電子化、値上げではおぼつかない マイナ保険証を義務に 大林 尚 Think! コラム 編集委員 4月27日 お金をつければ動いてくれるだろう。病院や診療所など医療機関の行動をある方向に誘導したいときに厚生労働省が多用するのが、診療報酬の引き上げだ。 私たちが心身に不調を感じて医師にかかったとき、受けた医療サービスの対価として負担するのが診療報酬である。検査、治療など一つひとつの医療行為に決まった値段がついている。医師が書いた処方箋を調剤薬局に出して購入する薬の値段(薬価)も、診療報酬の一種だ。 これら 電子化、値上げではおぼつかない マイナ保険証を義務に
年金を台なしにする5000円給付 実現なら大失政に 大林 尚 参院選2022 Think! コラム 経済 編集委員 3月23日 1980年代、筆者は地方支局で記者修業した。赴任先は有数の農業県だった。当時、県出身の国会議員の数は保守系与党が野党を圧倒していた。 まだ中選挙区制の時代である。県庁所在地から遠く離れた選挙区で上位当選の常連だった有力議員には、選挙違反をしているのではないかという疑惑がささやかれていた。選挙取材でこの候補に密着したこともあるが、もちろん違反の現場に出くわすようなことはなかった。 ある日、県議会の 年金を台なしにする5000円給付 実現なら大失政に
泥縄だから結果ノーグッド 持ち腐れコロナアプリ 新型コロナ 大林 尚 コラム 経済 編集委員 2月23日 「泥縄だったけど、結果オーライ」。新型コロナウイルスの感染第1波が収まった2020年の夏ごろ、首相官邸の関係者がこう語った。 政策シンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」が設けた新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調、小林喜光委員長)が、政府の幹部や担当者らへの聞き取りを重ね、結果をまとめた報告書(20年10月刊)に登場する名言だ。 言い得て妙。当時、日本は人口あたりの感染者 泥縄だから結果ノーグッド 持ち腐れコロナアプリ
医学部合格率、初の男女逆転 みえてきた医学教育の課題 大林 尚 Think! コラム 経済 教育 編集委員 1月26日 医学教育史上、初めてであろう。医師養成課程をもつ大学の医学部入学試験の合格率が、2021年度は女性が男性を逆転した。全国の国公私立81大学の入試結果を集計した文部科学省によると、受験者総数に占める合格者総数の割合は男13.51%、女13.60%だった。女性のほうが合格率が低い大学の割合は、前年度の67%から44%に急落した。 折しも入試シーズンの盛りである。東京医科大(新宿区)が文科官僚の子息の 医学部合格率、初の男女逆転 みえてきた医学教育の課題
育休にみる父母格差と官民格差 職場の空気は理由にならず 大林 尚 Think! コラム 経済 編集委員 12月22日 早稲田大学大学院の教授職の傍らソフトバンクグループなどの社外取締役をしていた川本裕子氏が人事院総裁に就いて半年がたつ。就任前、衆参両院の議院運営委員会で語った所信の一つが「行政組織の経営管理力を高め、公務員が意欲をもって全力で仕事に取り組む環境をつくる」だ。国家公務員の職場環境はどう変わるのか。 東京・霞が関には国の役所があまたあるが、人事院と聞いてピンとくる人は少ないに違いない。ウェブサイトに 育休にみる父母格差と官民格差 職場の空気は理由にならず
保育・介護で強まる公務員色 サービス向上、民の創意で 岸田新政権 税・予算 大林 尚 Think! コラム 編集委員 11月24日 1961~70年度を計画期間とする所得倍増計画で、池田勇人は実質成長率の年度平均目標を7.8%と定めた。池田は64年に首相の座から降りたが、この10年間の平均成長率は10%を超えた。世に言う高度成長である。 池田が創設した自民党内の派閥、宏池会の現会長である岸田文雄氏は、これにならい令和版の所得倍増計画を引っ提げて9月の党総裁選に出馬し、ほかの3候補を圧倒する勝利を収めた。当時は医師、看護師、介 保育・介護で強まる公務員色 サービス向上、民の創意で
「30兆」「いや50兆」 軽々しい党首の言葉 衆院選2021 税・予算 大林 尚 コラム 経済 編集委員 10月27日 30,000,000,000,000円。31日に投票日を迎える衆院選に立憲民主党が勝利し、政権を奪取したと仮定した場合、枝野幸男代表がただちに編成すると公約した2021年度補正予算案の規模である。正確には「総額30兆円を超える」と同党の公約集「政権政策2021」にある。 100万円の札束の厚さはおよそ1センチ。30兆円分を積み重ねると300キロの高さになり、てっぺんは国際宇宙ステーションが航行す 「30兆」「いや50兆」 軽々しい党首の言葉
年金論戦、河野氏は筋金入り 厚労省の不作為突く 自民党総裁選2021 税・予算 大林 尚 Think! コラム 経済 編集委員 9月22日 自民党総裁選の政策論戦のテーマに年金改革が浮上した。岸田文雄、高市早苗、野田聖子の3候補には想定外だったのではないか。 仕掛けたのは河野太郎氏だ。出馬を表明した今月10日の記者会見では年金の「ね」の字も出なかったが、同日夜に出演したテレビ東京系列の「ワールドビジネスサテライト」で、自らこの問題を提起した。 首相になった場合、在任中の消費税率の扱いをどうするかを番組キャスターに問われ「わからない」 年金論戦、河野氏は筋金入り 厚労省の不作為突く
「世界に冠たる医療」崩壊 国費大盤振る舞いにケジメを 新型コロナ 税・予算 大林 尚 コラム 編集委員 8月25日 筆者が医療制度改革を取材テーマの一つに選んで20年ほどがたつ。この間「世界に冠たる日本の医療」なる麗句をたびたび聞かされた。日本医師会の歴代会長、与野党議員、厚生労働官僚――。同省審議会の常連委員にも何かというと「世界に冠たる」を持ち出す大学教授がいた。 国民皆保険制のもと、病院や診療所で健康保険証を出せば医療サービスを等しく低コストで受けられる仕組みを自賛したものだ。制度改革は不要と暗示してい 「世界に冠たる医療」崩壊 国費大盤振る舞いにケジメを
アストラワクチンなぜ使わぬ デマ撲滅をめざすなら 新型コロナ 大林 尚 コラム 編集委員 7月21日 ワクチンデマの歴史は古い。 18世紀。英国の医師エドワード・ジェンナーが開発した天然痘のワクチン種痘法は、牛からうつる牛痘にかかった人の膿(うみ)を未感染者に植えつけて天然痘の抗体をつくるやり方だった。1977年に東アフリカのソマリアで確認されたのが地球上で最後の天然痘患者である。世界保健機関(WHO)は80年、根絶を宣言した。 牛痘にかかった人は天然痘にもかからないという酪農家の言葉にヒントを アストラワクチンなぜ使わぬ デマ撲滅をめざすなら