誰でも使える車OS ボッシュ、SDVメガサプライヤーに
【この記事のポイント】・ソフト更新で進化する車に自動車OS不可欠・自動車大手10社以上が独自のOSを開発・ボッシュなどが非競争領域の共通化を目指す 独ボッシュが誰もが無償で使えるオープンソースの「ビークルOS(自動車向けソフトウエア基盤)」を開発する。「エクリプスSDV」と呼ぶプロジェクトを立ち上げ、2025年前後にも一部の機能を量産車に搭載することを目指す。ビークルOSはソフトが自動車の機能を決
マツダ、忘れられた30人の逆転劇 解析チームが主役に
広島の町を流れる太田川水系の川沿いに立つマツダの本社工場。2つの流れに挟まれた北の端のへき地のような場所に立つ技術3号館に残された面々が後の快進撃の立役者になるとはこの時、誰も思わなかっただろう。2000年のことだ。そのチームを率いることになった人見光夫氏(現シニアフェロー)も内心で毒づいたという。 「社内で存在を忘れられた状態ですよ。たった30人で何をしろと。ふてくされていました」 マツダの経
米マスワークスCEO「トヨタからカイゼン学んだ」
自動車業界に「モデルベース開発(MBD)」の概念をもたらした黒子的な存在である米マスワークス。主力ツールのMATLAB(マトラボ)とSimulink(シムリンク)は今では自動車に限らず広範な産業で使われている。非公開企業でもあり、普段は米国でもメディアの取材をほとんど受けないというジャック・リトル最高経営責任者(CEO)がNikkei Mobilityの単独インタビューに応じた。 ――マトラボは
日産、傍流「ソフト屋」がつないだ系譜 タタとタッグ
神奈川県厚木市にある日産自動車のソフトウエアトレーニングセンター。全国から社員が送り込まれ、4カ月間の集中授業を受ける。この間、元の職場の仕事に戻れるのは金曜日の午前だけ。あとの時間は受験生さながらの徹底教育を受ける。1000人のソフト専門人材の育成を目標に2017年に設立され、すでに400人以上が巣立っていった。 2000ページにも及ぶ14冊の独自テキストをもとに進むカンヅメ教育。その柱となる
トヨタ技術者が影の立役者 米欧勢と世界標準に道
持ち時間と言われていた40分はあっという間に過ぎ、二人の会談は2時間を過ぎようとしていた。米デトロイト郊外にあるフォード・モーターの研究施設を訪れたトヨタ自動車のエンジン制御技術者、大畠明氏はフォード研究部門担当のビル・パワーズ副社長を前に熱弁を振るっていた。英語は苦手だが通訳はいない。ただパワーズ氏ももとは制御系が専門だったことが幸いした。1990年代半ばのことだ。 「このままいけばエンジンの
モデルベース開発けん引 マスワークス「急成長の定理」
自動車産業が生まれて100年余り。機械と電気のメカトロが支配したアナログな組み立て産業に、新しいバリューが勃興してきた。ソフトウエアの力である。3万点もの部品を巡る規模の経済性を巡る壮大なゲームに明け暮れてきたこの巨大産業に訪れた「ソフトの世紀」。「ソフトウエアファーストのクルマづくり」をけん引するモデルベース開発の夜明けを追う。 「ミスター・アイサイト」の挑戦 「60歳になってからの挑戦です。『
トヨタも採りたい車IT人材 東京の求人数、5年で40倍
【この記事のポイント】・車大手、AI技術者の争奪激しく・埼玉37倍、愛知と群馬22倍、栃木12倍に・ホンダやSUBARU、都内に開発拠点 自動車各社が自動運転やコネクテッドカー(つながる車)などの開発に必要なIT(情報技術)技術者の獲得を急いでいる。特に東京都内にはトヨタ自動車グループなどが拠点を設け、自動車業界による東京23区でのIT人材の新規求人数は5年で40倍に増えた。ソフトウエアが決める自
仮想開発、「日の丸」の逆襲 NTTデータやZMP
ソフトウエアが自動車の性能を決めるソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)時代を先導するのは海外勢だ。米テスラはネット経由で機能を更新する「オーバー・ジ・エア(OTA)」をいち早く取り入れた。自動運転システムの開発に必要なシミュレーション技術も米国企業が先をいく。そのなかでSDV時代の競争力の維持・確保に向け日本でも「国産技術」の開発が加速してきた。 「シミュレーションの活用が(自動運転技
30社買収の米アンシス 電気自動車のノイズも仮想で解析
トンネルを走る1台の自動車。出口を抜けた途端にまぶしい太陽光で景色の見え方が急変する。運転するのが人間なら瞳の虹彩で光の量を調節して対応しようとする。では自動運転だったらどうするか――。自動運転システムの開発ではシミュレーションでこうした光景をカメラやセンサーがどう認識するのかを確かめる。 トンネル出口の光も再現 そこで求められるのは、仮想空間上に現実世界を極めて正確に再現することだ。シミュレー
「自動運転レベル4」仮想開発の雄 米アプライドの実力
【この記事のポイント】・レベル4開発の主戦場は仮想空間に・米アプライド・インテュイション、数千のシナリオを数分で・周囲の認識から挙動制御まで包括的なツール 自動車の性能をソフトウエアが左右するソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)時代が到来するなか、自動運転システム開発の主戦場となりつつあるのが仮想空間でのシミュレーションだ。実世界で100年以上かかる検証が仮想空間なら1日ですむともされ、