柔道がつなぐ絆

 東北の高校柔道強化のため、全国から強豪校を招待して行う「女川町長旗争奪全国高校選抜柔道錬成大会」。宮城県女川町で2007年に始まったが、津波で町が壊滅した女川での開催が困難となった。復興支援の名の下に関係者が奔走、昨年から隣県福島の三春町で、「女川町長旗」をめぐり熱戦を繰り広げることとなった。今年の大会には、女川出身の部員を擁する宮城県立石巻工業高柔道部も参加。柔道場が津波で浸水し、練習が出来ない日が続いた同高だが、昨年は宮城県の新人戦で3位に入るなど健闘している。さらに上のステージを目指すため、同高柔道部員は全国大会常連校の胸を借りた。 (12日 20:21)

乱取り稽古で汗を流す高校生柔道家。集まった23チームの中には昨年の高校総体覇者も(2月10日、福島県三春町)

  • 東日本大震災の犠牲者を悼み、開会式で黙とうをささげた
  • 試合前に大きな掛け声を出す石巻工業高の部員。気合ではだれにも負けないが
  • 初戦は緊張で浮足だった感じもあったが、やはり全国レベルは格上だった。一本負けで悔しい表情の1年、阿部航児君(写真中)は、「相手が強かった。明日の練習で、技を盗みたい」
  • リーグ戦初戦の京都学園高戦では7戦全敗を喫してしまった
  • リーグ2戦目の大垣日大高戦では、1年の熊谷力君が1人気を吐いた。豪快な投げで一本勝ち。対戦成績を1-6とした。「1人でも勝って、自信をつけてほしい」と願っていた大内監督の期待に応えた
  • 会場には女川のための募金箱が置かれた。震災直後には、「大会でお世話になった女川の復興のために」と、京都学園高の生徒たちが街頭で募金活動を行い145万円を集めた
  • 普段は鬼のように怖いという京都学園高の山田監督。決勝で負けて泣く選手を見て、「泣くな。泣くと気持ちが途切れる」と言いながら、選手の頑張りがうれしくて涙があふれた
  • 高校総体団体3位の実績を持つ福島県立田村高柔道部の下山田監督は、三春町での開催にこぎつけるために尽力、放射能の風評とも戦った。「東北の柔道のために、復興のために、とにかくこの大会を続けるんだ」
  • 優勝は東海大付属浦安高。昨年の高校総体覇者だ。女川町長旗は千葉県に渡った
  • 会場を後にする石巻工業高の柔道部員。ハイレベルな柔道に触れ、それぞれが課題を見つけた。女川町長旗が絆をつなぎ、被災地の柔道少年は今日も汗を流す(福島県三春町)=写真 浅原敬一郎