宇宙産業の新星
ニュージーランドの実力
南半球の農業大国ニュージーランドが宇宙ビジネスの「ライジングスター(新星)」として、にわかに輝きを増している。2018年にロケット打ち上げに成功したスタートアップ「ロケットラブ」が起点となり、企業の集積が進む。宇宙産業のエコシステムを支えるキーパーソンへの取材を通じて、ニュージーランドの実力を探った。
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ロケットラブ、スペースXに挑む宇宙産業の要
ロケットラブはニュージーランド北部の同国最大の都市、オークランドに製造・開発拠点を構える。「帆の街」とも呼ばれる港町だ。06年に創業した最高経営責任者(CEO)のピーター・ベック氏はニュージーランドにまだ宇宙産業がなかった起業当時をこう振り返る。「ずっと宇宙とエンジニアリングに情熱を注いできたが、ニュージーランド人の私は米国で働くのが難しかった」

エンジンを含む基幹部品を独自開発したロケット「エレクトロン」の製造にすべてをささげてきた。政府に資金を頼ることなく、ベンチャーキャピタルなど民間からの資金調達で事業化にこぎつけた。18年には南半球の民間企業として初めて衛星の軌道投入に成功した。今では米国とニュージーランドの拠点で約1300人の従業員を抱える。