危機における政治の言葉 坂本 英二 編集委員 政治 コラム 2月21日 世の政治家に必要な資質は様々あるが、危機に直面した国のリーダーに求められる大事な役割は国民に語りかける力だろう。 共に脅威と闘い、時に励まし、希望の道しるべとなる。理詰めの説明よりも困難に立ち向かう覚悟が伝わるかどうかが試される。 自民党議員に尊敬する政治家を尋ねると、チャーチル元英首相の名がよくあがる。第2次世界大戦でドイツ軍の激しい空襲を受けながら「絶対に屈服しない」と国民を鼓舞し続けた姿に 危機における政治の言葉
首相と麻生氏の原点回帰 新型コロナ 政治 2月14日 菅義偉首相が透明な板に文字を映し出すプロンプターを初めて使って臨んだ2日の記者会見。壇上には東京都の新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあることを示すグラフのパネルが立てかけられた。この原案を作ったのは厚生労働省ではなく財務省だった。 「東京の感染者数はこんなふうに確実に減ってきているんですよ。対策の効果は確実に出ています」。1月下旬、麻生太郎副総理・財務相は首相に1枚の紙を示した。首相は一 首相と麻生氏の原点回帰
メルケル後 日独に吹く風 英EU離脱 赤川 省吾 編集委員 ヨーロッパ コラム コラム 2月7日 「欧州の女王」として君臨してきたメルケル独首相が2021年秋に4期16年の任期を終えて退く。ポスト・メルケルで対日政策にはどんな風が吹くのか。 1月、保守系与党キリスト教民主同盟(CDU)は党内リベラル派の重鎮ラシェット氏を新党首に選んだ。9月に議会選。足元の世論調査で第1党の勢いだから次期ドイツ首相の有力候補だ。 日本では無名のラシェット氏。実は対日外交に強い関心を示したことがある。 「日本と メルケル後 日独に吹く風
議員育成、袋小路の四半世紀 政治 コラム 1月31日 自民党の当選3回前後の衆院議員と話すと今年の衆院選はこれまでと違うという雰囲気が伝わってくる。菅義偉首相の内閣支持率が急降下するとともに、新型コロナウイルスの影響で地元活動も思うようにいかないからだろう。 東京21区が地盤で自民党の小田原潔氏は収入減に苦しむ有権者から苦情の電話を受けるのが多くなった。2012年に初当選し17年の前回選挙は希望の党(当時)で出馬した長島昭久氏に敗れ比例で復活した。 議員育成、袋小路の四半世紀
コロナ対応「河野カード」の光と影 新型コロナ 政治 1月24日 菅義偉首相が河野太郎規制改革相に白羽の矢を立てた。新型コロナウイルス対策の「決め手」と位置づけるワクチン担当に指名し、全体の調整を任せた。 1年数カ月前。当時、安倍晋三政権で官房長官だった首相が河野氏に活路を見いだそうとしたことを思い出す。 「次の総裁選は河野をやる。改革志向で年齢も若い」。首相は地元関係者らにこう告げ、驚かせた。 当時、首相は安倍氏の「桜を見る会」を巡り批判の矢面に立っていた。 コロナ対応「河野カード」の光と影
菅政権の行方を占う知事選 菅内閣 大石 格 政治 コラム 1月17日 菅義偉首相にとって初めての通常国会があす18日、始まる。150日間の長丁場を無難に乗り切り、9月の自民党総裁選での再選、10月までにある衆院選での勝利につなげられるか。政権の先行きを読むには、どこに目を凝らせばよいのだろうか。 テレビのワイドショーなどが好んで取り上げる指標は内閣支持率だ。出だしこそ好調だったが、新型コロナウイルスの第3波到来とともに急落したことは大きく取り上げられた。 NHKが 菅政権の行方を占う知事選
「経済大国」のNEOリアリズム 日中対立を生き残る道 中国・台湾 政治 コラム 1月10日 2021年、もしもこんな事態が起きたら日本はどう対処するだろうか。 ▼沖縄県尖閣諸島周辺の日本の領海で「中国海警局」が尖閣へ無断上陸を図ったと称する「中国漁民」を逮捕 ▼中国政府は直ちに声明で「中国の施政下にある海域で、日本とのあつれき回避のため、管轄権を行使した」と宣言 ▼同行した中国のテレビ局が一部始終を撮影した映像を繰り返し流し、センセーショナルな映像をみた海外メディアも報道 日本の領海内 「経済大国」のNEOリアリズム 日中対立を生き残る道
首相を待つ「ハネムーン」後 政治 12月27日 菅義偉首相が安倍政権で官房長官だった頃、激務をこなすコツを聞いてみた。 「まずは生活のリズムを崩さないことですね。そして、感情の起伏をつくらないのも大事。平常心でいないと判断も間違えるし、体も持たない」 2012年の安倍政権発足時から7年8カ月の間、危機管理を担った。北朝鮮によるミサイル発射や地震などの突発事案にも対応する心得であり、納得した覚えがある。 今年9月の政権発足から100日目にあたる 首相を待つ「ハネムーン」後
首相の為替防衛ライン バイデン次期政権 政治 コラム 12月20日 本気で伝家の宝刀を抜くつもりなのか――。米メディアが米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領の勝利が確実になったと報じた11月上旬、財務省に動揺が走った。 震源地は首相官邸だった。「100円を割らないようにしてくれ」。複数の関係者によると、菅義偉首相は財務省幹部らに伝えた。外国為替市場で節目となる1ドル=100円の突破を見据えて円売り・ドル買いの為替介入を準備せよ――。指示の核心はそこにある。 首相の為替防衛ライン
習氏訪日の本気度、冷める熱気 政治 12月13日 7世紀に完成した大運河で知られる中国江蘇省の揚州市は、日本とも縁が深い。8世紀に5度の失敗を乗り越えて日本に渡った唐の高僧、鑑真和上のふるさとだからだ。 11月下旬、揚州にある鑑真ゆかりの大明寺を訪ねた。「中日友好の先駆」。参道の手前にそびえる巨大な鑑真像には、そんな言葉が添えられていた。 あらゆる宗教を否定した文化大革命の際も、大明寺は破壊を免れた。「日本との縁を大切にした当時の周恩来首相が、 習氏訪日の本気度、冷める熱気