事業承継[日経] M&Aの対策と計画、実例から学ぶ

2023年

団体客から転換　愛犬家を取り込み単価改善

「人手が足りないから餅つきはやらないよ」。旅館を営む父のこの言葉が家業を継ぐきっかけになりました。2013年のことです。私の実家は静岡県伊豆の国市の温泉郷である長岡で1世紀超の歴史を誇る旅館。餅つきは年始の恒例行事でした。当時、私は大手電機メーカーの営業でしたが「何か役に立ちたい」と考えた。そこで街の旅館や商店の後継ぎに声をかけ、餅つき大会を開催。長岡を盛り上げる「長盛隊」も組織して定期的にイ

団体客から転換　愛犬家を取り込み単価改善

祖業を軸に事業多角化、旅館買収で写真とシナジー

3月28日

1976年に父親が茨城県ひたちなか市に小野写真館を設立し、2010年に私が社長に就きました。当時はフィルムからデジタルへの移行期。写真撮影事業だけでは経営が厳しく、収益の多角化を意識します。ブライダルや成人式向けの振り袖レンタルなど、祖業で培った撮影技術を軸に事業を広げています。20年には静岡県の旅館を買収し、宿泊業に参入しました。幼少期は「写真屋の息子」と呼ばれるのが嫌でした。家業を継ぐつも

祖業を軸に事業多角化、旅館買収で写真とシナジー

温泉水でトマト栽培、異分野へ挑戦　苦難の旅館を支える

私は静岡県焼津市にある創業70年超の温泉旅館「蓬来荘（ほうらいそう）」の4代目です。他の仕事を経験してから家業を継ぐつもりでしたが、私が大学3年生の夏に母が体調不良に。1999年の大学卒業後、実家に戻りました。東日本大震災や台風、新型コロナウイルス禍などで本業は何度も苦難にあっています。今も昨秋の台風被害で休館中ですが、今年の夏ごろの再開へ準備しています。コロナ禍で経営を支えてくれたのはトマト

温泉水でトマト栽培、異分野へ挑戦　苦難の旅館を支える

負債多い旅館　ターゲット層絞り高付加価値を

宿泊業界は30年ほど前まで、社員旅行や接待といった法人の団体旅行が主な需要でした。1部屋に5〜6人が泊まるビジネスモデルです。1980年代後半のバブル経済のときには金融機関からお金を借り、建物を増築したり、部屋を広げたりする旅館が相次ぎました。しかしバブル崩壊による経費削減で団体旅行は減り、個人旅行がメインになりました。1部屋に泊まる人数が減り、利益率も低下。財務省によると、中小の宿泊業の従業

負債多い旅館　ターゲット層絞り高付加価値を

中途入社から社長に、30年ぶり新ブランドで技術向上

1548年創業の吉乃川（新潟県長岡市）はもともと顧客でした。私は1996年に大学を卒業した後、マーケティング企業に入社。関心のあった食品業界を5年目ごろから担当して、吉乃川の日本酒の営業支援も請け負い、自ら起業した後も取引していました。2008年、当時の役員から請われ、吉乃川に入社することになります。最初に携わったのが、スーパーなど量販店への売り込みです。当時は飲食店向けの販売が全体の6割を占

中途入社から社長に、30年ぶり新ブランドで技術向上

110年続いた生産の停止で決心、地元の酒店に復活託す

1993年に父が経営していた栃木県大田原市にある池島酒造の4代目になり、2021年に事業承継・引継ぎ支援センターを通じ、酒類の小売店を営む経営者に事業を譲渡しました。創業は1907年で、初代が地元を流れる箒川（ほうきがわ）の水の良さに魅了されて、酒造りを始めたのがきっかけです。家訓は「主人自ら蔵に入るべし」です。主力の「池錦」ブランドをつくり、65年ごろには年間10万本を生産して完売。原料の米

110年続いた生産の停止で決心、地元の酒店に復活託す

「獺祭」詰め込みニューヨークへ　先代健在のうちに挑戦

「店主に『獺祭』を置いてほしいと伝えておいたから、このレストランに行ってみて」。英語のメールを読むと、前に当社が製造する日本酒「獺祭」を紹介し、名刺を渡した人物からのようです。当初、難航した米ニューヨークでの販路開拓が少しずつ実っていく手応えを感じました。この出来事から数年前の2006年、私は家業に戻りました。製造を中心に1年半ほど働いた後、唐突に父から海外営業の命を受けます。獺祭をスーツケー

「獺祭」詰め込みニューヨークへ　先代健在のうちに挑戦

2022年

日本酒の出荷7割減　異業種や若手、海外に活路

日本国内の酒蔵を取り巻く環境は厳しさが増しています。国税庁によると、2020年度の日本酒の出荷量はピーク時の1973年度と比べ、約7割減りました。酒類の多様化や消費者の高齢化、結婚式などでの日本酒がワインに置き換わるなど、嗜好の変化が影響しています。酒類産業は地域の産業や文化に伝統的に根付き、結びつきが強いことが特徴です。また国からの免許がないと、製造も販売もできません。日本酒は輸出用を除いて

日本酒の出荷7割減　異業種や若手、海外に活路

下請けの金属製品から転換　ピクルスでブランド築く

12月6日

曽祖父が1935年に創業し、エレベーターのつり下げなどに使うワイヤロープの製造業を営んできました。87年に父が継いで、安価な中韓製品と競っていましたが、取引先の調達方針の変更によって経営が悪化しました。今は「第二の創業」を通じて、大阪府泉佐野市の名産の地場野菜を使ったピクルスを開発し、生産、販売まで手がけています。下請けから脱却するため、新規事業でのSPA（製造小売り）に踏み切りました。もとも

下請けの金属製品から転換　ピクルスでブランド築く

3Dでスピード試作　産業界の共通ニーズに着目

2010年、家電や自動車向け部品などを製造していたスワニー（長野県伊那市）を父親から継ぎました。取引先が人件費の安い海外に拠点を移し、事業が苦しかった時期です。リスクを分散するため、様々な業界で普遍的に利用される事業に着目。3次元（3D）プリンターでの樹脂製の金型製作サービスに活路を見いだしました。今は従業員が15人ほどで、取引先は900社程度に増えました。創業は1970年で、大手企業向けにモ

3Dでスピード試作　産業界の共通ニーズに着目

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