ZFとウルフスピードがSiC製EV半導体の新工場 独西部に
【フランクフルト=林英樹】米半導体大手ウルフスピードは1日、独西部ザールラント州に電気自動車(EV)などに使う炭化ケイ素(SiC)製パワー半導体の新工場と研究開発施設を新設すると発表した。30億ドル(約3900億円)を投じる。SiC製のパワー半導体は現行のシリコン(Si)製より電力損失が小さく、EVの航続距離拡大や高速充電を可能にするとして需要拡大が期待されている。 同社は独自動車部品大手ZFと
狙いは中国排除?欧州の環境新規制「ユーロ7」10の疑問
欧州の新環境規制「Euro 7(ユーロ7)」が自動車業界を翻弄している。欧州委員会(EC)は2022年11月、何度も延期していた規制案をようやく発表した。「規制案が出れば具体的な対策を進められる」(ある部品メーカーの幹部)はずだったが、輪郭がはっきりしたことで新たな不安や悩みが生まれている。 「排ガス規制の枠を超えた、新しいルールが生まれる」。国内自動車メーカーのパワートレイン技術者はユーロ7を
「国策EV電池」の限界 英ブリティッシュボルト破綻の波紋
【この記事のポイント】・ブリティッシュボルト、巨大電池工場が頓挫・試作品製作遅れ、政府の資金支援受けられず・英政府はフォードのEV生産支援 電気自動車(EV)で自動車産業を再興しようという英国の戦略に黄信号がともった。同国発の電池メーカーとして政府が支援したスタートアップ、ブリティッシュボルトが破綻したためだ。EVの要となる電池工場の能力は周辺国に見劣りする一方、インフレ対策などに追われる政府が製
車用アルミ圧延品出荷、22年は10%減 半導体不足響く
日本アルミニウム協会(東京・中央)は27日、2022年の自動車向けアルミ圧延品(板・押し出し類の合計)の出荷量が前の年比10%減の29万4515トンだったと発表した。マイナスは2年ぶり。半導体不足など部品供給網の混乱を背景に、国内の自動車生産台数が減ったことが響いた。 自動車向け出荷量の減少率はアルミ圧延品の全体の出荷量(21年比3.1%減)よりも大きい。車体のフードなどに使われる自
日立アステモのステアリング革命 「運転を熟練者並みに」
「人間の操作通りに動かすだけでは意味がない(不十分)。システムが間に入って助ける」。こう語るのは、日立Astemo(アステモ)技術開発統括本部次世代シャシー開発本部ジェネラルマネージャーの桐原建一氏だ。同社はそんなこだわりを持ってステア・バイ・ワイヤ〔ステアリングホイールのような操舵(そうだ)デバイスと車輪を機械的につながず電気信号で車輪を制御するシステム〕の開発を進めている。 成果の1つが操舵
「AFEELAにエンブレムは不要」 ソニー・ホンダ川西社長
【この記事のポイント】・SDVは外観より機能重視、デザインはシンプルに・「メディアバー」に進化の余地・車内に合ったゲームや映画を模索 ソニー・ホンダモビリティが電気自動車(EV)ブランド「AFEELA(アフィーラ)」で目指す姿が徐々に見えてきた。川西泉社長兼最高執行責任者(COO)はNIKKEI Mobilityのインタビューで「アフィーラにエンブレムは付けない」と明かし、従来の車とは一線を画す考
BMWが全固体電池試作ライン ソリッドパワーと共同で
【フランクフルト=林英樹】独自動車大手BMWは米ソリッドパワーと共同で全固体電池を製造するための試作ラインを設けると発表した。電気自動車(EV)の性能を飛躍的に高めると期待される全固体電池をめぐっては世界で数十社が開発に乗り出しており、いち早く量産技術を確立させる狙いがある。 試作ラインは、独南部ミュンヘン近くにあるBMWの電池セル研究施設に設置する。ソリッドパワーは2022年12月、BMWに製
車向け工作機械、22年は17%増 コロナ前には届かず
日本工作機械工業会(日工会)が26日に発表した2022年の工作機械受注額は国内の自動車向けが前年比17%増の1347億円だった。経済活動の再開や電動化に向けた投資を背景に2年連続で前年比プラスとなった。ただ新型コロナウイルス禍前の19年(1397億円)には届かなかった。 日本は欧米や中国と比べ電気自動車(EV)の普及が遅れており、電池など関連した設備投資もまだ本格化していない。稲葉善治会長(ファ
日本電産、23年3月期一転減益 車載モーターで在庫調整
日本電産は24日、2023年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比56%減の600億円になりそうだと発表した。従来は21%増の1650億円となり過去最高益を更新すると予想していたが、1050億円下方修正し、一転して3期ぶりの減益になる。中国経済の減速などの影響を受けるほか、欧州の車載向けモーターの在庫調整などで構造改革費用を計上する。24年3月期からの業績回復につなげたい考えだ。 24日にオ
米TI、精度3倍の電池管理用半導体 残量の誤差小さく
米テキサス・インスツルメンツ(TI)は車載電池の管理に使う半導体製品の精度を3倍に高めたと発表した。制御用のマイコンなどを組み合わせたBMS(バッテリーマネジメントシステム)で電圧の変化を計る。電圧変化の計測が難しいリン酸鉄リチウム(LFP)を使っている場合でも、電池の電力残量を正確に把握できるようになる。 バッテリーを構成する単電池(セル)の電圧を1ミリボルト単位で測定できる。前世代品は3.5