仮設校舎で学ぶ・南相馬1

 福島第1原発事故で警戒区域となり2012年4月まで立ち入りが禁止された福島県南相馬市小高区は、現在も宿泊ができない「居住制限区域」だ。県内外で避難生活が続くが、市内にとどまる住民は6千人弱で震災前と比べ半減している。特に10代以下の減少が顕著で、自治体も危機感を強めている。小高区内の小中高の全7校は生徒数が激減するなか、本校舎から離れた仮設校舎で授業を続ける。奮闘する「教育の現場」を全3回で紹介する。第1回は福島県立小高工業高校。 (15日 23:41)

仮設の実習棟で溶接の練習をする小高工業高校の生徒(福島県南相馬市原町区)

  • 原発から20キロ圏内に位置する小高工業高校の本校舎は、震災後、警戒区域となり立ち入りが禁止された。一時は5つの高校に分散し授業を続けたが、2012年4月、南相馬市原町区の仮設校舎に集約された。13年度の全校生徒数は285名で、震災前の半数だ。主に座学を行う仮設校舎(写真下)から、運送会社の倉庫を改築した実習棟(同上)まで約1キロ離れている
  • 8月下旬に行われる除染作業を待つ本校舎。今夏、県大会でベスト4になった野球部のグラウンドは、雑草で覆われている(写真左上)。「広い本校舎なら、落ち着いた環境で生徒を教えることができるはず。いつか帰還したい」とある教員は話す(福島県南相馬市小高区)
  • 電気科1年生の石井凜さん(15)は小高小、小高中出身。1クラス35人の電気科で唯一の女子だ。放課後はバドミントン部のマネジャーとして部員をサポートしている
  • バドミントン部員は震災前から、伝統の祭り「相馬野馬追」の「騎馬武者行列」を手伝ってきた。本来は男性しか参加できないが、震災で人数が集まらず、女性の参加が認められた。石井さんは「子供の頃から野馬追に参加したかったのでうれしい」と話す
  • 旗を掲げながら歩く生徒たち
  • 町内の除染が終わっていないため、今年も小高区内の野馬追関連行事は縮小して行われた。地元住民の避難生活が長期化するなか、除染、汚染土の仮置き場、上下水道の復旧、人口減少など問題は山積している
  • 生徒たちは、本校舎での学園生活を知らない。荒井勝彦校長(57)は「生徒数減少にともない課外活動の縮小は避けられず、仮設校舎と実習棟の移動など不便は多いが、逆境に負けずにがんばってほしい」とエールを送る(7月28日、福島県南相馬市)=写真 小林健

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