菅義偉官房長官の携帯電話料金の引き下げを巡る発言が議論を呼んでいる。そもそも料金の国際比較は条件次第なので難しく、本質的な問題ではない。重要なのは料金設定の背後にある規制や競争政策である。本稿ではより良い規制を企画立案し、執行するというガバナンス(統治)の観点から問題を議論する。…続き
日本の携帯電話料金は高止まりしているという菅義偉官房長官の発言が波紋を広げている。適正な料金水準は競争が十分であれば自律的に達成される、というのが経済学の結論である。政府介入が許されるのは、競争市場の機能が不十分で、かつ政府の介入が純便益を生む場合に限られる。ただ、料金規制にあたっては、生産技術の変化に規制側がきちんと追随できることが前提となるが、携帯事業の技術進化は極めて速い。…続き
大学生の就職活動の開始時期を定める「就活ルール」の廃止を巡る議論が盛んだ。本稿では、労働・教育制度の設計を研究する筆者の考えを示したい。…続き
経団連が大学生の就職活動に関する採用選考日程ルールの廃止を決めた。企業側からの取り組みとして採用日程ルールの維持は難しく、今後は政府主導によるルールに委ねられる。就職活動の時期がさらに前倒しされるのではないかとの懸念が広がっている。…続き
新卒市場はいま、極端な売り手市場である。一歩でも他社に先んじて、優れた人材を確保しようとする企業の競争は激しくなるばかりだ。…続き
近年のウナギの高騰や昨年のサンマの不漁など、水産資源の乱獲と枯渇に注目が集まっている。資源の枯渇や高齢化に伴う日本漁業の衰退も、長らく指摘されている。…続き
クロマグロやウナギ、サンマなど、我々の食に欠かすことができない水産物が不漁というニュースを頻繁に耳にするようになった。「不漁」という言葉からは、たまたまとれなかったという印象を受けるが、そうではない。日本の漁獲量は何十年も直線的に減少しており、今のまま減り続ければ2050年に漁獲がゼロになるペースである。…続き
スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2018年のノーベル経済学賞を、米エール大学のウィリアム・ノードハウス教授と米ニューヨーク大学のポール・ローマー教授に授与すると発表した。…続き
9月6日未明に発生した北海道地震は厚真町で震度7を記録し、北海道全域での停電やJRの全面運休を招いた。地盤の液状化や大規模な土砂崩れが起き被害の甚大さを印象づけた。既に道は、大部分の地域で生活に支障のないレベルまで復旧は進んでいるとして観光を誘致しているが、被災現場とのずれも感じられる。本稿では前例を踏まえて復興の枠組みを考えたい。…続き
9月6日未明、北海道胆振地方で未曽有の大地震が起きた。道によれば10月5日時点の被害総額は道内の公共土木施設や農林水産業、観光などで約2089億円にのぼる。…続き
「心配されていたことが起きた」「真冬でなくてよかった」。9月6日の北海道地震により北海道全域が停電したとの第一報に接したとき、多くの電力関係者はこのように感じたのではなかろうか。…続き
2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界的な金融危機が発生してから今年で10年となる。米ノースウエスタン大学のローレンス・クリスティアーノ教授らは今年夏の「DSGEについて」という論文で、危機の前後でのマクロ経済学モデルの変化を回顧している。DSGEとは、現代のマクロ経済学の標準的なモデルである「動学的確率的一般均衡モデル」の略称である。…続き
2018年9月、総務省はふるさと納税制度を巡り、寄付金に対する返礼の割合を3割以下に抑えない自治体を制度の対象から除外する規制に踏み切る方針を示した。…続き
高年齢者雇用安定法の改正により、2006年4月から高年齢者雇用確保措置の導入が義務づけられた。高年齢者雇用確保措置とは(1)定年の引き上げ(2)継続雇用制度の導入(3)定年の廃止――の3つだ。継続雇用制度として多くの企業が導入しているのは再雇用制度だ。嘱託社員など非正規社員の雇用形態として1年ごとに契約が更新されるケースが多い。13年4月からは、希望者全員の65歳までの雇用確保が企業に義務づけられた。…続き
政府が6月にまとめた成長戦略「未来投資戦略2018」では、高齢者雇用の推進に向けて「定年延長等の促進」や「継続雇用により定年後も同一の企業で働き続ける高齢者の処遇の在り方について検討を行う」ことが掲げられた。これを受け、60歳代後半の就業率をいかに向上させていくかが各所で議論されている。…続き
高齢化が進む中で社会保障の持続可能性を高めるには、給付の削減や負担の増加だけでは力不足だ。負担の担い手を増やすことも重要だ。中でも高齢者就業率の引き上げはかなりの威力を発揮する。社会保障給付の受け手が負担の担い手になれば、社会保障にかかる高齢化の圧力もかなり押し返せるからだ。…続き
2017年度の上場企業の純利益は2年連続して過去最高を更新した。しかし、地方銀行の多くはそうした増益の波に乗れず、純利益は2年連続して減少した。実際、図の上段が示すとおり、地銀64行のうち35行が17年度決算で減益となった。…続き
高齢化などの影響を受ける地方銀行は、再編による規模の経済性の追求などにより、借り入れ需要の減少に対応している。ただし、需要の減少は今後も続くと予想され、再編だけでは生き残れない。不適切融資が表面化しスルガ銀行のケースも、「新たな貸出先を探さなければならなかった」という構造問題が背景にある。地方の金融が抱える構造問題を解決する方策について私論を展開したい。…続き
自民党総裁選で安倍晋三首相が3選を果たした。石破茂元幹事長の善戦が注目されるが、大局的にみれば安倍首相が7割に迫る得票を集めて大勝し、首相在任期間が日本の憲政史上最長になる可能性が高まったことが重要だ。…続き
安倍晋三首相が自民党総裁選で石破茂元幹事長を下し、3選を果たした。過去に総裁選で3回以上勝利を収めたのは、無投票や任期延長を含めても、池田勇人、佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎の4氏だけで、いずれも一時代を築いた首相であった。…続き