「QUIC」でWebページ表示を高速化 最新HTTPの標準に
QUICとはUDPをベースとした汎用通信プロトコルである。IETF(Internet Engineering Task Force)が2021年に「RFC 9000」として勧告し、新たなインターネット標準技術となった。2022年に「RFC 9114」にて勧告されたHTTP/3は、トランスポート層プロトコルとしてQUICを採用した。 特徴はHTTP/2のトランスポート層で使われているTCPと比べ、
セルロースナノファイバー 1兆円市場へマイクロ併用
セルロースナノファイバー(CNF)は、木材などの植物から取れるセルロースを数〜数十nmに微細化して造る繊維である。①鋼の1/5の軽さながら5倍以上の強度を備える、②熱変形が小さい、③表面積が大きい、④透明度が高い、⑤液体にチキソ性(静止状態で固まり、力を加えると流動する)を付加できる、⑥ガスバリア性を有する、といった変幻自在な特性を持つ。日本発の高機能材料として大きな期待を集め、2012年時点で
ブロックチェーン技術で組織運営「DAO」 法整備も進展
DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは、ブロックチェーン技術を使うことで特定のリーダーや管理者を置かず、ある目的を達成するための組織を参加者が協業して運営する形態を指す。日本語では分散型自律組織と訳される。 参加者は互いに平等な立場で運営に関わることができ、組織運営や利益分配などのルールはブロックチェーン上で動作する取引自動化のプログラム「スマー
ホログラフィックディスプレー実現に道 3D映像自然に
ホログラフィックディスプレーは、物体の映像を光の強弱や色だけではなく、位相情報、つまり光の波の振動のタイミングも「ホログラム」として記録し、それを再生する「ホログラフィー」技術を用いて、より自然な立体映像を表示できるディスプレーである。これまで実用化は難しいとされてきたが、課題解決に向けたアイデアが最近になって出てきた。 既存のディスプレーの多くは、位相情報は用いていない。これまでの3次元(3D
火災に強い「木造耐火構造」 大手ゼネコンが開発加速
木造耐火構造とは、火災によって木造建築が燃えても一定時間、建物を倒壊させずに持ちこたえられる性能を確保する技術である。建物の高さに応じて1時間、2時間、3時間の耐火性能が建築基準法で求められている。この性能を確保するため、大手ゼネコンを中心に技術開発が活発だ。 建築基準法では、最上階から数えて階数4以下が1時間、階数5〜14が2時間、階数15以上が3時間の耐火性能を求めている。高層になるほど、長
4月解禁「給与デジタル払い」 新サービス開発加速へ
「給与のデジタル払い」とは、企業が従業員の給与の全部または一部をスマートフォン決済アプリなどのデジタルマネー口座宛てに支払うこと。これまで給与の支払いは、現金か銀行口座への振り込みに限られていた。これらに加え2023年4月以降、デジタルマネーを取り扱う資金移動業者が管理する口座への支払いが解禁される。これにより銀行口座などからデジタルマネーへのチャージが不要になり、小売店などの少額決済におけるキ
軍事用途で「光衛星通信」に脚光 民間転用へ参入加速
光衛星通信とは、これまでの電波(マイクロ波)の代わりにレーザー光を使って人工衛星間や衛星と地上間の通信を行う技術である。最大の特徴は電波よりも高速な通信ができることだ。一般的な電波通信の10〜100倍に相当する10Gbps(ギガビット毎秒)以上の速度を実現する。さらに、電波は周波数資源の枯渇が問題となっており、干渉を避けるための周波数調整に数年かかることがあるのに対し、光衛星通信は現状、国際的な
「能動的サイバー防御」で攻撃予防 日本政府も導入へ
能動的サイバー防御(Active Cyber Defense)とは、サイバー攻撃を受ける前に攻撃者の情報を収集したりネットワークを監視したりして、攻撃からシステムを守ること。新型コロナウイルス禍やロシアによるウクライナへの侵攻を背景に、政府機関や重要インフラ企業を標的としたサイバー攻撃が増加していることを受け、各国で導入に向けた議論が進む。 日本では、2022年12月16日に政府が閣議決定した「
交通事故ゼロへ「コネクテッド」 狭域通信に2方式
コネクテッドとは、広義には通信によってインターネットや他者と接続されることである。例えば、つながるクルマ(コネクテッドカー)とは、インターネットと接続されたクルマや、V2X(Vehicle to Everything)通信によって接続されたクルマを指す。 通信でインターネットや他者と接続される利点は、インターネットを介して、あるいは接続された機器の間で有益な情報を共有・活用できることである。つな
大規模建設現場で「遠隔監視」が普及へ AI分析も視野
建設現場遠隔監視とは、カメラの画像や映像を見て離れた場所から建設現場を監視したり監督したりすることである。遠隔から現場の様子を確認できれば、わざわざ足を運ぶ必要がない。建設現場を管理・監督する業務を大幅に効率化できる。 例えば、超高層ビルの建設現場の場合、数十階ものフロアで同時に工事が進められている。作業所の所長や各現場の職長らは以前、広大な建設現場を歩き回り、持ち場の確認をしていた。自分の目で