新しい夕刊小説「小説伊勢物語 業平」
1月4日から
2018年12月18日

髙樹のぶ子氏 大野俊明氏 小説伊勢物語 業平

 本紙夕刊小説、山田詠美氏の「つみびと」は12月25日で完結、1月4日から髙樹のぶ子氏の「小説伊勢物語 業平」を連載します。

 髙樹氏は1946年山口県生まれ。84年「光抱く友よ」で芥川賞を受賞しました。成熟した男女の性愛をテーマにした物語や自伝的小説、文化的なミステリーなど幅広く執筆し、感情の機微を精巧に描く作品が高く評価されています。代表作に「透光の樹」(谷崎潤一郎賞)「トモスイ」(川端康成賞)「マイマイ新子」などがあり、今年、文化功労者に選ばれました。

 今回の連載は古典文学「伊勢物語」を平安時代を舞台とした小説としてよみがえらせる壮大な試みです。在原業平を主人公に125段からなる断片的な歌物語を縫い合わせ、一人の男の生涯を描き出します。作者にとって長年の秘めた願望だったという新たな挑戦となります。

 挿絵はたおやかで優美な画風を持ち味とする日本画家の大野俊明氏が担当します。


〈作者の言葉〉

 伊勢物語は在原業平が主人公と言われている百二十五段からなる歌物語です。恋愛の情動を典雅な和歌で表現した優れた歌詠み、そして平安文化の体現者でもある業平の魅力が、この物語を後世にまで伝えました。源氏物語の光源氏も、業平をモデルにしたと囁(ささや)かれています。けれどこれまで歌物語として再生継承されてはきたものの、一代記として小説化されなかったのは何故でしょう。いつか私が小説にと思い続けて、ついにその機会が与えられました。紫式部が業平をモデルに光源氏を生み出したのであれば、千年後の女流が、光源氏をモデルに業平を創出しても良いのではないか。不遜で無謀な思い上がりを、全力で全うさせて頂きます。