製品別CO2見える化の課題は 「CFP指針」まとめ読み
政府は原材料調達から生産、廃棄までの全工程の二酸化炭素(CO2)排出量を製品ごとに見える化する「カーボンフットプリント(CFP)」の算定指針案を示しました。モデル事業を自動車部品と化学の2分野で実施し、算定に使うデータの範囲や種類など36の実務的な課題が出てきました。NIKKEI GXで紹介したコンテンツをまとめ読み形式でお届けします。 経済産業省は温暖化ガス排出量を製品ごとに見える化する「カー
欧州の風車発注、22年は47%減 資材価格高騰が要因
欧州の風力発電業界団体ウインドヨーロッパは、2022年の欧州での風車発注が前年比47%減少したと発表した。インフレによる資材価格の上昇で従来よりも発電コストがあがり、発電事業者が利益をあげにくくなっていることなどが要因だ。欧州連合(EU)ではエネルギーの脱ロシア依存の理由で再生可能エネルギーの導入を急いでいるが、足元では逆風が吹いている。 ウインドヨーロッパによると、22年のEUでの風車の新規発
キオクシア、太陽光発電導入 国内半導体工場で最大規模
キオクシアは主力2工場に太陽光発電を導入すると発表した。北上工場(岩手県北上市)、四日市工場(三重県四日市市)の2拠点で、製造棟の屋上に設置する。年間の発電量は7600メガワット時で、二酸化炭素(CO2)の削減効果は3200トンになると見込む。両工場の発電設備とも、国内の半導体工場では最大規模になる見通しだ。 北上工場では第1製造棟の発電システムが1月から稼働を始めた。四日市工場では6月に第6製
J-オイルミルズ、樹木由来のSAF 出光と開発へ
出光興産とJ-オイルミルズは使わない樹木から油を取り出して、持続可能な航空燃料(SAF)などを開発するための覚書を締結したと発表した。植林活動で環境に配慮しつつ、両社の技術で搾油や精製、供給までのサプライチェーン(供給網)を築くことなどを目指す。 Jオイルは、自社事業と競合しない非食用の樹木から搾油し、SAFの原料として出光に供給することなどを想定する。業務用を中心に食用油を手掛けており、種子や
米ユナイテッド航空、SAF製造で新会社 調達体制を構築
米ユナイテッド航空など3社は、持続可能な航空燃料(SAF)の製造技術開発に向けて新会社を設立すると発表した。エタノールを原料とするSAFを開発し、商用化が実現すればユナイテッド航空で最大の供給源となる。供給量の不足が懸念されるSAFの安定調達体制を構築する。 石油ガス輸送インフラの米トールグラス、バイオエタノール製造の米グリーン・プレーンズと共同出資会社を設立する。3社合計の投資額は最大5000
洋上風力メンテ、日鉄エンジなど参入 受注競争活発に
国内プラント各社が洋上風力発電所のメンテナンス事業に相次ぎ参入する。保守・点検は総事業費の約4割を占め、洋上風力のサプライチェーンで最も規模が大きい。日鉄エンジニアリングは1月から国内外の企業と協業を開始。JFEエンジニアリングも参入機会を探る。洋上風力プロジェクトの増加に合わせて、メンテナンスを巡る受注競争も活発になりそうだ。 1件当たり数百億円の売り上げ 日鉄エンジは1月、メンテナンスに関連
英シェル、CO2実質ゼロLNG 各過程の排出量を検証
英石油大手シェルは、温暖化ガス排出量を相殺したカーボンニュートラル液化天然ガス(LNG)をオーストラリアから台湾に輸送した。LNG輸入者国際グループ(GIIGNL)の枠組みを業界で初めて採用した。LNGの燃焼までの各過程での温暖化ガス排出量を客観的に検証して、オフセット(相殺)の透明性を高める。 GIIGNLはこの枠組みを2021年11月に作った。天然ガスの採掘から液化、輸送、燃焼までの各過程の
風車大手ベスタス、韓国に供給網 アジアの本部移設も
風車メーカーの世界大手ベスタスは、韓国での洋上風力のサプライチェーン(供給網)構築に向けた投資の意向を明らかにした。投資額は公表していないが、数億ドルの可能性があるとしている。アジア・太平洋地域の本部を移設することも検討しているという。韓国では洋上風力発電の導入が活発になり、市場の発展が見込まれることから投資の対象になった。 韓国の産業通商資源省に対し、投資計画などについての届け出を提出した。韓
日の丸CCS、30年のコスト欧米比2倍 輸送の革新が鍵
二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留する「CCS」の国内での取り組みが本格的に始動した。政府は2030年の事業開始を必達目標として環境整備に取り組むと明言、民間事業者も呼応する。それでも現時点の試算では、30年時点でのコストは欧米諸国に比べて約2倍高い。CO2回収や輸送での技術革新がコスト低減の鍵になりそうだ。 CO2の長距離輸送がネック 「CCS導入の先送りは、50年カーボンニュートラル実
SAF量産、ランザジェットが名乗り ネステ追い世界展開
三井物産や英シェルなどが出資する米国のスタートアップ、ランザジェット(イリノイ州)が環境負荷の少ない航空燃料「SAF」の量産に乗り出した。米国で初の自社工場の建設を始めた。日本や欧州でも提携先に技術を提供する横展開モデルで供給量を増やす計画だ。SAFを量産できる企業は現在、フィンランドのネステなどごく一部で、需要に供給が追いついていない。メーカーに広がりが出ると航空の脱炭素に一歩近づく。 初の工
4陣営がCCS戦略 ENEOS・JX・Jパワーは2月に新会社
二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留する「CCS」の事業化に向け、4つの企業陣営が26日に戦略を発表した。日本政府は2030年までの事業開始を目指しており、法整備を急ぐ。 ENEOSとJX石油開発、Jパワーは共同出資会社「西日本カーボン貯留調査」を2月に設立する。西日本地域でのCO2貯留候補地選定に向けた探査や評価などに着手する。出光興産と北海道電力、石油資源開発(JAPEX)の3社は北海道
SAF原料のCO2、低温で分解 東芝が省エネ技術
東芝グループは持続可能な航空燃料(SAF)の原料を大量に作れる製造技術を開発した。二酸化炭素(CO2)を気体のまま電気分解する手法で、SAFの原料となる一酸化炭素(CO)を作る。電気を流すだけで触媒の反応をよくする電極を開発し、競合する欧州企業の技術に比べて低温で分解できる。新たな原料の生産性を向上する技術として、2026年度にも実用化する。 分解スピードは1000万倍超 開発したのは、排ガスや
NTT、水素供給インフラの実力 地球15周分の配管に強み
NTTが通信用に張り巡らせてきた地中の配管を水素のパイプラインに使う構想を描いている。長さは地球15周分に及び、工場や病院、事務所といったほぼあらゆる施設に通じているのが強みだ。燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さない次世代エネルギーを供給する有力な社会インフラになる可能性がある。 実証実験で安全性とコスト検証 福島県では2022年7月以来、通信用配管内に水素を送るための専用管を通して、水素輸送に
EV普及で「調整力」33テラワット時 日立・東大試算
日立製作所と東京大学の共同研究組織「日立東大ラボ」は25日、脱炭素などエネルギーシステムに関するシンポジウムを開いた。電気自動車(EV)やヒートポンプが普及すれば、2030年に需給の調整弁として使える電力が33.2テラ(テラは1兆)ワット時にのぼるという試算を発表した。脱炭素の実現には、34〜36年までに適切な施策が打てるかが重要だとの分析結果も示した。 電力需給調整の研究では、30年に国内世帯
世界の水力発電、伸び不足 逆風打開にスイスの環境対策
世界の水力発電の発電容量が伸び悩んでいる。生態系への影響などを懸念する声があるためで、国際エネルギー機関(IEA)は過去5年の伸びが必要量の3分の1だったと警告する。スイスで2022年に完成した巨大な揚水式水力発電は15の環境対策を発表することで環境への配慮をアピールしており、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、水力発電の改修や新設が必要な日本にも参考になりそうだ。 EV40万台分の蓄
石油連盟会長、中国「ゼロコロナ」解除に警戒感
石油連盟の木藤俊一会長(出光興産社長)は23日の定例記者会見で、中国が新型コロナウイルス感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を事実上終えたことに「需要を喚起するのか、感染拡大につながるのか。注目しなければいけない」と語った。中国経済の動向は世界の原油価格にも大きな影響を与えるため、日本の石油業界でも影響への期待と警戒が混じり合っている。 木藤氏は「ゼロコロナ政策解除の後、(好景気の)期待が
イーレックス、インドでバイオマス事業 石炭混焼に需要
バイオマス発電大手イーレックスは、インドでバイオマス燃料の生産に乗り出す。本名均社長がNIKKEI GXの取材に答えた。将来は発電所も建設する方針だ。インドは発電量の約7割を石炭火力発電に頼っており、脱炭素と燃料自給が両立するバイオマス発電が同国内で普及すると見込む。石炭火力への混焼燃料としての需要を取り込み、二酸化炭素(CO2)の排出を低減した電力の導入が進むアジアでの燃料生産・販売を本格化す
「緑のGE」へ次世代タービン 水素に対応、エネ部門CEO
米ゼネラル・エレクトリック(GE)はエネルギーの脱炭素に向け、水素やアンモニアを使った発電に対応する次世代タービンに注力する。エネルギー部門の事業会社になるGEベルノバのスコット・ストレイジック最高経営責任者(CEO)はNIKKEI GXの取材で「ベルノバはグリーンイノベーターになる」と意欲を示した。電力会社などに納入済みの天然ガス用タービンを水素対応などに改修する方式を検討しており、既存事業の
分かれる日韓の中東政策 脱炭素、パワーゲームのカギに
韓国の最近の中東政策に石油市場の変化と日本が学ぶべき教訓が映る。中東側の立場は強くなり、求める水準は上がる一方だ。脱炭素はリスクを回避する鍵になる。 アラブ寄り鮮明、日本と対照的 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は1月15日、アラブ首長国連邦(UAE)でムハンマド大統領と会い、水素や原子力、防衛など総額300億ドル(約3.8兆円)の共同事業で合意した。2022年11月にはサウジアラビアの事
西松建設、地熱発電に参入 「フラッシュ」開発も視野
西松建設は熊本県の地熱発電所を買収したと発表した。低温の「バイナリー方式」で、発電容量は49キロワット。開発・運営のノウハウを積み、高温の「フラッシュ方式」でメガ(メガは100万)ワット級発電所の開発も視野に入れる。 わいたグリーンエナジー地熱発電所(熊本県小国町)の運営を始めた。小国町で日帰り温泉を営む石松農園(同)が所有する発電所を買い取った。買収額は非公表。固定価格買い取り制度(FIT)の