自慢のワカメ、絆の味

 東日本大震災からもうすぐ2年を迎える。三陸沿岸の漁業は壊滅的な被害を受けた。海中に潜ってがれき撤去を行うNPO法人「三陸ボランティアダイバーズ」のメンバーが集う岩手県大船渡市の越喜来(おきらい)湾では、昨年に引き続き、養殖ワカメの出荷に向けて漁師が準備を進めていた。 (26日 21:58)

ワカメを養殖する漁師の佐川富広さん(60)。さらなる成長を促すため、海中のロープをつり上げ、育ちの遅い芽を刈り取って間引きする(2月17日、岩手県大船渡市)

  • 漁師の仕事に休みはない。ブランド化して知名度で商売したり、新たに販路も開拓したいがその時間も惜しい。「きれいな海でいいものを作ることだけに集中する」と佐川さん
  • 間引くことで日光が満遍なく届き、大きく育つ。波の穏やかな湾内で育てるので柔らかいのが特徴だ
  • 津波でがれきだらけとなった越喜来湾。大型の台船が入れない港内を「三陸ボランティアダイバーズ」のメンバーが潜り、手作業でがれきを取り除いた。水中でがれきにロープを結わえるダイバー(写真左)と、陸上で引き揚げる佐川さん(同右)。カキやホタテの養殖再開の準備が遅れても、海をきれいにすることにまず取り組んだ(2011年8月)
  • 間引きされた小さい芽が海中を漂う
  • 一日の間引き作業で採れるワカメは数ケース。自家消費や近所に配る程度だ。「配って回るのも大変だけど、喜ばれるからね」
  • 間引きしたワカメは遠方にも“お裾分け”している。袋詰めしたワカメを段ボールの空き箱に入れ、希望者に発送する地元大船渡出身で三陸ボランティアダイバーズのメンバー、浦嶋康元さん(44)。湯にくぐらせると鮮やかな緑に色を変え、口当たりの柔らかさは早採りワカメならでは。配送先は、ボランティア作業で訪れ早採りワカメの味を知り、夢中になった人が多いという
  • まだ養殖ブイが少ない越喜来湾に日光が差し込む。「ボランティアの人たちに支えられ、こんなにきれいになった海はない」と佐川さんは自負する。ホタテやカキの養殖も始まった。自慢のワカメは3月に漁の最盛期を迎える(2月17日、岩手県大船渡市)=写真 浅原敬一郎