ふるさと浪江への思い

 「まぶたを閉じても浪江の町並みは浮かんできません。だから目に見える町民同士の交流が大切なんです」。原発事故で立ち入り禁止だった福島県浪江町は、昨年4月に一部で日中の一時帰宅等が可能になったが、町民は避難生活を続けている。「壊れてしまったコミュニティーをもう一度作りたい」と同町内で時計店を営む原田雄一さん(64)は話す。まちづくりのNPO理事でもある原田さんはイベントを開いたり、お客さんの避難先を訪ねたりして、つながりを絶やさないように奔走する。 (2日 22:23)

浪江町で3代続く時計店を営む原田さん。明かりがつかない店内の時計は止まったままだ(福島県浪江町)

  • 「まちづくりNPO新町なみえ」理事の原田さんは「顔を合わせて話し合うことを大切にしたい」と雪の中を自治会長に会うため仮設住宅を訪れた(福島県二本松市)
  • 浪江町は福島第1原発がある双葉町の北隣。請戸漁港の近くでは輝く海の先に原発の排気筒が見えた(福島県浪江町)
  • 路面から草が伸び荒れ放題となった浪江町の中心街。人けのない景色が広がる
  • ビニールシートに覆われた原田時計店は約90年続く老舗。原田さんは避難先の福島県二本松市で仕事を続けるが県内外に離れたお客さんと連絡が途絶えてしまうこともあるという
  • 埼玉県越谷市に避難するお得意さまの小西良助さん、トミさん夫妻。「お客さんもあちこちに分かれたが連絡が取れた方の元には行きたい」と原田さん
  • 震災前の町並みを模型で再現する企画を原田さんらのNPOが共催した。「浪江の人たちが集まる機会ができたのがうれしい」と会場を訪れた佐藤郁子さんは笑顔で話す(福島県二本松市)
  • 商店会で世話をしていた桜並木も再現された。「今年はみんなで手入れに行きます」と原田さんはふるさとに思いをはせる=写真 小川望

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