闇バイトが映す犯罪の変質、「半グレ」が新たな脅威に 坂口 祐一 編集委員 2月21日 「もうかる仕事、あります。たたくか、かけるか、書くか。どれがいいですか」――。こんな誘いの文句が、スマートフォンの画面に浮かび上がる。 ちょっとしたアルバイトの募集、といった軽いノリ。だがこのSNS(交流サイト)上での闇バイトの勧誘こそが、いまの犯罪のありようを象徴している。 「たたく」は電話で資産状況を探ったうえで押し入るアポ電強盗。「かける」はオレオレ詐欺などで被害者宅に電話をする「かけ子」 闇バイトが映す犯罪の変質、「半グレ」が新たな脅威に
雨森芳洲に見る日韓関係、「欺かず、争わず」今こそ 毛糠 秀樹 コラム 編集委員 2月7日 「人間という存在に対する限りない優しさであるといえるだろう」。江戸時代、対馬藩に仕えた雨森芳洲(あめのもり・ほうしゅう、1668~1755)の人柄の特徴を司馬遼太郎は、こう残した。将軍の代替わりに訪れた500人の外交団「朝鮮通信使」の応接役として、堪能な語学を操り、友好を旨として職務にあたった。今の日韓関係へも多くの示唆を与える。 芳洲は滋賀県長浜市高月の生まれ。今も「雨森」の名を冠した集落が残 雨森芳洲に見る日韓関係、「欺かず、争わず」今こそ
立ち往生する夫婦別姓論議、「伝統」の呪縛いつまで 大島 三緒 1月31日 民俗学者の柳田国男が昭和初期に書いた「明治大正史世相篇」は、目からウロコの名著だ。この本を読むと、人々が古くから受け継いできたはずの風習や制度の多くが、じつは近代の所産であることがわかる。 一例を挙げれば、明治以降の日本の食物はそれまでより温かく、柔らかく、そして甘くなった――という指摘が興味深い。鍋料理など「僅々五六十年内の発明であり、また普及である」と柳田は看破した。 およそ日本の「伝統」な 立ち往生する夫婦別姓論議、「伝統」の呪縛いつまで
絵本の読み聞かせは今 遠隔でも思い伝わる コラム 1月24日 絵本を通じて子どもの心を豊かにする読み聞かせ活動。全国各地で営まれ、本離れの防止に貢献してきた。新型コロナウイルス禍で対面では難しくなった今、「対面が本来」という葛藤を越え、オンラインで開催する試みが芽吹いている。 「うまれるまえ わたし くものうえにいたの……」。ひだのかな代さんの絵本「うまれるまえのおはなし」を、読み手の佐賀のり子さんがパソコンを前に朗読する。2020年に行われた「オンライン 絵本の読み聞かせは今 遠隔でも思い伝わる
国税当局で相次ぐ不祥事、国民からの信頼を失うな 1月17日 国税当局で職員の不祥事が相次いでいる。現職の税務署職員が新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕されたほか、消費税の不正還付や大麻関連の事案も起きている。 人事院の資料によると、在職者数が約5万8千人いる国税庁では年間50件前後の懲戒処分がある。懲戒処分数を在職者数で割った比率は0.09%(2019年)で、他の省庁と同程度。20年は1~9月で28件と処分数が突出して 国税当局で相次ぐ不祥事、国民からの信頼を失うな
子どもに託すコロナ禍の社会支援、学びの場で考える 東京 コラム 1月12日更新 コロナ禍での生活困窮者などを支援するために集まった寄付金の使い道を、中高生に託す取り組みが始まった。社会に横たわる問題・課題について各分野の支援団体の活動から学んだ生徒が、寄付文化の普及を目指すNPOが募った寄付金の使い道を決める。他者の困難をわが事として受けとめ、共生社会を担える若者が育つ姿を学びの場に見た。 2020年11月6日午後3時すぎ。兵庫県立小野高校の教室で国際経済科3年の社会貢献を 子どもに託すコロナ禍の社会支援、学びの場で考える
多様化する寄付、コロナ禍で意識変化 1月3日 店舗の片隅に置かれた箱には乾麺やレトルト食品、缶詰などが入っていた。大阪市鶴見区の生協、おおさかパルコープつるみ店。「箱がいっぱいになってしまうときもある。協力してくれる人が増えています」と職員の一人は話す。 パルコープは家庭で消費しない食品を組合員に寄付してもらい、大阪市内や周辺市のこども食堂に運んでいる。最初は賞味期限の関係などで店頭販売や配送ができなくなった食品を無償で提供してきたが、取り 多様化する寄付、コロナ禍で意識変化
部活動と体罰、根絶への道遠く 対症療法の効果に疑問 12月27日 生徒2人に体罰で重軽傷を負わせたとして、兵庫県宝塚市の市立中学校の男性教諭=傷害罪で起訴=が11月末に懲戒免職となった。教諭は柔道部の顧問で有段者。9月下旬、道場の冷凍庫にあったアイスを部員が無断で食べたことをとがめ、投げ技や寝技による暴行を加えたという。 「報告を受け、我が耳を疑った」。同市の中川智子市長は市民への謝罪の中でこう吐露した。教諭は過去に3度も体罰で処分を受けていた。学校側はなぜ顧 部活動と体罰、根絶への道遠く 対症療法の効果に疑問
受刑者が電子商取引サイト、デジタル訓練で再起促す コラム 12月20日 秋芳洞やカルスト台地の美景で知られる山口県美祢市。観光客や住民が立ち寄る「道の駅 おふく」では、台地の肥沃な土壌で育った特産品の根菜などの商品が人気だ。 この道の駅は、電子商取引(EC)サイト「ヤフーショッピング」に出店し、ゴボウを原料としたスナック菓子や麺類などの加工品を全国に販売している。 でも、このサイトを作ったのが、官民協働の刑務所「美祢社会復帰促進センター」の受刑者であることはあまり知 受刑者が電子商取引サイト、デジタル訓練で再起促す
「森林療法」に科学の光、心身癒やす効果解明 コラム(社会・くらし) 12月5日 札幌に初雪が舞った11月初め、野幌森林公園の遊歩道を約20人の男女が落ち葉を踏みしめて歩いていた。江別市の江別すずらん病院に通院する患者のグループだ。樹齢200年を超す巨木を見上げ、野鳥の声に耳を澄ます。樹木の清冽(せいれつ)な香りが漂い、時折森の奥から吹く風が木々を揺らす。 同病院には、このグループが月2回森の中をウオーキングするほか、中高生の思春期グループが3~4カ月に1度、森歩きや釣りなど 「森林療法」に科学の光、心身癒やす効果解明