バイデン氏の「手ぶら帰国」に喜ぶ中国と日本の危機 7月21日 読者のみなさん、大越さん、こんにちは。 中国では秋の中国共産党大会を前に、各省・自治区・直轄都市で順番に開かれていた代表選出会議がほぼ終わりました。注目すべきは各省トップのスピーチです。いずれも習近平(シー・ジンピン)国家主席に対してどれだけ派手な賛辞を人目もはばかることなく言えるかの大会になっています。私からみた「賛辞ランキング」のトップは天津市です。大量すぎて引用が難しいのですが「習総書記の バイデン氏の「手ぶら帰国」に喜ぶ中国と日本の危機
「嫌悪」が動かす米政治 7月7日 読者のみなさん、桃井さん、こんにちは。米国が国を挙げて祝うはずの7月4日の独立記念日は血塗られた一日となりました。中西部イリノイ州シカゴ近郊の住宅地で男が銃を乱射し、70発以上の弾丸がパレードを楽しむ市民を襲いました。すべての人間の平等と自由の追求をうたった独立宣言を掲げて246年前に国家建設に乗り出した米国。その国をいま支配しているのは、「嫌悪」や「憎悪」といった負の感情です。 イリノイ州では 「嫌悪」が動かす米政治
習氏、最後の闘争と「2人の富豪」の数奇な運命 6月23日 読者のみなさん、大越さん、こんにちは。 北京は8月の北戴河会議を控え、ピリピリした空気が漂っています。 北戴河というのは北京から300㎞ほど離れた海辺にあるリゾート地です。毛沢東が避暑に訪れて会議を開いたことから、今も夏になると党幹部や長老が集まり、人事や政策を議論します。一切公開されない秘密会議で、警備も厳重を極めます。昨年7月下旬に私も車で向かったのですが、現地の高速道路料金所を通過したとこ 習氏、最後の闘争と「2人の富豪」の数奇な運命
銃乱射1日1.6件、狂う銃社会と「1984」 6月9日 読者の皆さん、桃井さん、こんにちは。 胸がざわつく6月です。この季節はいつも1989年6月4日の天安門事件を思い出します。民主化を求める市民や学生に国家が銃口を向けた理不尽を常に問いただし、歴史に刻み続けることが健全な社会のたたずまいだと信じます。ただ残念なことに、「デモクラシー」を掲げる米国で私が目にしているのは、暴力が荒れ狂う日常です。 「毎日履いていた緑色のスニーカー。9歳の彼女の身元を特 銃乱射1日1.6件、狂う銃社会と「1984」
中国がバイデン氏訪日の裏で仕掛けた「米国包囲網」 5月26日 大越さん、読者のみなさん、こんにちは。 北京は今、新型コロナウイルスのための「ゼロコロナ」政策がじわじわと広がっています。日々の新規感染者数は40~50人程度にもかかわらず、すべての飲食店や様々な施設、公園が閉鎖させられてしまいました。 ゼロコロナは今や防疫措置という目的を超え、数千万人を巻き込んだイデオロギー闘争の域に入っています。そしてこれが措置ではなく闘争であるがゆえに「何が必要か」よりも 中国がバイデン氏訪日の裏で仕掛けた「米国包囲網」
変わる「米国人」と老いる「中国人」 5月12日 読者のみなさん、桃井さん、こんにちは。 ジル・バイデン米大統領夫人がウクライナを電撃訪問した母の日の週末が過ぎました。その直前、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた1973年の判例を覆そうとする連邦最高裁の内部資料が暴露されました。人は誰でも生物学上の母から生まれ、現生人類に最も近い共通の女系祖先を「ミトコンドリア・イブ」とも呼びます。ロシアの蛮行と米国の分断から、たまたまこの世に生を受けた重みに 変わる「米国人」と老いる「中国人」
途上国を追い込む中国の野望と米国の正義 4月28日 読者のみなさん、大越さん、こんにちは。 中国では北京市でもほぼ全市民のPCR検査が始まりました。私も2日に1回検査させられています。現在、拡大しているのはオミクロン型だけに、当初は多くの人が「全員検査を始めたが最後、上海のように大量の無症状の陽性者が発見されてロックダウン(都市封鎖)になる」と買い出しに走りました。ところが、いざ検査を始めると不思議なことに北京では無症状者はほとんど発見されず(た 途上国を追い込む中国の野望と米国の正義
米民主主義を割く嘲笑と軽蔑 4月14日 読者の皆さん、桃井さん、こんにちは。4月からワシントン支局長となった大越匡洋です。1年前から米国に駐在し、バイデン米政権を取材してきました。今回からこのニューズレターを担当します。前任の菅野幹雄さん同様、よろしくお願いします。 米国はいま、春全開です。キリスト教の復活祭(イースター)を控え、連邦議会も休会となりました。新型コロナウイルス禍で中止や縮小を迫られたイベントが復活。3年ぶりに本格開催し 米民主主義を割く嘲笑と軽蔑
毎月6兆円・相次ぐ粛清……中国ゼロコロナの過酷な日常 4月7日 読者の皆さん、こんにちは。今回はいつもとはスタイルを変え、中国発の番外編でお届けしたいと思います。 最初に1つお知らせがあります。4月21日(木)18時からNIKKEI LIVEというネット番組で「ウクライナ危機 習政権・台湾情勢に落とす影」という生放送を予定しています。中国事情や軍事に詳しい笹川平和財団上席研究員の小原凡司氏をゲストに招き、習近平(シー・ジンピン)体制や台湾海峡情勢への影響を分 毎月6兆円・相次ぐ粛清……中国ゼロコロナの過酷な日常
「ウクライナ戦争」米中の学習効果 3月31日 読者の皆さん、桃井さん、こんにちは。 ワシントンでは日本からの贈り物でポトマック河畔に植えられた桜並木が見ごろを迎えました。穏やかな陽光の下での花見を楽しみにしていたところ、気候は急に冬に逆戻り。時折寒風が吹きすさび、小雪も舞う荒れ模様でしたが、つかの間の華麗な開花を一目見ようと、水辺の散策路は多くの市民や観光客でにぎわっていました。 国際情勢の寒風もやんでいません。ロシアによるウクライナ侵攻か 「ウクライナ戦争」米中の学習効果