円、投機相場の死角 米金利連動で買い戻し圧力 小栗 太 コラム 為替・金利 編集委員 5月24日 春以降に加速した円安・ドル高が一服している。今回の急激な円安は、ヘッジファンド主導の投機相場。米利上げ開始に伴う米長期金利の上昇を材料に円売り・ドル買いを膨らませてきたが、米景気の失速不安から急ブレーキがかかった。円の売越額は高水準に達しており、円売りの道標を失った途端、利益確定の円買い戻しが一気に進む可能性もくすぶっている。 円相場は米連邦準備理事会(FRB)が利上げに着手した3月からの2カ月 円、投機相場の死角 米金利連動で買い戻し圧力
「地銀の売り」、社債市場警戒 日銀トレードが避難先 コラム 為替・金利 5月19日 社債市場で地銀の売りに対する警戒が強まっている。きらやか銀行が公的資金の申請に追い込まれたように、海外金利の急上昇で損失を抱えた地銀は多い。穴埋めのため、含み益が残る社債を売りに出すとの懸念がくすぶる。投資家は日銀のオペ対象銘柄を買う「日銀トレード」に逃げ込むが、海外発の金利上昇は日本の金融システムの最も脆弱な部分を改めて浮き彫りにしている。 きらやか銀行を傘下に持つじもとホールディングスは13 「地銀の売り」、社債市場警戒 日銀トレードが避難先
債券市場ひずみ極まる、変動性低下 強まる政策修正観測 コラム 為替・金利 金融政策 5月12日 日本国債の値動きの乏しさが際立つ。長期金利の指標となる10年債は他年限と比べて割高だが、日銀が買い支えているため価格が下落せず狭い範囲の動きとなっている。変動性の低下は債券市場の機能不全につながりかねない。金融政策の副作用に、日銀が早期に政策を修正するとの観測が一段と強まる。 「日本の国債は変動幅が小さすぎる。期待できるリターンも低い。海外の国債と比較して魅力が乏しく、積極的に買う理由がない」。 債券市場ひずみ極まる、変動性低下 強まる政策修正観測
突然決まる?日銀の政策修正 長期金利操作が生む疑念 清水 功哉 コラム 為替・金利 金融政策 編集委員 5月10日 今の日銀は金融引き締め方向の政策修正のサインを事前に送ることが難しく、サプライズ的に決める――。市場で根強い見方だ。長期金利を操作する現在の政策は、事前に修正を示唆すればすぐに金利上昇圧力がかかり、想定より早い政策変更に追い込まれかねないからだ。今後円安が再び進む局面では、日銀がいくら否定しても疑心暗鬼に陥る投資家の間で政策修正の思惑が改めて広がる可能性がある。 一般的に、中央銀行が引き締め方向 突然決まる?日銀の政策修正 長期金利操作が生む疑念
REIT、経済再開でマネー流入 ホテルやワンルーム脚光 REIT コラム 株式 投資信託 4月28日 米金利の急上昇で世界の株式市場に緊張が走るなか、日本の不動産投資信託(REIT)市場の底堅さが目立っている。新型コロナウイルス禍が落ち着き3年ぶりの行動制限なき大型連休を迎え、経済再開(リオープン)期待が高まる。円安を背景に海外投資家からの資金も流入しやすい。もっとも本丸のオフィスでは過剰感が残っており、コロナ禍前回復までの道のりは遠い。 「押し目待ちだったが下がる気配が乏しいので、少しずつ買っ REIT、経済再開でマネー流入 ホテルやワンルーム脚光
家計の国外逃避論じわり 「悪い円安」があおる日本売り 小栗 太 家計 Think! コラム 為替・金利 編集委員 4月26日 外国為替市場で、日本の家計が保有する金融資産の行方に注目が集まっている。円預金の実質ゼロ金利が常態化していることに加え、「悪い円安」に伴う身近な商品の値上げラッシュが家計の円資産離れを引き起こすきっかけになるという見立てだ。企業の海外生産移転に、個人金融資産の国外逃避が加わるという思惑は、日本売りによる中長期的な円の先安観をあおる材料になっている。 4月に入り、為替市場関係者から「家計のキャピタ 家計の国外逃避論じわり 「悪い円安」があおる日本売り
投機筋、円売りの口実探し 円安けん制発言は「養分」 コラム 為替・金利 4月19日 19日の円相場は一時1ドル=128円半ばをつけた。連日の円安進行を受け、政府や日銀からは円安けん制と受け取れる発言が相次ぐが効果は薄れ、逆に円売り材料と捉える動きも出てきた。投機筋は原油高による経常収支の悪化や日米の金利差拡大による構造的な原因に狙いを定める。円安抑制に有効な手を打てずにいる当局との対立構図が鮮明になっている。 「けん制発言を連発する状況に追い込まれていることが政府と日銀の選択肢 投機筋、円売りの口実探し 円安けん制発言は「養分」
社債、買い手偏在にもろさ 日銀の「変心」警戒 コラム 4月14日 社債市場で買い手の偏りが際立っている。3月以降の金利上昇を受け、利回りの高さに目を付けた地方投資家が買いに動く一方、日銀の政策変更を恐れる機関投資家は及び腰だ。超長期債の上乗せ金利が中長期債を下回るなど価格に歪みも出ている。新年度の社債市場はもろさを抱えたスタートとなった。 「まだまだ金利上昇(価格下落)のリスクが怖くて超長期債は買えない」。国内運用会社の担当者は漏らす。新年度の社債市場は投資家 社債、買い手偏在にもろさ 日銀の「変心」警戒
円安125円に円買いで対抗 FX個人、苦戦の春再び? 清水 功哉 コラム 編集委員 4月12日 一時1ドル=125円台後半に下落するなど円安圧力が再び強まる中、外国為替証拠金取引(FX)を手掛ける個人投資家の出方に関心が集まっている。FX投資家は、約10円もの大幅な円安が進んだ3月に「逆張り」の円買いを急いだ結果、利益を逃したり、損失を抱えたりした。この苦い経験を踏まえてどう行動するかが焦点だが、現時点では改めて円買いを増やしており、再び苦戦を強いられる恐れもある。 足元でFX投資家が円買 円安125円に円買いで対抗 FX個人、苦戦の春再び?
消えた円買い要因 投機筋の持ち高、14年来の低水準 コラム 為替・金利 4月7日 外国為替市場で円買いの乏しさが際立っている。投機筋の円の買い持ち高は2013~14年のアベノミクス初期と同水準まで縮小したほか、実需を含む円売り超過は22年に16兆円にのぼるとの試算がある。日米金利差の拡大や貿易赤字など構造的な円売り要因を投機筋は見透かしており、1ドル=130円を見込む声も出始めている。 米商品先物取引委員会(CFTC)がまとめた投機筋のポジション動向によると、対ドルの円の売越 消えた円買い要因 投機筋の持ち高、14年来の低水準