フローダイビング

 暗闇の海中を紫外線(UV)や特殊な青色のライトで照らし、蛍光発光する生物を観察する、スキューバダイビングの新しい楽しみ方が広まりつつある。その名は「フローダイビング」(「フロー」は蛍光を意味する英語のfluorescentの略)。普段は地味に見えるサンゴやイソギンチャクが、緑やオレンジ色に妖しく輝き、ダイバーをひきつける。 (31日 7:00)

日没後のナイトダイビングで、紫外線ライトに照らされ妖しく蛍光発光するキクメイシやミドリイシなどのサンゴ(和歌山県串本町)

  • 同じ場所で白色のライトを照射すると全く違う色に見えた。「串本ダイビングセンター」の又野賢一さんは約30万円する紫外線ライトを手に、夜な夜な蛍光発光する生物を探す
  • 紫外線ライトで照らされ蛍光発光する海中の生物(上段)と、それぞれの本来の姿を撮影(下段)。ヒゲヒザラガイ(写真左)と、ハナガササンゴ
  • ハナウミシダ(写真左)と、サンゴイソギンチャク
  • ツマジロナガウニとキクメイシ(写真左)と、ヨメヒメジ
  • フローダイビングに欠かせない水中ライトは、(右から)紫外線を発して黄色のフィルター無しでも蛍光色が見えやすいスイスKELDAN社製の「LUNA 4 UV」、青色の光を発する米国LIGHT & MOTION社製の「SOLA NIGHTSEA」と、東京都豊島区の「フィッシュアイ」が試作中の青色LEDライト(写真上、和歌山県串本町)。黄色いフィルターをマスクに取り付けるダイバー。青色光のライトは、黄色いフィルター越しに見ることで蛍光色がよく見えるようになる(同下、静岡県松崎町)
  • 一方、暗い洞窟では日中でもフローダイビングを楽しめる。水深約13メートルの洞窟内で、プラネタリウムの星空のように光るキサンゴ。青色のライトで照らして黄色いフィルター越しに見ると、サンゴの筒型の群体だけがまばゆく光った(静岡県松崎町の「雲見の牛着岩」)
  • 写真上半分は黄色のフィルター越しに見える色。下半分は青色のライトのみ。「ダイブストア エグザイル」の松田良成さんは2013年4月からフローダイビングを導入した。暗い洞窟が多いポイントのため、日中でも存分に蛍光発光を観察できる
  • ソメンヤドカリは身の危険を感じると糸状の毒を出すベニヒモイソギンチャクを貝殻に付けている。(写真上から)本来の色、青色のライトで照らした色、青色のライトに黄色のフィルターを通して見た色。フィルター越しに見ると糸状の毒が蛍光発光して見える
  • アシブトイトアシガニ(甲幅約3センチ)は、青色のライトを照らして黄色のフィルター越しに見ると目が緑色に光って目立つが(写真上)、本来の姿は擬態の名人
  • 波やうねりでひっくり返ったとみられるキクメイシ。「ハート形に光るとは驚いた。日中だと、ただの岩にしか見えないはず」と又野さん。フローダイビングで海の楽しみ方が広がる。ただし、紫外線を浴びせ過ぎると生物への悪影響が出るとの指摘もあり、環境への配慮も必要だ(和歌山県串本町)=写真 浅原敬一郎(3月31日付日経MJより)