朝井まかて「秘密の花壇」
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トピック一覧
卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(18)[有料会員限定]

1/25

若君はいずれ、この松平(まつだいら)家を継がれる大切な御身(おんみ)なのだ。その御方が自らの御名も正しくお書きになれぬとあっては、御家の存続にかかわる一大事。いや、このままでは…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(17)[有料会員限定]

1/24

黒い文鎮が鋭く飛んだかと思うと、眼の中にぬらりと血の色が落ちてきた。
額が切れている。
興邦(おきくに)は齢(よわい)十四にしては…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(16)[有料会員限定]

1/23

真に、さようであろうか。
己に問い、思わず拳を握り締めた。
私は最初の八犬士、犬塚信乃(いぬづかしの)の人生に深くかかわり過ぎた…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(15)[有料会員限定]

1/22

もがくが、動悸(どうき)の音が高まるばかりだ。右眼を閉じては開きを繰り返し、今度は左を同様にしてみる。やはり右の具合がよくない。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(14)[有料会員限定]

1/21

七草と同じ日、七草爪(つめ)の行事も私は大切に守らせている。
粥を作る前に、七草をさっと湯に通してあくを抜く。その茶色く染まった湯で爪を浸してから切ると、…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(13)[有料会員限定]

1/20

今年の梅仕事はどうなるだろう。初めての内孫も来月生まれるとすれば、その頃には首も坐(すわ)っているはずだ。お百は可愛がるだろうか。
ああ、もう、あれのことは考えるまいと頭(かぶり)を振り、…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(12)[有料会員限定]

1/18

梅の枝に顔を近づければ硬く小さく、まだ蕾(つぼみ)ともいえぬさまだ。開花にはまだ日を要するだろうが蕾は蕾、しかもつき具合から察するに今年もたんと実をつけるだろう。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(11)[有料会員限定]

1/17

ようやく筆を置いた時は、長々と息を吐く。
書いている最中は息を詰め、呼吸を忘れているらしい。しかしそのまま床に倒れ込むかと言えば、さにあらず。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(10)[有料会員限定]

1/16

庭や門の周辺も荒れるにまかせるわけにはいかぬので、夜明け前に起きて箒(ほうき)を手にした。日々の買物は、陽が落ちてからこっそりと外へ出た。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(9)[有料会員限定]

1/15

瓢箪(ひょうたん)池の尻にあたる畔(ほとり)にまで歩いて、表庭を見渡した。
ここは旗本屋敷内の借地であるので黒松と五葉(ごよう)松(まつ)、そこに小松と、…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(8)[有料会員限定]

1/14

私は「さ、もうお戻り」と、庭木戸の方へ顎をしゃくった。
こうしてお路と共に庭で過ごす姿を下女がまた雀(すずめ)のごとく言挙(ことあ)げすれば、お百が何を言い出すことやら知れたものではない。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(7)[有料会員限定]

1/11

読本の作者といえばなぜか、身がみっしりと詰まったような小兵(こひょう)を想像するらしい。大柄な男は頭の血の巡りが悪いとの思い込みであろう。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(6)[有料会員限定]

1/10

さらに申せば、京山は己も筆を持つ身であるくせに大いに履き違えている。
作者と作物が違うのは当たり前、滑稽本(こっけいぼん)の作者が滑稽で、人情本の作者が人情家であるはずがなかろう。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(5)[有料会員限定]

1/9

「あの気力を何ゆえ、家の事どもに向けられぬのか」
なあ、お路と、息を吐く。亡くなった仙鶴堂の主なんぞ不思議がって、首を傾(かし)げたものだ。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(4)[有料会員限定]

1/8

お百は二言目には「私の苦労なんぞ誰もわかっちゃくれない」と、じぶくる。板元(はんもと)の手代らが私の原稿を待ちながら火鉢に手をかざしていても、熱い茶の一杯を出す前に繰言(くりごと)をお見舞いだ。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(3)[有料会員限定]

1/7

お百が私に物申す時は、まるで芝居の敵(かたき)役のごとく舌が回る。今はその矛先が嫁に向かっているだけのこと。
「大袈裟に履物商と言うがね、大した商いではなかったのだ。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(2)[有料会員限定]

1/6

お百は倅(せがれ)の嫁に面と向かって、「可愛げがない」と吐く。愛想口を遣わぬのが気に入らぬらしい。
お路も嫁(か)してまもない時分は、朗らかな笑い声を立てる日もあったのだ。…続き

卯月みゆき 画

朝井まかて「秘密の花壇」(1)[有料会員限定]

1/4

ほらごらんと、私は屈(かが)んだまま指し示した。
「蕗(ふき)の薹(とう)が頭を擡(もた)げておる」
この裏庭は隣家との垣に向かってなだらかに土を盛ってあり、…続き

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