よさこい再び 福島・富岡

 福島県富岡町の桜の名所である夜の森地区では毎年、「夜の森桜まつり」にあわせてよさこい踊りが披露されてきた。原発事故の影響で町内に3つあったよさこい団体は解散に追い込まれた。昨春、震災前から桜まつりに関わってきた伊藤孝さん(43)の呼びかけで3団体のメンバー有志が集まり、「チーム富岡 さくらYOSAKOI」を結成、活動を再開した。そして4月20日、21日に規模を縮小して開かれた「富岡町桜の集い2013」で久しぶりに町民の前で力強い演舞を披露した。 (2日 22:12)

福島県広野町の体育館で開かれた「富岡町桜の集い2013」で踊りを披露するメンバー(4月20日)

  • 原発事故による避難でよさこいのメンバーも県内外に散り散りになり、活動ができなくなった。3月25日の区域再編で、毎年よさこいを披露していた富岡町の夜の森の桜並木は帰還困難区域と居住制限区域とに分断された(3月27日)
  • 富岡町のよさこいは伊藤さんの呼びかけで昨春、新団体「チーム富岡 さくらYOSAKOI」として復活した。しかし当時は「頑張ろうと思っても先の見えないマラソンのように思うこともあった」と伊藤さんは胸の内を明かす。「それでも、いつまでも被災者ではいられない。できる事をやっていこう」と活動再開を決意したという(4月16日、福島県いわき市)
  • 「富岡町桜の集い2013」に向けて福島県いわき市で行われた練習。仕事帰りのメンバーが続々と集まった。「忙しい中でも集まるのは桜まつりで踊りたいから」とふるさとに思いをはせるメンバーは多い(4月16日)
  • 4月20日、21日に福島県広野町で開かれた「富岡町桜の集い2013」には県内外に避難している富岡町民ら300人以上が集まった。桜の季節に町民の前で踊るのは震災後初めて。客席からは自然と手でリズムをとる人も見られた。「よさこいを見て富岡を思いだし、懐かしんでほしい」と伊藤さんは力を込める。(4月20日)
  • この日、伊藤さんには町民に伝えたい思いがあり、演舞の間に語りかけた。「つい2年前まで同じ町民だったということは忘れずにいましょう」。富岡に帰る、帰らないは個人の判断だが、同じ町民としての絆は忘れてほしくないという思いを言葉に込めた(4月20日、福島県広野町)
  • この日の夕暮れ時、夜の森の桜並木に人通りはなかった。桜並木は今もほとんどが立ち入ることができない帰還困難区域のまま。「富岡の誇りは無くしちゃいけない」と伊藤さんは静かに先を見つめる(4月20日、福島県富岡町)=写真 山本博文

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