気仙沼の正月飾り

 宮城県や岩手県では自宅の神棚を「御幣束(おへいそく)」と呼ばれる切り紙で飾り新年を迎える習わしが今も残る。神社ごとに図柄は違う。東日本大震災で被害を受けた宮城県気仙沼市の神社では師走を迎え、「御幣束」を氏子に配った。 (27日 17:04)

大漁祈願や商売繁盛を願い新年に飾られる「御幣束」(12月17日、宮城県気仙沼市)

  • 早馬(はやま)神社の神職が唐桑半島の各地区の集会所に出向き、氏子に配る正月飾りの「御幣束」を作る。氏子はお盆に氏名を書いた紙を載せて渡す
  • 流れるようなしぐさで御幣束を折りたたむ早馬神社禰宜(ねぎ)の梶原壮市さん(40)。震災では高さ15メートルの津波が高台にある神社を襲った。社務所の2階から子どもを抱いて裏山へ飛び移り難を逃れた。「新年が穏やかな年でありますように」との気持ちを込める
  • 早馬神社の御幣束は69種類もあり、日本一の数だという。(左から)御霊(みたま)、山神、水神、明神、年神と色鮮やかな正月飾りが並ぶ
  • 紅白の折り重ねた和紙に切れ込みなどを入れて広げると鯛(たい)の形が現れる
  • 御幣束はお盆に載せ、風呂敷に包んで持ち帰る。ほとんどの家庭で一年に一度しか使わない専用のお盆と風呂敷を用意している
  • 近所の家の分も頼まれてきた鈴木武男さん(74)は「唐桑は足腰の弱い老人だらけ。きちんと新年を迎えさせてあげたい」と3軒分の正月飾りを抱えて帰って行った
  • 震災で水産加工工場が流された鈴木登子さん(74)。築約100年の自宅の神棚は幅3メートルを超えるが唐桑では標準的な大きさだという。すす払いをして12月30日に新しい御幣束に替える予定だ
  • 約1000軒の氏子を抱える早馬神社では、毎年一週間程度かけて各地区を回る。この日は約70人に配り終えた。紙の擦れる音が部屋から漏れ、お昼になっても受け取りに来る氏子は絶えることがなかった(宮城県気仙沼市)=写真 沢井慎也