荻原浩「ワンダーランド急行」
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トピック一覧

荻原浩「ワンダーランド急行」(271)[有料会員限定]

12/2

人々が何か叫んでいる。寄せたり引いたり、潮騒のように声がうねっている。それがひときわ高くなったと思ったら、右手から列車がやってきた。
暮れかけた空に白い煙を立ち昇らせている。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(270)[有料会員限定]

12/1

二つの異世界を経験して知り得たことは、ただの偶然や些細(ささい)な選択の違いが私の人生を大きく変えてしまうってことだ。
国というものも同じかもしれない。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(269)[有料会員限定]

11/30

二枚目も新聞の一面記事。和服姿の多田が腕組みをしてこちらを睨(にら)んでいる。凄みを利かせているつもりのようだが、頭が大きいから七五三の子どもがむくれているようにしか見えない。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(268)[有料会員限定]

11/29

二十輪トラックがミサイルと多田の満面の笑みを載せてゆっくりと駅のほうへ移動していく。
何が始まるのだろう。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(267)[有料会員限定]

11/27

どん。
またあの音が聞こえてきた。
時空が開く音なんかじゃなかった。この世界の軍隊が砲弾を…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(266)[有料会員限定]

11/26

あの時の父親は腰の低い、朴訥(ぼくとつ)な好人物に見えたが、写真の中の多田の父親は、鼻の穴を広げて威張りくさった表情をしている。
多田のほうは笑っていた。歯を剝(む)き出しにして、…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(265)[有料会員限定]

11/25

窓から外を覗(のぞ)く。校舎は高台にあって、いましがた通り抜けてきた深い草むらや橋に続く坂道が見下ろせた。見渡すかぎり人影はない。兵士たちは私がここに逃げたことには気づいていないようだ。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(264)[有料会員限定]

11/24

人の背丈より高い夏草の中を腰をかがめて進んだ。走りたかったが、そうすると、草が騒いで居場所がばれてしまう。掻(か)き分けるのも最低限にして、葉や茎が顔や体を叩(たた)くのもかまわず、急(せ)く足をなだめす…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(263)[有料会員限定]

11/22

ぱっとしないモデルを立派に見せるためか、銅像はやたらに大きい。高さ二十メートルを超えるだろうことは、銅像の下に整列した人間たちとの比較でわかる。並んでいるのはモスグリーンの軍服を着た兵隊だった。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(262)[有料会員限定]

11/20

向こう岸から兵士の一団が走ってくるのが見えた。全員小銃を手にしている。「ここは危険ですから民間人の方は安全な場所へ移動してください」とやんわり注意を促す、という雰囲気はみじんもなかった。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(261)[有料会員限定]

11/19

なんだ、これは。
橋が変わっている。
人しか渡れないような吊(つ)り橋だったのに、…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(260)[有料会員限定]

11/18

思わず二人で顔を見合わす。おばあさんの目はしわを押し広げるほどふくらんでいた。
「何の音でしょう」…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(259)[有料会員限定]

11/17

「待っている?」
おばあさんは首を折るように頷(うなず)いた。「ずっと」
手の甲のしわを伸ばしながら言う。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(258)[有料会員限定]

11/16

「モリオさんというのは、どなたですか」
「わたしがここへ来た時にいた、この店の店主だよ。守男さんも違う世界からここへ流れ着いて、…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(257)[有料会員限定]

11/15

らっきょうをはじめ、季節ごとの野菜を育てている裏の畑は重宝している。駅前のスーパーマーケットが、たまに消えてしまったり、廃墟(はいきょ)になったりするからだ。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(256)[有料会員限定]

11/13

どうなってるんだ?
私は髪を両手で掻(か)きあげ、頭の後ろで腕を組んだ。ひとり言が、おばあさんの耳に入ったようだ。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(255)[有料会員限定]

11/12

気になったことを訊(たず)ねてみた。
「工場から、ここへ来る途中、橋は渡りませんでしたか」
「橋? 橋も川もなかった」…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(254)[有料会員限定]

11/11

わたしがまだ戻れていないと知ると、親切な店主は、ご飯を食べさせてくれた。どこで手に入れたものなのか、私は生まれて初めてパンを食べた。里までの道筋もきちんと地図にして渡してくれた。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(253)[有料会員限定]

11/10

工場に動員されていた女学生は、ただちに防空壕(ごう)に避難するよう言われた。防空壕はわかるか? シェルター? 違うと思うが、まあいい。
逃げる途中、わたしは工場に弁当箱を忘れたことに気づいた。…続き

荻原浩「ワンダーランド急行」(252)[有料会員限定]

11/9

「知っているんですか」
おばあさんは答えてくれず、ひたすららっきょうの皮を剝(む)いている。泥のついた外皮を剝がし、薄皮もその下の皮も剝がし、…続き

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