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ロシア軍、ウクライナ国境接近の動き

ベラルーシのプリピャチ川に架かった軍用の浮橋(2月15日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

ロシア国防省は15日、ウクライナ国境周辺から軍部隊を一部撤収したと発表した。しかし米国や英国は「軍部隊を撤収させておらず、より多くの軍を投入している」(バイデン米大統領)とウクライナ侵攻を警戒する。15日前後に撮影された衛星写真や映像を見ると、ウクライナ周辺にロシア軍の部隊がとどまっており、一部の部隊はウクライナ国境に近づいていることが分かった。



TOPIC 1

ロシア軍、ウクライナ国境に接近





ロシア西部のコレネボ(地図①)

動画投稿サイト「TikTok」には、ロシア西部のウクライナ国境に近いコレネボに列車で戦車などが運び込まれている様子が相次ぎ投稿された。ポーランドの軍事コンサルティング会社ロハン・コンサルティングは投稿動画などをもとに、ウクライナ国境に近接する4地点に注目。「(ロシア軍の)撤収発表にもかかわらず、軍隊は国境に近づいている」と分析。ウクライナ国境で軍備を増強する動きがあるとみている。欧米の情報機関はロシア兵の約半数がウクライナ国境から50キロメートル圏内にいるとしている。



ベラルーシのプリピャチ川にかかった軍用の浮橋(地図②)

ベラルーシのプリピャチ川に架かった軍用の浮橋(2月15日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies



(写真下部のボタンで操作)

2月15日にベラルーシとウクライナとの国境から6キロメートル足らずのところにあるプリピャチ川を撮影したマクサーの衛星写真では、仮設の浮橋が架けられている。米衛星運用会社のプラネットの衛星写真で2月14日と15日を比べてみると、14日はないが、15日は確認される。浮橋がかけられれば、ベラルーシで合同軍事演習をしていたロシア軍の車両などが橋を渡ってウクライナ国境に近づきやすくなる。



ブレスツキー(地図③)

ベラルーシ西部のブレスツキー演習場(2月16日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

2月16日にベラルーシのブレスツキー演習場を撮影したマクサーの衛星写真には、自走砲部隊が引き続き演習をしている様子が映っている。別の衛星写真では装甲車や兵士が残っていることが確認できる。



ジャブロフカ飛行場(地図④)

ベラルーシ東部のジャブロフカ飛行場(2月15日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

2月15日にベラルーシのジャブロフカ飛行場を撮影したマクサーの衛星写真は戦闘ヘリを映す。20機近くの戦闘ヘリが並んでいる。飛行場に配置されていた大規模な部隊は出発し、所在は不明となっている。



アシポビチ(地図⑤)

ベラルーシ中部のアシポビチ演習場(2月14日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

2月14日にベラルーシのアシポビチ演習場を撮影したマクサーの衛星写真では、兵士と装備が残っている。大きな野戦病院も確認できる。現地では訓練も進行中だ。




オプク(地図⑥)

クリミア半島のオプク演習場(2月15日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

2月15日に黒海沿岸にあるオプク演習場を撮影したマクサーの衛星写真では、兵士と装備が残っている。



クルスク(地図⑦)

ロシア西部のクルスク演習場(2月14日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

2月14日にロシアのクルスク演習場を撮影したマクサーの衛星写真では兵士と装備が残っている。戦闘部隊が複数の地点で隊列を組んでいるのも確認できる。



TOPIC 2

ロシア国防省の一部撤退映像、
クリミアとロシア西部の可能性



ロシア国防省は15日、ウクライナ国境近くから撤収を始めたとする軍部隊の映像を公開した。映像に映っていた景色や建物を調べると、クリミア半島とロシア西部クルスク州で撮影された可能性があることがわかった。

クリミア半島のエフパトリアで撮られた可能性がある映像=ロシア国防省提供
青い屋根など建物の特徴から推定した=ヤンデックスより

日本経済新聞は戦車が並んでいるロシア国防省の映像と、ロシアの検索エンジン「ヤンデックス」のストリートビューを照らし合わせた。映り込んだ建物の特徴などで場所を分析。建物の形や色が似ていることから、クリミア半島のエフパトリアで撮影された可能性がある。

地図の⑧の地点で、ロシア国防省によるとチェチェン共和国などに移動したとしている。

ロシア西部クルスク州で撮影された可能性がある映像=ロシア国防省提供
標識と青い建物から場所を推定した=グーグルマップより

ロシア国防省は戦車が雪の積もる線路近くを走る映像も流した。グーグルマップの画像で道路脇の看板や建物、線路沿いの地形などを比較した。標識と青い建物が似ていることから、映像はロシア西部クルスク州で撮影された可能性がある。

地図の⑦の地点で、ロシア国防省によるとジェルジンスクに移ったという。

ロシア西部クルスク州で撮影された可能性がある映像=ロシア国防省提供
線路横の地形と待機する列車から推定した=グーグルマップより

ロシア国防省の映像には線路に沿って戦車が走行している姿が映っている。グーグルマップで線路沿いの地形、林と線路の位置関係を調べると、クルスク州の地点の林と線路からの位置関係が似ており、左側に停車している列車も見える。

国際軍事情報大手IHSジェーンズに所属する調査員などもロシア国防省の映像を分析している。同じように地点を特定した検証結果をSNSに公開している。



TOPIC 3

ロシア「順に撤収」
米大統領「侵攻の可能性、非常に高い」



バイデン大統領は17日、ホワイトハウスで記者団にロシアが侵攻する可能性が「非常に高い」と述べた。ウクライナ国境付近でのロシアの動向について「軍部隊を撤収させておらず、より多くの軍を投入している。攻撃するためにウクライナに入る準備をしている」と語った。数日内に侵攻するおそれがあるとの認識も示した。

バイデン政権はロシアによるウクライナ侵攻のおそれが高まっている根拠として国境周辺の軍増強に加え、意図的にデマを拡散させる偽装工作を挙げる。親ロ派への攻撃を自演する「偽旗作戦」と呼ばれる行動で、2014年にウクライナ領クリミア半島を併合した際にも侵攻を正当化する手段に利用したとして米欧は警戒する。



TOPIC 4

ウクライナ東部で砲撃相次ぐ



ウクライナ東部で17日、砲弾による爆発が相次いで確認された。親ロシア派武装勢力とウクライナ政府軍の紛争が続く地域で、緊張が高まっている。米欧やウクライナは、ロシアが親ロ派を利用して挑発行為を仕掛け、侵攻の口実にするのではないかとみている。




編集
佐藤賢、黄田和宏、伊地知将史、斎藤一美、淡嶋 健人、小川知世