ロシア軍、三方からウクライナ包囲
衛星写真で見る

プリモルスコ・アフタルスク空軍基地(2月13日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

ロシアが軍事でウクライナ包囲網を敷いている。ロシア軍はベラルーシ、ロシア西部、クリミア半島に部隊を配置。ウクライナを北、東、南の三方から囲んでいる。ウクライナ情勢を衛星写真で見る。



TOPIC 1

ウクライナ国境に展開するロシア軍



ポーランドの軍事コンサルティング会社ロハン・コンサルティングの集計するロシア軍の兵力データによると、ロシア西部のウクライナ国境周辺などでは少なくとも3万5000人の兵士が集結していると確認された。14日には国境に一段と近づいた可能性があるという。

ロシア軍の部隊がウクライナ国境近くに移動したのであれば、侵攻のための準備態勢を整えた可能性がある。

ロシア国防省はロシア西部と南部で軍事演習をしていた部隊の一部が15日中に撤収を始めたとしている。バイデン米大統領は15日、軍部隊を一部撤収させたとのロシア側の説明について「確認していない」と述べた。「侵攻の可能性は明らかに残っている」と強調した。欧米各国は慎重に見極める必要があるという姿勢を示している。



ソロチ(地図①)

ロシア西部ソロチ(2月13日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

米衛星運用会社マクサーテクノロジーズの2月13日の衛星写真を見ると、ロシア西部ソロチで新たな配備が確認された。



プリモルスコ・アフタルスク(地図②)

プリモルスコ・アフタルスク空軍基地(2月13日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

マクサーの2月13日の衛星写真で、ウクライナとの国境に近いプリモルスコ・アフタルスク空軍基地を見てみる。並んでいる航空機をマクサーはスホイ34戦闘爆撃機とみている。10機並んでいる。



ドヌズラフ湖岸(地図③)

クリミア半島のドヌズラフ湖岸にヘリコプターが集結している(2月13日)=Satellite image ©2022 Maxar Technologies

マクサーの2月13日の衛星写真では、クリミア半島のドヌズラフ湖岸にヘリコプターが集結している。



衛星写真で見る配置変化

(写真下部のボタンで操作)

マクサーの2月13日時点の最新の衛星画像によると、ロシア西部のソロチでは1月中旬と比べて、兵力が大きく増強されたことが分かる。一方、エリニャやポゴノボの拠点の兵力は減り、ウクライナ国境方面に部隊が移動した可能性がある。ベラルーシでもこれまで駐留していた拠点から場所を移動したことが確認された。




TOPIC 2

映像で見るロシア軍の一部撤収



ロシア国防省、撤収の映像公開

ロシア国防省は2月15日、ウクライナ国境近くから演習を終えて撤収を始めたとする軍部隊の映像を公開した。ただ撤収規模は明らかにしておらず、緊張緩和につながるかは不透明だ。



TOPIC 3

ロシア、軍事圧力と外交の硬軟両様



ロシアのプーチン大統領は軍事圧力をかける一方で、欧米との外交交渉を続け、硬軟両様の構えを取る。対話で緊張緩和を探ろうと関係国の首脳外交が本格化しているが、妥協点は見えない。



2021年12月30日
米ロ首脳が電話協議

バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は2021年12月30日、軍事的緊張が続くウクライナ情勢を巡り電話協議した。プーチン氏は米欧主導の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大やロシア国境近くへの軍事力配備の停止を求めた。バイデン氏は対話を通じた外交を支持する一方、ロシアがウクライナに侵攻すれば同盟国などとともに断固とした対応をとると警告した。



2022年2月7日
マクロン氏がプーチン氏と会談

フランスのマクロン大統領㊨はロシアのプーチン大統領と話し合ったが、意見の隔たりは大きかった(7日、モスクワ)=ロイター

フランスとドイツが緊張緩和に向けた外交活動を積極化している。フランスのマクロン大統領は2月7日にロシアを訪れ、プーチン大統領と会談した。マクロン氏は「この対話は(戦争を回避して)安全を保障するための唯一の方法だ。緊張緩和に向けたスタートになり得る」と述べた。会談後の記者会見でプーチン氏は仏側から緊張緩和に向けた提案を受けたことを明らかにし「今後われわれがともに歩むべき基礎とすることは可能だ」と述べた。



2月12日
米ロ首脳が電話協議

バイデン米大統領はロシアのプーチン大統領との電話会談で、ロシアが軍事侵攻すれば厳しい代償を科すと改めて警告した(12日、キャンプデービッド)=ロイター

バイデン氏は2月12日、プーチン氏と電話で協議した。ホワイトハウスの声明によると、バイデン氏はロシアがウクライナに再侵攻すれば、欧州の同盟国などと協調してただちに厳しい代償を科すと改めて警告した。打開策は見えなかった。



2月14日
ドイツのショルツ首相がウクライナ訪問

ドイツのショルツ首相㊧はウクライナを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談した(14日)=ロイター

2月14日にはドイツのショルツ首相がウクライナのゼレンスキー大統領と同国内で会談した。ショルツ氏は会談後の記者会見でロシアと欧州の安全保障についての「真剣な対話」を進める準備もあるとし、緊張緩和に向けて動くようにロシアに呼びかけた。



2月15日
ショルツ独首相がプーチン氏と会談

 15日、ロシア・モスクワで共同記者会見するプーチン大統領(右)とドイツのショルツ首相(ロイター=共同) 

プーチン氏は15日、ショルツ独首相とモスクワで会談した。プーチン氏は会談後の共同記者会見で、欧州の安保について「協議を続けていく用意がある」と語った。戦争を望んでいるかを問われると「望んでいない」と答えた。

ショルツ氏はロシアが演習を終えた部隊の撤収を発表したことについて「良い兆候だ」と評価した。ただ、プーチン氏は今後も撤収を続けるかは「状況次第」とし、米欧への揺さぶりを強めている。



編集
佐藤賢、黄田和宏、斎藤一美、伊地知将史