はや揺らぐ23年度成長見通し 実態と乖離、目つむる政府 Think! コラム 経済 1月23日 あたらないことで知られる政府の経済見通しが、公表から1カ月で早くも揺らいでいる。内閣府が2022年12月に発表した23年度の見通しは、発表前後に起きた為替や金利の変動を反映できていない。従来の見通しと同じように景気への見方も甘い。「見通しは目標値」と言い切る内閣府幹部から精度を高めようとする姿勢はうかがえないままだ。 「昨年末から変化が激しい。ただ前提の置き方を変えるのも必要のない誤解を招いてし はや揺らぐ23年度成長見通し 実態と乖離、目つむる政府
財政収支改善の内実 政府内移転が「かさ上げ」 Think! 経済 1月16日 政府は2023年度予算案で過去最高の税収と税外収入の急増を見込む。財政健全化の目安となるプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)の黒字化に向けて着実に進んでいるかと言えば、実はそうとも言い切れない状況だ。防衛財源として確保する税外収入の大部分は特別会計の余剰資金で、実態は政府内での資金移転にすぎない。 「114兆3812億円、『いい予算、八方これで十二分』であるが、財政健全化の観点から内心、 財政収支改善の内実 政府内移転が「かさ上げ」
荒れた整備新幹線論議 逆風強まる収益性は素通り 経済 1月9日 毎年末の政府予算案編成で注目を集める整備新幹線。2023年度予算案は4年連続で建設費804億円を計上する一方、今後の事業計画を巡って22年12月中下旬の与党の審議は荒れに荒れた。方針通り着工できないことや事業費の膨張が分かり、地元議員から不満や反発の声が噴出した。 「憤りさえ覚える」。整備新幹線に関する与党の委員会で、高木毅委員長(自民党)は怒気を強めた。北陸新幹線の延伸(敦賀-新大阪間)につい 荒れた整備新幹線論議 逆風強まる収益性は素通り
政府予算や年金、洋上風力…2022年政策ニュースの底流 経済 12月31日 エネルギー、財政、年金--。2022年も日本や世界の行方について考えさせられるニュースが相次ぎました。経済を中心に政策取材を続けている記者たちは何を目撃し、どう考えたのか。ニュースの裏側や隠れた視点を紹介してきたコラム「底流」から、よく読まれた記事を紹介します。 ■洋上風力、安さか早さか 再生エネ普及へ評価基準で論争 欧州などに後れをとった洋上風力発電。各海域の事業者を選ぶ入札を受けて、評価基準 政府予算や年金、洋上風力…2022年政策ニュースの底流
漂流する防衛財源 税外「5兆円強」、土壇場の空手形 コラム 経済 12月29日 防衛力強化の財源論が漂流を続けている。財務省は2023年度予算案が決まった23日、今後5年間の財源構成を示す資料を公表した。検討過程では「4.6兆円程度」とされていた税外収入の規模は、最終盤で「4.6兆~5兆円強」に書き換えられた。増税の先延ばしと圧縮を狙う与党の意向が浮かび上がる。 政府は27年度までの防衛費を43兆円程度とする方針だ。22年度の水準が続く場合に比べて14.6兆円程度の上積みと 漂流する防衛財源 税外「5兆円強」、土壇場の空手形
復興税、森とミサイルに変身 理屈よりも取りやすさ 税・予算 コラム 経済 12月26日 東日本大震災の復興特別所得税の課税期間が延びる見通しになった。防衛費増額の財源確保のためだ。復興税の枠組みを復興と縁遠いことに使うのは初めてではない。 「復興所得税を使うなんてあり得ない」。防衛財源として法人税とたばこ税を合わせた3税が示された際、与党内で批判や疑問の声があがった。 所得税額に2.1%を上乗せする復興所得税は2013年に導入し、25年間課税して37年に終える予定だった。自民、公明 復興税、森とミサイルに変身 理屈よりも取りやすさ
「後回し」の介護保険 宙に浮く負担増議論 コラム 経済 12月19日 介護保険制度の見直し議論が先送りになっている。年間10兆円超に膨張した介護費用を今後、誰がどう負担するかが最大の焦点だが、取りまとめの時期を迎えた今も具体策は宙に浮いたままだ。医療、子育てなどでも国民の負担増が不可避となるなかで「介護は後回しでもよい」と甘くみている政府の姿勢が透ける。 「年内の取りまとめに向けて議論を行っていただく」。加藤勝信厚生労働相は13日の閣議後の記者会見で、介護分野の給 「後回し」の介護保険 宙に浮く負担増議論
原発政策、強まる地元の存在感 運転期間延長でも配慮 コラム 経済 12月12日 「同窓生ということで気軽に厳しいことを伝えているかもしれないが、地域の真意をくみ取ってもらいたい」。鳥取県の平井伸治知事は開成高校(東京・荒川)の後輩にあたる経済産業省資源エネルギー庁の保坂伸長官にこう声をかけた。 11月、中国電力島根原子力発電所2号機(松江市)の再稼働に伴う防災対策についてオンラインで会談した時のことだ。経産省は原発の周辺県である鳥取県にも原発関連の交付金を新たに最大5億円交 原発政策、強まる地元の存在感 運転期間延長でも配慮
検査キット市販、なお医師会の壁 インフル単独は見送り 新型コロナ Think! コラム 経済 12月5日 厚生労働省は11月28日、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの感染を同時に調べる抗原検査キットの市販の解禁を決めた。これまで医療機関での使用に限られていたキットの一般用検査薬への転用(OTC化)を容認した。インターネットなどで購入し、自己検査で使えるようになる。もっとも認めたのはコロナとインフルの「同時検査」のみ。インフル単独のキットはなぜ市販化されなかったのか。 結論を言えば、日本医師会 検査キット市販、なお医師会の壁 インフル単独は見送り
半導体「ベスト&ブライテスト」の挑戦 敗北に何学ぶ 半導体 経済 11月28日 「日米のベスト&ブライテストの結集を図る」。 次世代半導体の国内生産を目指す新会社「Rapidus」(ラピダス)が船出した11日、経済産業省の支援策を説明する資料の文言に目がとまった。 「ベスト&ブライテスト」は「最良で、最も聡明(そうめい)な人たち」の意味だ。1960年代、ケネディ米政権に集い、ジョンソン政権が引き継いだ知的エリートたちを指すのに使われた表現だが、必ずしもいい意味ばかりではない 半導体「ベスト&ブライテスト」の挑戦 敗北に何学ぶ