データセンター オイルや雪で冷却   

消費電力4割削減

増え続けるデータセンター(DC)の電力消費が問題視されている。世界的な通信量の増加に対応しカーボンゼロを実現するには、省電力化の鍵となるサーバーの冷却技術開発や廃熱の有効利用が欠かせない。経済産業省は2022年度から一定規模のデータセンターに具体的な省エネ目標を設けた。


液浸 空気の約1000倍冷却



循環する温かい液体の中で静かに稼働するサーバー。KDDI、三菱重工業、NECネッツエスアイは、共同で液浸技術の実証実験を行う。液体を使ってサーバーを冷やす発想は、空冷よりも効率がいいことから生まれた。広く参加企業を募り、技術は開放する方針だ。GAFAなど巨大テック企業の視察も積極的に受け入れている。KDDIの加藤真人エキスパートは、「自社の枠に縛られず、できるだけ多くの仲間を集めることが必要」と話す。


液浸用に開発されたオイルは、空気の約1000倍熱を奪う力があるため、液温が60度まで上がってもサーバーは正常に稼働する。絶縁性のあるオイルは触っても無害だ。実験では消費電力を43%削減できた。ほこりが付かず、温度や湿度の変化が小さいため、機器の故障率がかなり下がる発見もあった。IT(情報技術)機器は汎用のものをそのまま使え、設置スペースも大幅に縮小できる。DCの老朽化が進む中、地方への分散もしやすい。実用化に向けての障害は初期コストだが、次世代への有効な投資と判断されるかどうかが普及の鍵だ。2024年度中に商用提供を目指している。


ビルの一室がデータセンターに

画像処理半導体(GPU)周辺で沸騰する様子が見える小型液浸装置(5月、東京都新宿区の大成建設)



DC分野は今後大きな成長が見込まれる。1970年代からDC建設に関わってきた大成建設は、最新技術として篠原電機(大阪市)などと液浸冷却システムを共同開発した。液浸ならオフィスビルの空きスペースなどを改修するだけで設置可能になる。データ処理の遅延を許容できない医療施設、自動運転基地局などでは、現場近くでの高速情報処理が必要になる。eスポーツ施設や暗号資産(仮想通貨)のマイニング拠点での利用も見込む。


廃熱でウナギの養殖

木質チップで覆った雪山をサーバー冷却に利用するホワイトデータセンターの施設(写真上)。写真下は、ハウス内で行われるキクラゲの栽培(左)とウナギの養殖(3月、北海道美唄市)



北海道美唄市の空知工業団地に立つホワイトデータセンターは、市内の道路除雪で集まった雪の山を利用してサーバーの冷却を行う。表面を断熱性のある木質チップで覆った雪山は1年を通して解けない。雪山の下に樹脂パイプを埋設し、不凍液を循環させている。廃熱を有効活用し、ハウスで野菜やキノコを栽培する実験も行ってきた。2月からは、北海道で初めてとなるウナギの養殖が始まった。 


同センター取締役の本間弘達さんは、「無料の雪で冷却し、廃熱は産業利用する。土地代も安いため、価格競争力を生み出せる」と話す。年内には新しいDCを着工する予定だ。草木などの廃棄物を利用するバイオガス発電所を工業団地内に建設する計画も進む。板東知文美唄市長は「雪冷房や地産地消の再生可能エネルギーを使い、DCを核とした町づくりを進めたい」と話す。


約半数が老朽化 地方分散なるか