中小経営NEXT (NIKKEI Briefing)

「10年後、この路線は確実になくなっていることを確信しましたよ」 2年前に聞いた、JR北海道幹部の言葉を鮮明に覚えています。 「真冬の保線現場を見たことがありますか。列車が運行しない真夜中に、それも雪が降って、氷点下の酷寒のなか、80代の男性が懸命に作業をしているんですよ」 鉄道は安全第一。そのためには保線作業が欠かせません。その作業をする人がどんどん減っていて、同時に高齢化も進んでいるというの

唐突ですが、「広報部長になりました。でも、今の会社でのキャリアはこれで最後ですかね」という声を最近よく聞きます。20年以上、企業取材をしてきた私は多くの企業広報と出会い、その中で広報部長に就く人も増えてきました。ただお祝いの席を設け、お酒が入ると多くの方が自虐的に冒頭のように語ります。「不祥事が起きたら矢面に。メディア対応が悪ければ広報だけの責任に」、「新型コロナ禍もあってプレス向け発表会などが

1本5万円のレンコンが売れています。 50円でもなければ、500円でもありません。5万円です。 産地は茨城県、日本第2位の面積の湖、霞ケ浦のほとりです。味はもちろん一級品ですが、ここまで高値でも売れるのにはワケがあります。 博士流のマーケティング このレンコンを栽培している野口憲一さんに先日、会いました。野口さんは農業の傍ら、大学や日本農業経営大学校で教壇に立つ学者です。2019年には新潮新書か

安倍晋三元首相の死去、参院選の自民大勝と歴史の転換点になるであろう出来事に直面しています。安倍元首相の死去は今なお、この日本で起きたことなのか、と信じられません。記者という職業病で、あらゆる仮説をたてることを日々していますが、民主主義を守る、暴力による蛮行を許さないという当たり前だったことを問い直しています。 安倍元首相がまいた「種」 私は安倍元首相を直接取材したことはありませんが、自動車大手首

2022年上期ヒット商品番付・西の横綱「リベンジ旅行」の現場を先日、体験してきました。 札幌在住の知人に誘われて、3カ月ぶりに札幌に行きました。まず金曜夜の飛行機の便は、空席ゼロ、満席です。2020年4月から22年3月末まで、札幌で2年間勤務しましたが、こんな光景は初めてです（もしかしたら「Go To　トラベル」のときにもあったのかもしれません）。 翌日の夜、知人と「ジンギスカンを食べよう」とい

唐突ですが、西日本豪雨（平成30年7月豪雨）からまもなく4年となります。私事で恐縮ですが、生まれ育った四国の田舎町で4年前、経験したことがない大雨の日が続き上流のダムからの緊急放流の影響で全国ニュースになるほどの被害が出ました。昨年の同じ時期の「中小経営NEXT」でも記しましたが、ダムが上流にあることもあり「水害は大丈夫」という思い込みがありました。自然災害が急増する日本では「ここは安全という場

値上げラッシュの今、少しでも安く買いたいという消費者に人気なのが、ダイソーやセリアなどの100円ショップです。原材料高や円安、物流費上昇などコストアップが迫るなか、300円、500円など100円以外の商品を扱うチェーンも出てきています。でも、100円ショップという以上、企画・製造の現場では、100円を維持するため、知恵を絞っています。 どうやって100円を維持するのか。 数年前、100円ショップ

唐突ですが、JR東海元社長の葛西敬之氏に教わったことを今回は記します。5月25日死去の報を知ったのは出張で移動中の新幹線の車内にある文字ニュースでした。私は2004年に葛西氏が社長から会長に就く時期を名古屋駐在記者として取材していました。ニッポンという国について、お会いするたびに学んでいました。 葛西氏はJR東日本の松田昌士氏、JR西日本の井手正敬氏とともに「国鉄改革三人組」と呼ばれ、当時、この

「これが今、北海道でしか手に入らない、幻の日本酒なんです」 今春、北海道から東京に帰任する際、土産選びに迷いました。北海道でしか手に入らないものがいいかなと思い、日本酒にしました。最近、北海道では酒造りが盛り上がっています。ワイン、ウイスキー、ジン、そして日本酒も酒蔵が急増しています。新型コロナウイルス禍で飲食店での酒の提供が制限され、消費量が激減しているので、ちょっとした応援という名目もありま

唐突ですが、大学野球を取材先の中小企業の役員らに誘われて観戦しました。きっかけは、この「中小経営NEXT」で「データ頼みの野球がつまらなくなった」と書いたところ、読んで頂いていて「データだけに頼らない面白い野球を見に行こう」と。六大学野球OBで今も出身校と交流がある方々との観戦で多くの発見がありました。 今の野球「頭を使わなくても」 「今の野球は頭を使わなくてもできてしまうかもしれない」。尊敬す