EVシフトのホンダにくすぶるF1復帰 「製造者登録」で観測
ホンダにフォーミュラ・ワン(F1)への再復帰観測が浮上している。同社は2021年にエンジン開発から撤退し、参戦チームへのサポートも25年に終えれば完全撤退となる。それ以降は電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)に経営資源を集中させるはずなのになぜか。ホンダ関係者の動きを追った。 3月に始まった自動車レースの最高峰、F1の2023年シーズン。第2戦のサウジアラビア・グランプリ(GP)までオラクル
鴻海、EV車台で新時代の黒子 脱iPhone受託依存
電気自動車(EV)に参入する台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は2025年に生産台数年間50万〜75万台、1兆台湾ドル(約4兆円強)の売上高を目指す。米テスラのような先行企業や既存の自動車大手に対抗しながら、世界EV市場でシェア5%という野心的な目標だが、鴻海は単なる1メーカーとしてEVの世界に参入しようとしているわけではない。 22年10月、同社初の本格的な新型EVのお披露目の場に創業者の郭台銘(
鴻海EVの電池工場をドローン撮影 見えた風雲児の心臓部
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がいよいよ電気自動車(EV)市場に本格参入する。2019年の参入表明から約4年、ようやく全貌が明らかになってきた。「全く異なる世界を作る」(幹部)と豪語するiPhone生産の巨人。30兆円企業が目指すEVに果たしてどんな勝算があるのか。 「鴻海は本気でEV市場に参入するのか?」「iPhone生産一筋のクルマ素人の鴻海が、本当にEVを作って、商売にしていけるのか?」
トヨタ時価総額、章男氏は2.4倍 増加率は章一郎氏並み
トヨタ自動車を13年9カ月にわたり率いた豊田章男社長が3月末で退任する。章男氏は「もっといいクルマづくり」を掲げ、まず数字ありきの経営とは距離を置いた。それでも上場企業のトップは数字の評価から逃げられない。歴代2番目の長さとなった在任期間に何をなし遂げ、超えられなかったのか。「世界販売台数」「連結純利益」「時価総額」という3つの数字で章男氏の経営を振り返る。 ①世界販売台数、20%増の「956万
フォード、EV事業の収益を初開示 23年は赤字3900億円
【ニューヨーク=堀田隆文】米自動車大手フォード・モーターは電気自動車(EV)事業の収益の開示を始める。これまでの地域別から改め、2023年12月期決算から投資家の関心が高いEV事業の採算を明確に示す。23日には23年12月期のEV事業の調整後EBIT(利払い・税引き前損益)が30億ドル(約3900億円)の赤字になるとの見通しを明らかにした。 EV事業の「フォードモデルe」、ガソリン車やハイブリッ
トヨタ、ミライで脱炭素「全方位」 佐藤次期社長に宿題
2015年1月15日、首相官邸の前庭。安倍晋三首相(当時)は新型車のハンドルを握っていた。その1カ月前にトヨタ自動車が世界に先駆けて一般販売を始めた燃料電池車(FCV)の「MIRAI(ミライ)」だ。「水素時代の幕開けだ」。この日の政府への納車式で自ら運転して太鼓判を押した。 FCVは水素と酸素を反応させて取り出した電気を動力源に走る。走行中は水しか出ないうえ、充電に時間がかかる電気自動車(EV)
ボルボ・カーCEO「LFP電池も開発」 EV価格を内燃車並みに
乗用車の環境対応を電気自動車(EV)に全面的に頼ることへの懐疑論がくすぶる中、EVシフトは進むのか。世界でもいち早くEVシフトを進める高級車大手ボルボ・カー(スウェーデン)のジム・ローワン最高経営責任者(CEO)はNIKKEI Mobilityのインタビューで「2020年代半ばにはEVが内燃機関車と同じ価格になる」と述べ、コストダウンの手段の一つとしてリン酸鉄(LFP)系の電池も開発していると明
トヨタ、「86」復活の深謀 提携でフルラインアップ
「若者の車離れは若者が車を嫌いになったわけではなく、メーカー自身が若者や車好きから遠ざかっていった結果。『86』はトヨタが再び車好きに近づいていくというメッセージだ」 トヨタ自動車の豊田章男社長は2012年、当時13年ぶりとなるスポーツ車「86(ハチロク)」の復活発売の意義をこう説明した。 トヨタにとって若者などの車離れは長年の課題だった。同社の06年度の顧客調査によると「新車が出ても興味がない
トヨタの骨格に「TNGA」 章男氏、プリウスから41車種
トヨタ自動車の豊田章男社長が4月1日、社長を退任し会長に就く。豊田社長が就任した2009年に最も強調したのが「もっといいクルマづくり」だった。規模の成長を推し進めてきた当時のトヨタは08年のリーマン・ショックで赤字に転落。豊田社長は強いトヨタの復活に向け、クルマそのものにこだわった。在任13年間を代表的なモデルを切り口に、3回にわたり振り返る。 プリウスに新たな役割 15年12月14日、愛知県豊
マツダ毛籠次期社長が仕掛けた「黒マツダ」 まとめ読み
マツダの新社長に毛籠(もろ)勝弘取締役専務執行役員(62)が昇格します。毛籠氏は2016年〜21年に北米法人のトップを務め、現地でのディーラー網改革で手腕を発揮しました。北米事業の構造改革をNIKKEI Mobilityで掲載した企画「MAZDA in USA」のまとめ読み形式で振り返ります。 マツダが北米事業の構造改革の総仕上げに入った。生き残りをかけ売上高の4割を占める最重要市場で事業の見直
日産、シェア2%の欧州に再挑戦 脱炭素・SDVの実験場に
日産自動車が欧州市場に再挑戦する。アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は2月末、「欧州を日米中に次ぐ4番目の中核市場にする」とし、2026年に乗用車の新車販売を全て電気自動車(EV)など電動車にする計画を打ち上げた。日産にとって全体の販売台数の1割に満たない市場だが、なぜここに来て重要性が増しているのか。3つの理由が浮かび上がった。 これまでの欧州の位置づけは? 近年、日産にとって欧州市場
年収逆転、EV量産投資で ソフト技術者より生産技術者
モビリティー業界の求人に異変が起きている。転職市場での募集年収を職種別にみると工場のラインなどを設計する生産技術者が以前は最高だった車載ソフト技術者を逆転し、その状態が9カ月続いている。いまはソフトがクルマの性能を決めるソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)時代が目前。それにもかかわらず、このような事態が続いているのはなぜなのか。 生産技術者の年収、22年5月にトップ 人材サービス大手の
EV電池リサイクルで異業種連携へ 三菱マテ小野社長
三菱マテリアルが電気自動車(EV)電池のリサイクル事業への参入を目指し、異業種との提携を検討する。小野直樹社長はNIKKEI Mobilityのインタビューで新しい中期経営計画の柱と据えた同事業について、中古電池に含まれる希少金属などを取り出すための原料確保に向け「当社だけでやる可能性はない」と述べた。米国ではトヨタ自動車やホンダなどが現地のリサイクル業者と組んでおり、電池の再生資源確保に向けた
日本電産、社長候補5人の略歴 出身は銀行・東大・ソニー
日本電産は次期社長候補となる4月1日付けの副社長人事を発表した。副社長に就くのは5人で、出身をみると3人は大手銀行で、2人はそれぞれ東京大学とソニー(現ソニーグループ)だ。この中から1人が2024年4月に社長に選任される見通し。次期社長の座を争う5人の略歴をまとめた。 24年4月には永守重信会長兼最高経営責任者(CEO、78)は会長職とCEO職を辞し、代表取締役も退く。同じタイミングで小部博志社
車のスマホ化に危機感、トヨタ系東海理化がサービス開拓
トヨタ自動車グループの部品メーカーである東海理化が、ITサービスの開発・販売に注力している。長年車両の鍵を手掛けてきた知見を生かし、スマートフォンで車両を施錠・解錠する「デジタルキー」を開発。自動車部品を開発・販売する「モノ売り」だけでなく、デジタルキーを活用したサービスで稼ぐ「コト売り」の事業モデルの構築を模索する。 東海理化は車両の施錠・解錠や通信、セキュリティーなどの技術に強みを持つ。これ
三菱自「EVとPHVのモーター共通化」 加藤社長が語る中計
三菱自動車は10日、2025年度を最終年度とする中期経営計画とその先も含めた長期ビジョンを発表した。発表の直後にNIKKEI Mobilityのインタビューに応じた加藤隆雄社長は「今までのやりかたではもうからない」と強調。同社が強いプラグインハイブリッド(PHV)の優位性を残しながら電気自動車(EV)シフトに対応するため、両者のモーターを共通化する考えを示した。発言を5つのポイントにまとめた。
【再掲】いすゞ片山社長インタビューはこちら
いすゞ自動車は10日、南真介取締役専務執行役員(63)が4月1日付で社長最高執行責任者(COO)に昇格すると発表しました。片山正則社長(68
車載AI半導体で自立、「中国版Nvidia」ホライズンの実力
「中国市場は重要であり、ハイテクなどで協力の機会がある。地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)との提携も発表した。今後このような協力関係の確立が重要になる」 独フォルクスワーゲン(VW)のオリバー・ブルーメ社長は1月下旬から2月中旬にかけて中国を訪問。中国国営の新華社の取材にこう応えた。 企業価値は1兆1000億円 同氏が言及したホライズンとの提携をVWが発表したのは2022年10月。同社との
スズキ、22年のアフリカ販売6割増 インドモデル人気
スズキがインドに次ぐ成長市場と定めるアフリカの開拓に弾みをつけている。2022年の販売台数は前年同期と比べ6割増えた。両国は道路事情や所得水準が比較的近く、インド向けモデルはアフリカで使いやすい。インドの工場や在外インド人ネットワークも活用しながら、ガソリン価格の高騰を背景とした小型車の需要増加を追い風に消費者を取り込みつつある。 スズキの22年のアフリカでの販売台数は11万6410台となり、過
LiDARから保険 ルミナー、テスラ流で「脱部品会社」
【この記事のポイント】・スイス・リーと組んで割安な保険を開発・30年に全社で35%超の営業利益率目指す・25年に小型・高性能の次世代LiDAR生産 高性能センサーLiDAR(ライダー)の有力企業として知られる米ルミナー・テクノロジーズが自動車保険に参入する方針を打ち出した。自社のLiDARを搭載した自動車の保有者に割安な保険を提供する計画だ。安定的に収益を生む事業を増やし、受注状況や完成車メーカー