時価総額が落ち込み、1+1が3どころか2にもなっていない例が多いことが分かる。 「バブル期の買収のにおいがした」。産業創成アドバイザリーの佐藤文昭共同創業者がこう指 成功率はわずか2割 M&Aは失敗の歴史
41兆ドル、年金の自縄自縛 逃げ水の利回り 経済 8月29日 米国の時限爆弾――。米投資家のウォーレン・バフェット氏がこう呼んだ米国の年金問題が顕在化しつつある。舞台はトランプ大統領の支持基盤、ラストベルト(衰退した工業地帯)が広がる米イリノイ州だ。 元イリノイ州立大学教授のケント・レッドフィールドさん(70)は「年金のお先は真っ暗だ」と話す。同州の公務員年金は州民の5%にあたる約70万人が加入する。金利低下による運用難が年金財政を圧迫し、資産の積み立て不 41兆ドル、年金の自縄自縛 逃げ水の利回り
政治家も手がつけられない 日本総研・西沢主席研究員 経済 8月29日 「年金」と聞けば次に「改革」という言葉を連想するほどに「安心」からはほど遠くなりつつあるのが、今の世界の年金制度の姿だ。少子高齢化が進む低成長社会にでは年金の仕組みそのものの限界が浮き彫りになり、政治も手をつけられなくなってきている。公的年金制度に詳しい日本総合研究所の西沢和彦主席研究員に現状の問題点と改革の処方箋を聞いた。 ――世界で年金資産の積み立て不足が露呈しています。 「高い経済成長と高 政治家も手がつけられない 日本総研・西沢主席研究員