75年目のホンダも動く 「自己否定」に挑む巨人たち
4日(日本時間5日午前)、米ラスベガス。テクノロジーの祭典「CES」の開幕に先立ち行われたソニーグループの発表会。巨大仮想空間のメタバースやゲームなどの新展開が次々と発表される中で大トリとしてステージに登場したのが、ホンダとの共同出資会社「ソニー・ホンダモビリティ」の試作EV(電気自動車)だった。 「AFEELA(アフィーラ)」というブランドで2025年に発売するというEV。だが、この日の説明は
「一芸」で風穴 将棋AIの異才がテスラ超え宣言
千葉県柏市にあるインキュベーション施設の一角。開放的なオフィスにパソコンが並ぶ。デスクに座る若い社員たちはジーンズにパーカと、都内でよく見かけるIT(情報技術)企業のようだ。現代コンピューターの父と呼ばれるアラン・チューリングから名付けられた社名はTURING。生まれて1年余りのこのスタートアップが開発するのはスマートフォンのアプリではなく、自動運転車だ。 つくるのは自動運転のアルゴリズムだけで
シン・デトロイト 100年秩序に「破壊者」たちの挑戦状
自動車産業が100年かけて築いた秩序が崩れようとしている。価値の源泉は巨大資本が競い合った規模の経済性からソフトパワーへとシフトし、業界の構造は強固なピラミッド型から業種の壁を越えた水平展開へ。そして、ひと握りの自動車メーカーが支配する世界からスタートアップが躍動する多様性の時代へ。巨大産業に起こりつつあるレジームチェンジの現場を追う。 その広大な敷地は第2次大戦中に爆撃機の量産に使われ、戦後に
中国・巨龍たちの覇権 「新自動車強国」まとめ読み
NIKKEI Mobilityは長期連載「新自動車強国・中国」を始めました。世界の最先端を走る中国モビリティー産業の最前線に迫ります。第1部「巨龍たちの覇権」では、日仏連合の急所を握るシナリオもあった浙江吉利控股集団や完成車メーカーの領域だった車台も開発する寧徳時代新能源科技(CATL)などを取り上げました。全3回をまとめ読み形式でお届けします。 中国が「自動車強国」に突き進んでいる。電気自動車
トヨタ・日産・ホンダに脅威 迫る「デジタル侵入者」
【この記事のポイント】・車載ソフトの死角をつく不正アクセスが増加・企業や業界団体は指針策定や侵入検知ソフトで対応・デジタル機器使う新手の盗難手口も インターネット技術などを悪用する「デジタル侵入者」が自動車各社にとって脅威となってきた。車載コンピューターやソフトウエアの死角を突いた車への新しい不正アクセスの手口や盗難などが相次ぐ。各社はデジタル時代に広がる新手の犯罪への対処に迫られている。 リモー
マツダ、忘れられた30人の逆転劇 解析チームが主役に
広島の町を流れる太田川水系の川沿いに立つマツダの本社工場。2つの流れに挟まれた北の端のへき地のような場所に立つ技術3号館に残された面々が後の快進撃の立役者になるとはこの時、誰も思わなかっただろう。2000年のことだ。そのチームを率いることになった人見光夫氏(現シニアフェロー)も内心で毒づいたという。 「社内で存在を忘れられた状態ですよ。たった30人で何をしろと。ふてくされていました」 マツダの経
日産、傍流「ソフト屋」がつないだ系譜 タタとタッグ
神奈川県厚木市にある日産自動車のソフトウエアトレーニングセンター。全国から社員が送り込まれ、4カ月間の集中授業を受ける。この間、元の職場の仕事に戻れるのは金曜日の午前だけ。あとの時間は受験生さながらの徹底教育を受ける。1000人のソフト専門人材の育成を目標に2017年に設立され、すでに400人以上が巣立っていった。 2000ページにも及ぶ14冊の独自テキストをもとに進むカンヅメ教育。その柱となる
「百度軍校」30人がけん引 自動運転タクシー中国10都市で
中国のインターネット大手、百度(バイドゥ)が自動運転タクシーの先端を走っている。国内10都市余りを走り回る同社の車両は実に600台以上。さらには同社で腕を磨いた技術者たちも次々に起業し、同じ分野で活躍する。海外の自動車大手もそのダイナミズムに引き寄せられ、中国は自動運転大国としての地位を固めつつある。 自動運転タクシーの乗車回数4倍に 「世界の自動運転タクシー業界をリードする地位を固めた」。11
トヨタ技術者が影の立役者 米欧勢と世界標準に道
持ち時間と言われていた40分はあっという間に過ぎ、二人の会談は2時間を過ぎようとしていた。米デトロイト郊外にあるフォード・モーターの研究施設を訪れたトヨタ自動車のエンジン制御技術者、大畠明氏はフォード研究部門担当のビル・パワーズ副社長を前に熱弁を振るっていた。英語は苦手だが通訳はいない。ただパワーズ氏ももとは制御系が専門だったことが幸いした。1990年代半ばのことだ。 「このままいけばエンジンの
トヨタ、マスワークスに賭けた電子設計巻き返し
数学者のクリーブ・モラー教授が開発した「MATLAB(マトラボ)」に可能性を見いだしたジャック・リトル氏。1984年の創業当初は数学的な要素が強かったが、マスワークスの創業にあたってリトル氏は同僚とともにこれを改良していった。空間計算、根軌跡、モデリング、リカッチ微分方程式――。当初はリトル氏の専門である制御工学の知見を「マトラボに付け加えて遊んでいた」というが、ここで重要な改良を加えることにな