検査・考査を一体運用 地方に広がる監視の目 経済 金融機関 コラム 4月8日 桜が咲き始めた3月中旬、日銀内には安堵の空気が広がっていた。金融庁と議論を重ねてきた検査・考査の一体運用で、2021年度以降の方針がまとまったからだ。担当する金融機構局の幹部は「前向きな内容に落ち着いて良かった」と語る。 金融庁検査と日銀考査の連携強化の議論は自民党の提言に背中を押される形で加速した。「金融庁と日銀の縦割り打破」という題名で、同党金融調査会などが20年10月に政府へ提言した。かね 検査・考査を一体運用 地方に広がる監視の目
日銀の政策修正、随所に浮かぶ円高対応 経済 為替・金利 3月25日 日銀は19日、3カ月間に及ぶ金融政策の点検の結果と政策の修正を発表した。「物価は上がりにくい」という人々の意識を変えるには相当な時間がかかると認め、粘り強く緩和を続けるための体制を整えた。ある日銀幹部は「景気や物価を押し上げるための追加緩和は必要ないということがハッキリした。マイナス金利の深掘りは円高が進みデフレ懸念が再燃したときに限られるだろう」と話していた。 今回の点検は2020年12月の金 日銀の政策修正、随所に浮かぶ円高対応
日銀「3月点検」迷惑顔の金融機関 経済 金融機関 為替・金利 3月11日 「なぜ3月なんだ」。日銀が18~19日に開く金融政策決定会合で示す政策点検の結果を巡り、民間の金融機関でこんな不満の声が漏れている。3月は決算期末に当たる。点検を受けた政策修正で金利や株価が動けば、今期業績にも波及する。迷惑顔の理由は土壇場で見直しを迫られるリスクがあるためだ。 日銀は2%の物価安定目標が新型コロナウイルス禍で遠のいたとして、2020年12月の金融政策決定会合で政策点検の実施を決 日銀「3月点検」迷惑顔の金融機関
長引くマイナス金利、綻ぶ「芸術作品」 経済 金融機関 為替・金利 2月25日 「金利誘導が近い将来うまくいかなくなるのではないか」。最近、市場関係者が懸念の入り交じった視線を向けている指標がある。無担保コール翌日物金利だ。 金融機関が短期の資金を貸し借りする際の代表的な金利で、ここのところ上昇基調にある。直近の1月の平均金利はマイナス0.01%台半ばと約1年ぶりの高水準となった。マイナス金利政策を導入した2016年以来、約5年ぶりの高さも視野に入る。 背景を読み解くうえで 長引くマイナス金利、綻ぶ「芸術作品」
ミャンマー政変、国際協調の揺らぎを不安視 経済 2月11日 「中央銀行の総裁まで辞めさせられたみたいだ」。ミャンマーで起きた国軍によるクーデターを巡り、日銀が情報収集を急いでいる。 1日、ミャンマー国軍はクーデターの強行により立法・行政・司法の全権を掌握した。民主化を主導してきた国家顧問のアウン・サン・スー・チー氏らが拘束された今回の政変では、ミャンマー中銀の総裁も解任。ロイター通信によると、後任には軍事政権下で総裁を務めたタン・ニェイン氏を再任命したと ミャンマー政変、国際協調の揺らぎを不安視
「リフレ派再び」の不意打ち 経済 金融機関 為替・金利 1月28日 「菅さんはマクロの金融政策にあまり関心がない」「政権との関係は金融緩和を迫った安倍晋三前首相のときが特殊で、これからは通常の姿に戻る」。2020年9月に菅義偉政権が発足したころ、日銀内で聞いた声だ。新型コロナウイルス対応や地銀再編などで協調姿勢を示せば、政権に攻め込まれることはない。そんな雰囲気だった。 こうした日銀の期待を吹き飛ばすような人事案が21日、国会に提示された。3月末に任期を満了する 「リフレ派再び」の不意打ち
「伝家の宝刀」は機械を切れるか 経済 1月14日 「為替をはじめ金融市場急変のリスクには注意が必要だ」。日銀が2020年12月に開いた金融政策決定会合で円高が議論になった。21年に入ると外国為替市場で一時1ドル=102円台半ばまでドルに対して円高が進み、警戒感はさらに高まった。米国の長期金利上昇に伴い、いったん1ドル=104円台まで戻したもののドル安懸念は強い。 円相場の節目と意識されるのは1ドル=100円。近づくたびに大量の円売り・ドル買いで 「伝家の宝刀」は機械を切れるか
「法王超え」見据える黒田総裁 そのレガシーは 経済 金融機関 為替・金利 1月7日 「1本のオペ(公開市場操作)が政策変更を示唆したり、先取りしたりすることはない」。日銀関係者が口にする常とう句の一つだ。それでも年明け早々の4日のオペは、市場に思惑を広げるものとなった。 新型コロナウイルスの感染再拡大で菅義偉首相が緊急事態宣言の再発令を検討すると伝わったこの日、株安進行を踏まえ日銀は上場投資信託(ETF)の購入に動いた。サプライズは購入額を500億円強と従来の700億円強から引 「法王超え」見据える黒田総裁 そのレガシーは
脱炭素、黒田総裁は「本音」を明かせるか 経済 為替・金利 12月24日 「来年にかけて、より真剣に考えていくべきテーマであることは分かるんですけどね」。年の瀬が迫るなか、日銀内で戸惑いの声が上がる。国内外で議論が急速に盛り上がる気候変動への対応についてだ。 日銀の使命は物価と金融システムの安定にあり、金融政策には中立性が求められる。中央銀行として環境分野に絞った支援は適切か。そもそも気候変動は物価にどんな影響を与えるか。明確な答えはなく、これまで日銀は半身の姿勢で情 脱炭素、黒田総裁は「本音」を明かせるか
コロナ長期戦、「ゾンビ」増殖に身構え 経済 金融機関 為替・金利 12月10日 「そろそろ『じゃぶじゃぶ』の点検に取りかからなければならない」。日銀内では最近、こんな声が上がり始めている。 「じゃぶじゃぶ」とは、新型コロナウイルスで打撃を受けた企業への資金繰り支援策のことだ。日銀は3月以降、融資を促すため金融機関に有利な条件で資金を供給する政策を導入・拡充してきた。11月下旬時点の残高は51兆円と国内総生産(GDP)の1割にあたる水準まで膨らんだ。 政府による給付金などもあ コロナ長期戦、「ゾンビ」増殖に身構え