完全試合と「完全もどき」の織りなすドラマ プロ野球 コラム 5月1日 定年退職した後輩記者が、1994年に巨人・槙原寛己が達成した完全試合を取材した思い出を社報に書いた。「野球を担当したのは4年半ほどだろう。オレはその10倍も野球取材をしているのに、完全試合を見たことがない。キミはなんと幸運な男」と悔しく思った。 ナマで完全試合を見ていないが、完全や「完全もどき」にまつわる話は聞いている。完全試合はバックの失策があってもダメ。僚友の大記録達成を壊してはならぬと、終 完全試合と「完全もどき」の織りなすドラマ
無言・嘆き・叱責・称賛… プロ野球監督談話もいろいろ プロ野球 コラム 4月10日 「明日(あした)、明日」と球団広報を通じて言い残しただけで、取材対応しない。日本ハム・新庄剛志監督(ビッグボス)の動静を伝える報道に、このような表現が目立つようになった。サービス精神旺盛な同監督だが、敗戦が続くと苦しい。 「明日……」は昔の監督が、敗戦後によく口にした言葉だ。「負けたが闘志はなくしていない。明日頑張る」を、端的に表明する便利な言葉だ。「だから、ややこしいことは聞くな」というわけだ 無言・嘆き・叱責・称賛… プロ野球監督談話もいろいろ
野球選手のスリムと肥満 大きいことはいい…とは限らず プロ野球 コラム 3月13日 日本ハム監督の新庄剛志が阪神を退団し、大リーグ入りを決意した2000年のオフだった。元阪神監督の中村勝広、スポーツ紙記者らとともに、筆者も在京の阪神ファンの集いに招かれた。どうすれば阪神を強くできるかというテーマだった。 新庄の大リーグ入りがうわさになっていた。「どんなことがあっても新庄を手放すな」と主張した。チームリーダーと見られる選手はいる。それとは別に、この選手が打つと、ワッと盛り上がる人 野球選手のスリムと肥満 大きいことはいい…とは限らず
2年目のジンクス 阪神・佐藤輝はプロ生命の正念場 プロ野球 コラム 1月9日 「2年目のジンクス」。新人王に選ばれたり、それに匹敵する好成績を残したりした若手にとって嫌な言葉だ。相手に研究されたのに十分な対策を講じなかった慢心や、疲労の蓄積、故障が原因となって、2年目に別人のように不振に陥る。3年目に立ち直る選手もいるが、苦しんだままでいる「元新人王」も多い。 ■不運も重なった16年セ新人王、阪神・高山 最近の例では2016年セ・リーグ新人王の阪神・高山俊外野手が挙げられ 2年目のジンクス 阪神・佐藤輝はプロ生命の正念場
監督の師匠 ヤクルト・高津監督を導いた「野村ノート」 プロ野球 コラム 12月5日 ヤクルトが今年のプロ野球チャンピオンの座につき、高津臣吾監督の見事な手腕がクローズアップされた。1軍監督になって2年目。就任1年目の昨年は最下位だったので、その堅実なチーム作りと硬軟取り混ぜた采配は余計に輝いた。 飛躍の背景になにがあったかを探ると、野村克也元監督の影響という点に行き着く。高津はヤクルトで計15年投げたが、入団から8年間は野村監督のもとで鍛えられた。先発から救援に転向、クローザー 監督の師匠 ヤクルト・高津監督を導いた「野村ノート」
個性派ぞろいの新監督 チーム再建の一手は プロ野球 コラム 11月7日 来シーズンのプロ野球に3人の新監督が登場する。日本ハム・新庄剛志、ソフトバンク・藤本博史、中日・立浪和義である。いずれも個性豊かな人物。Bクラスのチームの立て直しを託されたが、どんな手を打つか注目される。 新庄の抜てきには、だれもが驚いた。昨年12月の12球団合同トライアウトに参加して、日本球界へ復帰を希望しているのは分かっていた。だが、まさか監督に求められるとは考えられなかった。野球は熟知して 個性派ぞろいの新監督 チーム再建の一手は
プロ野球、くじ引き勝者がドラフト勝者とは限らず プロ野球 コラム 10月3日 2021年のプロ野球ドラフト会議が11日に迫った。選手の人生、チームの浮沈がくじ引きで左右されるのは許せないとか、くじ運がいい、悪いなど、しばらくは野球ファンの間ではこの話題で持ち切りだろう。この制度はさまざまな問題をはらんでいるが、ドラマチックな展開で野球人気を側面から支えている事実も認めざるを得ない。 例えば17年秋の清宮幸太郎(東京・早実高)を巡る各球団の動きである。高校球界で本塁打を連発 プロ野球、くじ引き勝者がドラフト勝者とは限らず
甲子園大会、見たい「清原越え」のホームラン球児 プロ野球 コラム 8月29日 「甲子園は清原のためにあるのか」とアナウンサーが絶叫した。そんな伝説的な野球中継があった。清原といってもプロ野球の西武や巨人でプレーしたときの主砲ではない。春夏の高校野球甲子園大会で活躍した大阪・PL学園の清原和博のことである。 改めてあの中継の録音放送を聞くと、少々オーバーな感じはする。だが、当時の現場での空気を合わせて思いかえすと、あれでも足りないほどの衝撃を受けたものだ。長い歴史がある春夏 甲子園大会、見たい「清原越え」のホームラン球児
「中リーグ」のままの大リーグ 野球は五輪に残れるか プロ野球 コラム MLB 7月4日 1976年の「モントリオール五輪」を取材した。どの競技であれ、世界トップクラスのアスリートが競うのは迫力満点で面白い。当時、野球は五輪種目に入っておらず、世界的祭典とは別世界に存在している感じだった。しかし、カナダでも野球は盛ん。モントリオールを本拠地にした米大リーグ機構(MLB)の球団「エクスポズ(現ナショナルズ)」もナ・リーグに加わり、五輪期間中も試合をしていた。 弱いがファンは楽しんでいた 「中リーグ」のままの大リーグ 野球は五輪に残れるか
福留、能見、石川…存在感たっぷりの不惑選手たち プロ野球 コラム 6月19日更新 人生100年時代。「四十にして惑わず」は、昔の話になった。プロ野球界でも若返りの波に押されながらも抵抗し、己の野球道を全うしようとする「不惑選手」の存在が注目されるようになった。 中日・福留孝介(44) 現役最年長選手は5年間の大リーグ挑戦を挟み、日本球界では中日―阪神―中日で通算18年目のシーズンを送っている。昨年10月、8年間在籍した阪神で戦力外通告を受けたときは、さすがに悩んだだろう。だが 福留、能見、石川…存在感たっぷりの不惑選手たち